出版しました! イットと、まちがわれて 実話 IT業界の裏側


出版しました! イットと、まちがわれて 実話 IT業界の裏側

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Amazonで販売開始 499円


村上サガンの出版物


これは実話です。
森元首相は IT のことを「イット」と言った。

確かにまちがわれても仕方がない。
不思議な世界だと思う。

このIT業界に30年以上いた僕が語るIT業界の話です。

なぜ社会保険の年金データが消えてしまったのか。

オーム真理教や北朝鮮から来た技術者、極道のIT企業などなど。

相棒宮本が2008年の秋葉原通り魔殺人事件で、
亡くなるところからはじまる。

外交官黒田

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オウム
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目次
…第1話… 秋葉原通り魔事件での相棒の死…………… 5
…第2話… 秋葉原事件から生還した男がいた… ……… 6  
「池袋にあった宮本のゲーム店」………………… 12
…第3話…秋葉原事件で逝った相棒は「世界一の宮本」と言われた…… 14
…第4話…コインロッカーに、神を閉じ込めた気持ち…… 16
…第5話…1千万で、リストラされた… …………… 17
…第6話…1千万が風前の灯に……………………… 20
…第7話… ぼくが会社を辞めたくなった理由… …… 24
…第8話…最強の弁護士… ………………………… 29
…第9話…神保町の営業所… ……………………… 31
…第10話… 社内失業者……………………………… 34
…第11話… 通過する経歴… ………………………… 35
…第12話… 藪の中のストーカー……………………… 37
…第13話… ボスの登場… …………………………… 40
…第14話… ダントツ1位になった売上の行方… …… 42
…第15話… 宮本の相棒ツカサ登場…………………… 46
…第16話… コメツキの面接… ……………………… 48
…第17話… 年金データが消える地獄………………… 50
…第18話… 会議を拒否する技術者…………………… 52
…第19話… 宮本との出会い… ……………………… 56
…第20話… ラクシュミのスタート…………………… 59
…第21話… 魔法のランプと呼ばれたシステムの地獄…… 62
… 第22話… ヘルプデスクは人間成長の場…………… 66
… 第23話… IT業界にバッタが飛ぶ………………… 68
… 第24話…合言葉はゲーム… ……………………… 71
… 第25話…Java修行の会社………………………… 74
… 第26話…地雷を踏んだ… ………………………… 77
… 第27話…ミスター公明の悲劇……………………… 80
… 第28話… 携帯電話をトイレに流したくなる気持ち…… 82
… 第29話… ラクシュミの解散………………………… 85
… 第30話…グサリの距離… ………………………… 88
… 第31話…忍び寄るオウム真理教…………………… 92
… 第32話…〇暴は笑い男… ………………………… 95
… 第33話…サトケン社長の落とし穴………………… 98
… 第34話…キムチ技術者に騙されて………………… 101
… 第35話…はじめての裁判… ………………………103
… 第36話…テンカンと統合失調症……………………108
… 第37話…ITの邪道………………………………… 111
… 第38話…出社に及ばず… ………………………… 113
… 第39話…有給40日を使う………………………… 115
… 第40話…エキストラ… …………………………… 116
… 第41話…刑事ドラマの聖地アルファースタジオ…… 117
… 第42話…はじめての刑事ドラマ…………………… 118
… 第43話…パンテオン集合… ………………………122
… 第44話…トリカブト主婦毒殺事件…………………124
… 第45話…アラシドラマ「特上カバチ!!」……………129
… 第46話…アラシドラマ「特上カバチ!!」その2…… 130
… 第47話…ドラマ「外交官黒田康作」その1… ……132
… 第48話…ドラマ「外交官黒田康作」その2… ……134
… 第49話…小栗旬主演の「獣医ドリトル」……………137
… 第50話…終章………………………………………139
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戦慄の夜~SAKIMORI脚本家サキの恋

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<< 次の投了までは加筆しています >>

前回まで


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目をさますと、

そこには中年の男が立っていた。

「 大丈夫かね。

 たまげたよ、急に倒れて」

「 私 まだ生きてる!」

「 わかってほしい。

 あんなこと。

 仕方がなかったんだ」

私は意味がわからなかった。

「 もうじき解体屋がくるんだよ。 

 気の毒だが、もう期限切れなんだ」

「 あなたは死神じゃないの?」

「 何のことだね。

 ともかく、ここは壊さないと。

 みんな引越しした。

 もう空き家かと。

 あんたはとっくに越したと思っていた」

「 わたしに出ていけって?

 ここから外へ?

