人情紙風船~概要ですが最後までネタバレ編
概要ですが最後までネタバレ
江戸時代。
長屋に住む浪人・海野又十郎は
亡き父の伝手を頼りに士官の口を求めている。
頼みとするのは、大名屋敷の藩士・毛利三左衛門である。
又十郎の父・又兵衛は、三左衛門のかつての恩人であった。
話せば分かってもらえるはずだ。
又十郎は、そう固く信じ、妻のおたきにも語った。
おたきには、夫の世間知らずが歯がゆかった。
世間はそんなに甘くない。
おたきは貧苦の中で世間を覚えた。
夫婦はいま、おたきの手内職で糊口をしのいでいた。
毛利三左衛門が志願を検討してもらっていると、見え見えの嘘をつく。
海野又十郎の妻・おたきが寝入りばなの夫を刺した。
前途を悲観したのだろう。自らの命も絶った夫婦心中だった。
**
又十郎の隣に住んでいたのは。
髪結いの新三(しんざ)だった。
独り身の新三はまだ若く、着流しの似合う遊び人だ。
界隈を仕切るやくざ・弥太五郎源七の目を盗んで賭場を開き、金銭を得ていた。
髪結いの新三は金に困っていた。
新三は、髪結いの道具一式を質屋「白子屋」へ持って行く。
店番は番頭の忠七は、「一銭にもならない」と言われた。
新三は「白子屋」の娘・お駒をさらう。
箱入り娘がさらわれた「白子屋」では上を下への大騒ぎである。
「白子屋」の御用もしていたやくざ・弥太五郎源七はお駒を返すように言ってきたが、
新三は、断る。
誘拐事件に一役買ったのは、長屋の大家・長兵衛だった。
新三に、お駒はもう用がなかった。
「この話は金になる」と踏んだのが長兵衛だ。
新三の断りなしに単身「白子屋」へ出向き、「お譲さまを取り返す」と約束して、
50両の包みを手に戻ってきた。
してやったりの長兵衛に新三は呆れるが、屈託のない大家だった。
新三も笑いを隠せない。
長屋中が笑った。
やくざの親分の顔に泥を塗ったのだから、ただじゃ済まない。
長屋の者は誰も忠告しない。
新三は逃げない。
翌日、弥太五郎源七を怒らせた新三のゆくえが定かではなかった。
THE END
江戸時代。
長屋に住む浪人・海野又十郎は
亡き父の伝手を頼りに士官の口を求めている。
頼みとするのは、大名屋敷の藩士・毛利三左衛門である。
又十郎の父・又兵衛は、三左衛門のかつての恩人であった。
話せば分かってもらえるはずだ。
又十郎は、そう固く信じ、妻のおたきにも語った。
おたきには、夫の世間知らずが歯がゆかった。
世間はそんなに甘くない。
おたきは貧苦の中で世間を覚えた。
夫婦はいま、おたきの手内職で糊口をしのいでいた。
毛利三左衛門が志願を検討してもらっていると、見え見えの嘘をつく。
海野又十郎の妻・おたきが寝入りばなの夫を刺した。
前途を悲観したのだろう。自らの命も絶った夫婦心中だった。
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又十郎の隣に住んでいたのは。
髪結いの新三(しんざ)だった。
独り身の新三はまだ若く、着流しの似合う遊び人だ。
界隈を仕切るやくざ・弥太五郎源七の目を盗んで賭場を開き、金銭を得ていた。
髪結いの新三は金に困っていた。
新三は、髪結いの道具一式を質屋「白子屋」へ持って行く。
店番は番頭の忠七は、「一銭にもならない」と言われた。
新三は「白子屋」の娘・お駒をさらう。
箱入り娘がさらわれた「白子屋」では上を下への大騒ぎである。
「白子屋」の御用もしていたやくざ・弥太五郎源七はお駒を返すように言ってきたが、
新三は、断る。
誘拐事件に一役買ったのは、長屋の大家・長兵衛だった。
新三に、お駒はもう用がなかった。
「この話は金になる」と踏んだのが長兵衛だ。
新三の断りなしに単身「白子屋」へ出向き、「お譲さまを取り返す」と約束して、
50両の包みを手に戻ってきた。
してやったりの長兵衛に新三は呆れるが、屈託のない大家だった。
新三も笑いを隠せない。
長屋中が笑った。
やくざの親分の顔に泥を塗ったのだから、ただじゃ済まない。
長屋の者は誰も忠告しない。
新三は逃げない。
翌日、弥太五郎源七を怒らせた新三のゆくえが定かではなかった。
THE END
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