 そんな(恐怖の顔をする)」

「 通達があったろ。

 俺も困るんだ。

 市の要請で、ここを壊さないとならん」

「 どうして?」

「 寿命だよ。

 老朽化している。

 建て替え時だ」

「・・・(悲しい顔をする)」

「 そりゃ長年住み慣れた家だ。

 愛着があるだろう。

 壊されたくない気持ちはよくわかる。

 だが古くて危険なら、

 建て替えしなければならん。

 人生と同じだ。

 新旧の交替だ」

「・・・(泣きそうになる)」

「 世間は俺を壊し屋だと言う。

 住人を追い立てる鬼だとね。

 そりゃ違う。

 新しいものをうみだす余地を作っているんだ。

 自然の摂理さ。

 老木が朽ちたあとに新しい芽がふく、

 動物はいずれ死ぬんだ、

 若いものにあとをゆずる

 人間だってそうだ」

「 私はいやよ」

ドアが開いていることに気づき閉める。

「 無駄だよ。

 じき、そのドアなくなってしまう。

 取っておきたいものは運び出そう。

 手伝うよ。

 これ以上頑張られると、

 警察を呼ばなければならん。

 協力してほしい」

「 待って。

  (息子に向かって)

  ねえ、説明してあげて、

  私が出られないわけを」

「・・・・・」

「(息子に向かって)

 話しをして。

 私を助けて!」

解体業の男が言った。

「 何の真似だ。 誰に話しをしている?」

解体業の男には息子は見えない。

「 私の息子よ 」

「 悪いが出て行かないなら警官を呼んでくるよ」

男は、駆け足で出て行く。

私はすばやくドアを閉めた。

「 なぜ助けてくれないの?

 あなたは本当に息子なの?」

「・・・・・」

「 あなた・・・・(はっと気づき顔になる)」

「・・・・・」

「 あの人には見えなかったのかしら」

「・・・・・」

「 そんな・・・(悲しそうな顔)」

「 鏡を見て かあさん!」

老婦人はベッドの左の方に置いてある鏡までいって

息子をみようとするが

鏡には息子は、うつっていない。


「 だましたのね。

 あなたは死神なのね?」

「 そう、だましたんだ」

「 でも、なぜ?

 いつでも連れて行けたのに。

 親切ぶって。

 信用させて」

「 理解してもらいたかった。

 (老婦人の前に立ち上がり)

 僕は悪者かな?

 そんなにコワイ?

 僕と話して信頼してくれたね

 僕が乱暴でも?

 怖いのは僕じゃない。

 そうだろ?

 未知のものがこわいんだ。

 こわがることはない」

「 でも怖いわ」

「 もういいんだ。 休みなさい」

息子は手をさしだす。

「 手を」

「 いやよ。 死にたくない」

「 僕を信じて」

「 いやよ」

「 お母さん」

「・・・(首をふる)」

「 手を」

「・・・(手をだしかけている) 」

「 どうぞ 」

「・・・(手をさしだす)」

息子の手を握る。

「 ほら 平気だろ。

 何の苦痛もない。

 何の衝撃も。

 案ずるより生むがやすし。

 簡単だろう。

 終わりでなくて始まりなんだ」

「 いつ始まるの?

 いつ逝くの?

 いつ?」

「 ほら (ベッドへ目線を向ける)」

ベッドに視線をかたむけると、

もう一人の自分が眠っていた。

「・・・(ちょっと驚く) 」

「 もう出発したんだ」

「・・・(ちょっと微笑む)」

息子はドアをあける。

そして腕を組んで外へ出て行く。

すると突然場面が変わったの。

私の首をしめだしているの。

「 苦しい!」

それは裕次郎だった。

「 あなたは、死ぬべきです」

「 やめて・・・。 苦しいわ・・・」

「 もう終わりなんです 」と言って、

裕次郎は私の首をしめ続けた。

(つづく)

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前編の終了です。

皆さま最後まで読んでいただきありがとうございました。

つづきの後編は脚本プロットとして書籍にします。



1.いよいよ出版

「恋愛映画を話そうよ」

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2.完売絶版につき再版しました。

「ヴィオロンの妻」

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Nothing in the Dark~SAKIMORI脚本家サキの恋

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<< 次の投了までは加筆しています >>

前回まで


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熟睡はしたけれど、悪夢におそわれたの。

ドラマ「Nothing in the Dark」の題名を決めるのに悩んでいたのか。

私はいつのまにか、そのドラマの主人公になっていた。

話はお迎えが来ているのに、それを拒否する老婦人。


ドアを叩く音。

「僕だよ」

「僕って、誰よ?」

「息子のケンジだよ」

「やめて 息子はゲリラに処刑されたんだから」

「僕だよ」

「嘘でしょ。 

 息子なんて。

 わかっているの。

 だまされないわ」

「かあさん! 僕だよ!」

「うそよ、息子なんて。

 私をほっておいて。 

 わかってるのよ。

 あなたが何者かわかるの、私には」

チェーン越しにドアをちょっとあけて外をのぞく。

「ケンジなのね。 

 生きていたの?

 (ドアチェーンをはずしてドアをあける)」

「僕だよ」

「本当にそうなの?」

「どうして入れてくれなかったの?」


「死神よ。

 ねらっているの、中に入ろうと。

 ドアをたたいて、いれてくれというの。

 先週はガス会社の者だと。

 とてもずるいの。

 次は市に雇われた土建業者。

 みえすいた手よ。

 ここを壊すから、立ち退けと。

 ドアをあけずにいたら

 いってしまった」

「誰かに助けてもらったら」

「ご近所はもう空っぽなの。

 みんな引っ越していった。

 次から次と。

 死神が来るの」

「死神?
 
人間の姿をしているの?」

「変に思うでしょ。

 でも本当なの」

「死神が見えるの?」

「他の人にはみえないけど。

私にはみえるの」

「錯覚じゃないの?」


「最初は私も信じられなかった。

 以前、私はバスに乗ったの。

 前の席にお婆さんがいたわ

 編み物していた。

 なんとなく見覚えのある顔だった。

 若い男が乗り込んで彼女の隣に座ったの。

 座っただけよ。

 それだけで、彼女は落ち着きを失った

 好青年にみえたわ。

 彼女が毛糸球を落とすと拾って、

 私の目の前で手わたししたの、

 青年とお婆さんの指がふれあっていた。

 彼はすぐ降りたわ。

 でも 彼は私にしかみえないの。

 終点に着いたとき、

 お婆さんは死んでたの」

「 かあさん もう ぼけたんでは?」

「 いいえ。

 あれ以来何度もみたわ。

 あの若い男の姿をね。

 誰かが死ぬと必ず彼がいた。

 あるときは兵士、

 あるときはタクシーの運転手、

 一見ごくふつうの若者よ。

 なぜわたしだけにみえるのか。

 それは、 わたしが年老いて、

 お迎えが近づいたから、

 真実が見えるのよ」

「そいつの顔、知っているなら避ければいい」

「顔は、その時々で、違うの」

「だとしたら外では避けようがない」

「だから、出ないの」

「一歩も?」

「もう何年も」

「食料は?」

「届けてくれるわ。

 お金とリストは戸口に。

 配達人が消えるまで、

 じっとしているの」

「そこまで」

「死にたくないからよ。

 気を許せばすぐはいりこむ、

 あの男がね」
 
「・・・(黙って聞いている)」


「私は ながく生きてきた。

 でも死にたくない。

 暗闇で生きている方がまし」


「 これからは 大丈夫だよ。

  僕がめんどうみるから 」

「やっと!会えたのね。これは夢じゃないのね」


突然誰かの足音がした。

そしてドアをノックする音となった。

「あけたら、だめよ」

「大丈夫だよ、かあさん」

ノックの音

「返事を」

「・・・(首をふる)」

ノックの音

「大丈夫、出て」

ノックの音

「大丈夫だから、出てよ」

私はドアまで行って

チェーン越しにドアをあけると、

中年の男がのぞきこみ言った。

「悪いが命令でね。

 時間がないんだ」
 
私はドアを閉めようとする。

中年の男はチェーンを切って

無理やりドアを開けて部屋へ入った。

私は気絶して倒れたの。
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予兆~SAKIMORI脚本家サキの恋

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前回まで


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大女優岡田まり子の葬儀が終わり、

自宅へ戻って、私は英次と裕次郎のあいだに腰をおろしていた。

私は英次に尋ねた。

「 ねえ、死を決めるのは何?

 なぜ私は生きて、あの三人は死んだの?

 なんだか、次は私のような気がするの 」


「 無理もない、錦之助、武藤、まり子と立て続けだ。

 咲子、考えすぎだよ。

 君は元気だ、すぐに死にそうな感じはしないよ。

 まあ人間はいつか死ぬわけだが・・・・・」

裕次郎は黙って聞いていた。

「神様はどこで決めるのかしら、誰を死なすかよ。

 あの三名と私、違いは、なにかしら?」

「もし神がいたとして、死の決定が神によってなされるとは思えない。

 これは神にもわからない、つまり自然のなりゆきだと思うんだ。

 神は自然というものを作った。

 あとは自然まかせだと思う」

裕次郎が突然に、たどたどしく口を開いた。

「 あなたは死にませんよ。

 なぜかと言うと、暖かい人間だからです。

 あなたほど、心の暖かい人はいません。

 普通、人は他人に暖かくありません。

 だから彼らは自分自身に対して、暖かくありえないのです」

英次が言った。

「 おいおい。 

 ちょっと外に飲みに行かないか? 

 陽気な場所へ。

 ゆうちゃん、君も行かないか? 」

英次が裕次郎をはじめて誘った。 

驚いたことに裕次郎はついてきた。

私はおめかしする心境ではなかったので

横須賀のアメリカンスタイルの店へ出かけることにした。

私たちは三人ぎゅう詰めになって英次の新しいポルシェに乗った。

横須賀の店「ワイルドワンズ」は、

サーファーやバイクのライダーの若者でひしめいていた。

私たちは幸運にも空いたテーブルを見つけて、すわることができた。

裕次郎は私たちに気をきかせたのか、

カウンターバーに行って、しばらく戻らなかった。

裕次郎が戻ってくると、もうかなり酔っていて、いつもの裕次郎ではなかった。

私は驚いた。

裕次郎は酔うほどに飲むことはなかったからだ。

英次の追加のウイスキーを注文するために私はカウンターバーに行った。
  
席に戻ろうした時だった。

モヒカン頭の若者が突然席を立って私とぶつかったの。

「ごめんなさい」

「このばばあ! 気をつけろ!」

とモヒカンがわめいた時だった。

裕次郎がモヒカンの喉につかみかかり、

椅子やテーブルと共に雪崩のように床に倒れた。

モヒカンにまたがり、しっかりと喉をおさえこみ、

柔道の寝技のように決まっていて、モヒカンは窒息死寸前の状態となった。

モヒカンの仲間ら数名で裕次郎を取り払い、

他の男らが裕次郎を一隅に押さえつけた。

英次は大声で「警察が来るぞ」 と叫んで、

英次は取り押さえた二人の手をふりほどき、

すばやく裕次郎を羽交い絞めにして、

そのまま急いで店から引きずり出してポルシェに乗せた。

裕次郎は英次が警察と口にした時点でおとなしくなっていた。

車の中では裕次郎はぐったりとしていて、

自宅に着くと裕次郎はいきなり起きて車を出て、

家の中に姿を消してしまう。

英次が言った。

「 彼の目つき見たかい。

 あれは殺気があった。

 本当に殺そうとしていたぞ」

「 そう言うけど、英次、あなたはじっと見ていただけじゃない。

 お酒をそんなに飲んだことないのに一気に飲んだからよ。

 裕次郎は酔っていたのよ」

「 とにかく彼が暴力的であることは今回でわかった。

 僕は咲子が心配なんだ」

「 私に危害を加えることはないと思うの、これは私の感だけど」

「 いずれにしても。

 僕はほんとうのところ裕次郎が好きになった。

 なんか可愛い息子のような気がした。

 彼はいまに大スターになる。

 すると君はごく将来、彼という重荷から解放される。

 会社も裕次郎への宣伝に集中するそうだ。

 彼には間違いなく才能がある。

 ねえ、咲子! いつ僕と結婚してくれる?」

「 そのうちね。ごく将来 」

「 ふ~ 」と英次はためいきをついて帰っていった。

私は未来の大スターがどうしているか見るために家の中にはいった。

居間のじゅうたんの上に、顔を両手でうずめて横たわっていた。

裕次郎は 「アイツは死ぬべきだ・・・死ぬべきだ・・・」と、うわごとを言った。

「しっかりして、あんな男を殺して何の意味があるの?」

私は裕次郎の上に毛布をかけてやった。 

今日は疲れてしまったようで、私は寝るために自分のベッドへ向かった。
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岡田まりこ~SAKIMORI脚本家サキの恋

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前回まで


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翌朝、武藤の葬儀が終わり、

デスクで仕事をしていると

葬儀出席で、パリから帰国した岡田まり子が来たの。


「 ちょっといいかしら 」と、無愛想な顔をしてまり子が言った。

「 ええ 」

「 ご無沙汰ね。 パリから戻ってきたわ。 

 錦之助では、いろいろとお世話になったようで 」

「 いえ、私なんか。 

英次さんがいろいろと動いたのよ  」

錦之助は私を捨てて女優岡田まり子と結婚して

2年後、まり子は彼を捨てたの。

「 わたくし、昨日錦之助の家に行って、遺品をみていたの。

 そしたら、私がプレゼントしたカルティエライター、

ダイヤのカフスとか、 他にもあったのだけど。 

見つからないの 」

まり子は私が横取りしたような疑惑の目をしていた。

映画「サンセット大通り」のような顔だわ。

サンセット大通り


「 私は知らないわ 」

まり子に捨てられた錦之助。

落ち目になり、武藤にどんぞこまで落とされた時に、

私は精一杯彼のめんどうをみたのに。

この薄情きわまりない岡田まり子に疑われるなんて。

そこへ裕次郎が私の部屋へやってきた。

岡田まり子の顔が鬼から天使に変わり言った。

「 まあ、あなたが裕次郎さん? 」

裕次郎は何も答えないで、、

まり子との一件を立ち聞きしていたのかもしれない。

私のところへ来て、心配顔で尋ねた。

「大丈夫ですか?」

私は裕次郎の顔を見ると今にも泣きそうで、私はじっと我慢していた。

岡田まり子は裕次郎に無視されたことに、

大女優としてのプライドが許さなかったのだ。

「 何様のつもり。 まったく無礼だわ。 

 そこのお若いの、ちょっと有名になったと思い上がらないことね。

 いいことサーキー、

遺品の件はちゃんと調べさせてもらいますからね。

 覚悟してよ 」

私はぐっとこらえていたの。

岡田まり子が去ったあとに裕次郎は憐れむように私をみつめた。

私は憂鬱になった、これから彼女の執拗な嫌がらせがあるだろう。

「 これからめんどうなことが起こりそうですね。

 僕がなんとかしますから 」

「 ありがとう。 

でも、ゆうちゃんは、気にしないで仕事に専念して 」

数日後の休日、私は自宅でゆっくりしていた。

裕次郎はロールスロイスの車を整備したり、

その天井の高い車に、本やたばこやお酒を持ち込んで、

根城にしてしまった。

私は居間で映画「パリのめぐり逢い」を観ていた。

映画のシーンが始まる。

パリのめぐり逢い


元夫 「 しばらく 」

元妻 「 いつ、ベトコンから解放されたの? 」

元夫 「 先月だ。 フランスに帰国して、

 君がここにいるというのがわかったので、すぐ来たんだ」

元妻 「 ・・・・・ 」

完全に元夫を無視して他の男と踊ったりして楽しんでいる。

しばらくして。

元夫 「 君が幸せで安心したよ。 

忙しそうだね、僕は失礼するよ 」

元妻 「 ・・・・・ 」

男はもう復縁は無理とあきらめて、静かに別れを告げる。

元夫は駐車場に戻ると、車のフロントは雪に埋まっていた。 

彼は車のエンジンをかけて、近くの民家にお湯を借りに行く。

時間は15分経過する。

お湯の入ったボトルで車のフロントの雪を落していると、

助手席には元妻が座っていた。


映画を観終わって向田に電話した。

「 クニコさん、わたし!  今大丈夫?」

「 ええ 」

「 今、観終わったところよ 」

「 それは偶然。 私もほんの今です。
 
どうですか?」

「 久しぶりに観たけど、セリフをほとんどなくして、

美しい映像で勝負しているね 」

「 ラブシーンとか、お互いの気づきを映像で表現してますよね。

 本当にイブモンタンが渋くて、たまらない魅力があります」

「 モンタンね。 マリリンモンローと不倫して、

 彼の奥さんシモーヌシニョレは自殺未遂したのよ 」

「 そうなんですか、それって!

 この映画と同じなんですね。 嫌味ですね 」

 「 この映画では奥さんが夫モンタンの浮気を公認しているの。
 
でもキャンディスバーゲンにめぐり逢って、浮気が本気になるのね 」

「 バーゲンのこの頃、なんとも言えない魅力ありますよね 」

「 そう、モンタンもメロメロよね 」

「 美しすぎです 」

「 奥さんのアニー・ジラルドもいいでしょう 」

「 復縁に来たモンタンに知らん振りしている演技がいいですね 」

「 アニー・ジラルド、顔の表情とかタバコだけで演技するのよね。

 フランスでは、旦那は鉢の中の金魚で、自由に泳がせろというわね。

 男は浮気しても、帰ってきてくれればいいんだって・・・」

「 あくまでも、それは浮気で本気になると困りますね 」

「 やはり、物語だけでなく俳優選びも重要よね 」 

「 そうですね。  

 それと、原題『生きるための生活』を

『パリのめぐり逢い』なんて、素敵な邦題つけましたよね 」

「 日本人は、めぐり逢いという言葉に弱いのよ 」

私はその後いろいろと話して電話を終えると、

再び電話が鳴った、英次からだった。

「 咲子かい 」 

「 ええ、どうしたの? 」

「 岡田まり子が事故で死んだんだ 」

「 え! 事故って? 」

「 今朝、別荘付近で、カーブをきりそこねて、

百メートル下の谷に、車ごと落ちて死んだそうだ。 

 グレイス・ケリーと同じ劇的な死に方だね 」
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絶版の自著「ヴィオロンの妻」再版

昨年10月出版しましたが
10月中に絶版になり1月に再版しました。


Amazonでの紹介です。


物語のハイライトは以下です。

ヴィオロンの妻表紙


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天皇の死~SAKIMORI脚本家サキの恋

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前回まで


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石井との打ち合わせが終わって、

私は裕次郎の次回作から降りることを告げようと社長室に行った。

 「 社長は?」

 「 社長、急用で不在なんです 」 と社長秘書が答えた。

私が困った顔をしていると、秘書が言った。

「 聞きました? ビッグニュースですよ 」

「 どうしたの? 楽しそうね 」

「 武藤オーナーが死んだんです 」


それを聞いて私は、恥ずかしいけれども秘書と同じように、

まるで吉報が来たかのように思った。

でも、なぜ死んだのだろう。

武藤死亡に関する情報はテレビ以外にスタジオ内で、

またたくまに入手することができた。

オーナーは新宿二丁目にある特別クラブで発見されたのだ。

ゲイ専門のクラブで、彼はそこの常連だった。

死亡当日、武藤はひとりの若い男といっしょに部屋へ入った。

その男は行方不明だが。

どうもその男が警察と新聞社に電話したらしい。

それで警察と新聞社の人たちが真夜中に部屋へはいって

死体を発見して大騒ぎになってしまった。

私はデスクに戻って、

「めぐり逢い」の一番の名シーンを観ながらセリフを書き上げ始めた。


ケーリー・グラントがデボラ・カーに、お別れにやってくる。

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ケーリー「素晴らしいよ。

やっと訪ねあてて会えたのに。

理由がひとつも聞けないとは。

 あんなに、わかりあえたのに。

変わったね」

デボラ「そう? やめて」 

ケーリー「 責めてはいない。 

 今夜発つ。世界をさまよい、会う女性に言うんだ。

 半年後に会おうって。 そして待たせる」

「 その間 あなたは? 」

「 待ってる」

デボラ「そんなの無理よ。 

あなたらしくないわ。間違ってるわ」


「わからないんだ。 結婚もしてないね」 

「ええ」 

「てっきり」

「昨晩彼といたから? 違うの」 

「そう。 話題をかえよう」 

「そうよ 今日はクリスマスよ」

「忘れていた。贈り物」

ケーリーは祖母の忘れ形見のショールをプレゼントする

「それで手紙が送り返されたのね」 

(デボラはソファに座ったまま祖母の忘れ形見のショールをはおる)


「これで用事は済んだ。さよなら」

「さよならニキ」 

デボラは帰らないでというような目をする。

別れ際にケーリーが言う

「君のその姿を絵にした。  

みせたかった。

僕の最高傑作だ。  

手放したよ。
 
持ってる意味もないからね。  

だが金はとらなかった。

画商の話しでは若い女性がその絵を気にいり僕の心が見えると。 

だからあげた。

画商が言うには 彼女は貧しいし...」

ケーリーははっとする。

「その上、とにかく彼女は脚が~」 と

つぶやきながら何かを探すケーリー。

デボラはハラハラする。

とうとうケーリーは自分の描いた彼女がショールをはおった絵を

隣の部屋で見つけてしまう。

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大きなためいきをつくケーリー。

デボラが座ったままの部屋に戻る。

デボラ「そんな目で見ないで」

「なぜ黙ってた。

 よりによって君がこんな目に」


「私の不注意なの。

 上ばかり見てたの。

天国に一番近い所だけをね。

 あなただけをね・・・。

 大丈夫よ。

 あなたに絵がかけるなら、私もきっと歩ける」


私は涙を流してしまった。

何度観てもここは泣けてしまう。

気分転換に仕事を中断して、スタジオ内を散歩することにした。


スタジオじゅうがわきたっていて、陽気に騒いでいるように思えた。

それは少し私には不愉快だったけどね。

私をいじめた男だが、その男の死はけっして喜ぶべきではないのかもしれない。

スタジオの連中はみんな一度、武藤に辱められたか、やっつけられたりしていたの。

裕次郎が今日は撮影中で、スタジオ入りしているのを聞いた。

その現場に行くと、裕次郎がいた。

テレビドラマの作品「Nothing in the Dark」 

いまだに 邦題が決まらないで撮影は進んでいた。

「ゆうちゃん、ニュース聞いた? 」

「ええ。もちろん。

 突然今日撮影になったんです。

 明日は撮影を休むそうです。

 喪のしるしに」

「 僕が、彼に幸運をもたらしたとは言えないようですね」

「 あなたの飛躍のチャンスがなくなったわね」

裕次郎は、それはどうでもよいということを手で示した。

「 車、ありがとう 」

裕次郎は私を見つめ、急に赤くなって肯いた。

「わたし、あまり突然だったので驚いただけよ。

 ロールスのこと、とても嬉しかったわ。

 変なことを言って悪かったわ」

「僕のために、悪かったなんてお思いにならないで下さい」

警官の服を来た裕次郎の出番が来た。



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妻の不倫を目撃~実話です

2001年12月26日、24時になろうとしていた。

妻が自宅マンションの周りの明治通りを見知らぬ男と恋人のように一周している。

一階の正面入口にあるゲストルームの窓から、

のぞいている僕に気づくと、二人はあっというまに離れて、

妻は違う第二の門から入ってしまった。あっけにとられた僕は、

妻から離れて逃げるように去っていく男を追いかけた。

男の進行をさえぎって、顔をじっと見た。

なぜか顔を見たかっただけだ。

男は酔っているように思えた。泥酔に近かった。

何も言葉を交わさなかった。

沈黙状態は10秒も続いただろうか、僕は自宅へ戻った。

七階の部屋に戻った妻を呼び、一階のゲストルームに呼んだ。

「僕はコキュに、とうとう、なりさがったのでしょうか?」

僕は怒りを覚えると、冷静になろうとして、

わざと他人めいた丁寧語になってしまう。

「コキュって?」

「フランス語で、妻を寝取られた夫のことです」

「絶対に、それはないわ」

「本当にそうなんですか? じゃ、どんな関係なんですか?」

妻は男のことについて、これまでの経緯を述べた。

経緯は別途あらためて説明する。

「彼のことは好きよ、でも」

「好きなら、彼のところへ行ってくださいよ」

もともと妻は無口で、謝るわけでもない。

真夜中でもあり、翌日に詰問再開で、部屋に戻った。

その日は眠れなかった。離婚しようと思った。

信じきっていた僕のハートは機関銃で蜂の巣のようになって、

寒い風が吹き荒れていた。

腹いせに自殺するのもいいかと思った。

自分に落ち度があるから浮気されるんだ。

本当にコキュになっていないのだろうか。

そんなことが頭の中、津波のように押し寄せた。

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「ヴィオロンの妻」 Amazonで再版

2014年10月に出版され、

すぐに絶版になったノンフィクション自叙伝、

新たに第二版として出版されました。

Amazonでの紹介
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映画「めぐり逢い」~SAKIMORI脚本家サキの恋

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いつのまにか午後になり、

私は決意したことを実行するために

先輩女性の石井プロデューサーの所へ行った。

応接室に入ると、

石井は知らない女性といた。

女性は全部黒づくめで、喪服とは違ったお洒落な雰囲気だった。

「 サーキーちゃん。

 本当に引き受けてもらってうれしい。

  ゆうちゃんの次作は、いいの?」

「 今、ゆうちゃんはテレビドラマに、とりかかっているの」

「 どんなドラマ?」

「 ロバートレッドフォードが新人の頃にテレビドラマで演じたの」

「 へえ~ 彼って!テレビに出ていたの? どんな作品?」

「 Nothing in the Darkというタイトルで、邦題はまだ決まっていないの。

彼が演じて以来、死神は美男ということになった作品」

「 そう! テレビ放映が決まったら、教えてね」

と石井は言って、「さてっと! 本当にいいのね?」

「まだ社長には話してないけど、わたし、裕次郎の担当からおりるの。

それに、前からこの作品、やりたかったのよ」

「 そう! 武藤ね。 あれは天皇だから 」

「 ええ 」

「 ありがたいわ。

 ラブストーリー『めぐり逢い』は、

 わたしにとっても念願なの。

 サーキーが書いてくれるなら心強いわ。 

 あ! それから紹介が遅れたけど。

新人君を紹介させてね」

石井の隣に座っていた黒尽くめの女性が

立ち上がって、私に一礼した。

あとで「クロちゃん」と言われるなんて、

その時に、私がつけていたらと後悔している。

「 向田クニコさん。

  脚本家志望なんだけど、

  最初は雑用でもいいから、どうか鍛えてくれない。

  いいセンスしていると思うの 」

向田は「 はじめまして。

 サーキーさんのお手伝いができて光栄です。 

よろしくお願いします」 と言って深々とおじきした。

「 責任重大ね、よろしく! 」

と、私は言って尋ねた。

「 向田さん、映画『めぐり逢い』を観たことあるの?」

「 ええ、 『めぐり逢い』の映画って、いっぱいありますよね。

  私はケーリーグラント・デボラカーの『めぐり逢い』は好きです。

  ウォーレン・ビーティの『めぐり逢い』はピント来ません」


「そう!そのケーリーグラントの作品をベースに脚本にしようと思うの。

 古い映画だけど、公開当時は全米それからフランスで、

 いや世界中の女性が大泣きした作品なのよ」

「 ええ、その映画を観て泣いている場面の映画がありますね。

 メグライアンの『めぐり逢えたら』とか、他にもいくつか」

と向田は言う。

「『めぐり逢えたら』は完全に『めぐり逢い』のオマージュね」

と私が言うと。

「1957年、日本で公開されて、配給収入9位。

 8位がフェリーニの『道』ね。

 ハッピーエンドで泣けるラブストーリー。

 淀川さんが

『本当に鬼の目にも涙、もう思わず涙が落ちました。

 奇麗な奇麗なお話。 見事な映画』と感激しているわね」

と、石井が言った。

「 でもね。向田さん! この作品、今忘れ去られているのよ。

 それで復活させたいの 」と私は言った。

「 お好きなんですね? 」

「 私の理想のラブストーリーよ 」

「 ああ! それでピンクシャンペンがお好きなんですね 」

「 私が好きなの、知っているの? 」

「 ピンクシャンペンがお好きだと、どこかの記事で読みました。

 ピンクシャンペンは『めぐり逢い』のキーワードですよね 」

「 詳しいわね 」

石井が口をはさんで、向田に尋ねるように言った。

「 偶然に、二人はめぐり逢うが、二人共に既に婚約者がいた。

 そして、天国に一番近い所で半年後に会う約束をする。

 ニア・ザ・ヘブン! 天国に一番近い場所ってどこだっけ?」

「 エンパイアステートビルの屋上ですね 」と向田が言った。 

「 世の中うまくいかない。

 婚約者がいる時にかぎって、

 他に良い人とめぐり逢うのよ 」と私が言うと、

「 うまくいかないのが世の常。

 二者選択を迫られる 」 と石井が続けた。

「 半年後に会うために、二人は婚約者との清算を行う 」 と私が言うと。

「 そして、半年後の会う日に彼女は来なかった 」と向田。

「 人生って、そんなもので、

婚約者を苦しめたしっぺ返しが来るのよね 」 と石井。

「 運命は二人を再会させる。

 しかし彼女は、行けなかった理由を彼に教えない 」と向田。

「 それは彼女の彼への思いなんだけど。 

 彼女はガンとして女の意地を通して理由を言わない 」と私。

「 この健気な彼女に、ほとんどの女性が大泣きするのよね」と石井。
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大魔のガロ~SAKIMORI脚本家サキの恋

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大魔のガロ~SAKIMORI脚本家サキの恋

翌日、裕次郎は朝になっても帰ってこなかった。

私は朝から緊急の会議があった。

会議が終わって、

部屋を変えて、打ち合わせになった。

プロデューサーが言った。

「困ったけど、ボツになったわけではない」

「そう? お蔵ゆきになるかもしれない」と、私は言った。

「はくすきのえ」の公開が延期になったのだ。

理由は、チョウニチ新聞と新しくなったH首相側の圧力らしい。

H首相は宇宙人とあだ名されていた。

「百田さんが、怒っていたけど。韓国人ハーフは、本当なの?」

「噂だが、H首相は韓国人女性の子供らしい」

「妾の子なのね! 異母兄弟と聞いていたけど、弟と顔が似ていないものね。

それで! H首相は韓国側に有利な発言をするのね」

「うちの会社の株主に、圧力をかけたらしい」

「百田さんも頑固だから。竹島の件はカットすればいいのに」

韓国軍が竹島に上陸して日本の島民を追い出し、赤子まで殺した虐殺事件を

描きたいと、百田氏は会議で訴えていた。

「まあ! このへんにして、つなぎの企画を考えたい」

「なにか! 考えはあるの?」

「カムイ外伝はどうかな?」

「ああ~それで!私に相談なのね!」

カムイ外伝は白戸三平の忍者漫画で、シリーズで、

以前映画化にあたって、脚本はなぜか私が書いたの。

「今回は、カムイの最強の難敵を登場させたい。

白戸漫画で、最強の忍者は誰だと、思っている?」

「難しいわね。四貫目かガロでしょうね」

「さすが! 四貫目は結果的にガロの敵討ちをするからね」

「四貫目はカムイの敵にはならないわ。彼は中立だから」

「俺は、大魔のガロで、映画にしたいと考えている」

「わかったわ。プロット、作ってみるわ」

* *

デスクに戻って、ガロについて整理してみた。

ガロというのは他心通を使える最強の忍者なの。

私の想像だけど、ガロの名前は鉄腕アトムに登場する

最強のロボット「魔神ガロン」からきていると思うの。

他心通の術とは、いわゆるテレパシーで、人の考えが読める。

忍者として腕も立つが、ガロは対戦する忍者の考えが先に読めてしまう。

だから相手の術を先に見破ってしまう。

ガロと戦ったカムイは苦戦して、かろうじて逃げうせる。

気づくのよ、カムイは・・。

ガロは他人の心を読めることを。

それで戦うことを放棄して、自己催眠をかけて、眠ってしまう。

ガロは自分が最強であることにおごり、忍者のボスに従わなくなる。

どんな難敵にも弱点はある。

刺客として現れた忍者はガロを殺してしまう。

ガロは孤児を多くひきとり、めんどうをみていた。

刺客の忍者は催眠術の達人で、孤児たちに後催眠をかけて

孤児たちは無意識のうちに後催眠によって、ガロを殺してしまう。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。


食事風景

まず40度のミネラル水をコップ2杯飲みます。

1 朝食 

コップ2杯のミネラル水(40度)を飲んだ30分後

バナナ一本

2 昼食

コップ2杯のミネラル水(40度)を飲んだ30分後

蕎麦粉ケーキ

蕎麦を水に3時間以上ひたす。

蕎麦粉にもどりますので、水をこして、

野菜をボイルする容器に入れて、電子レンジで2分チン!

それにレモン水と蜂蜜をかける。

あと野菜ジュース

3 夕食

夕食の1時間前に好きなりんご(王林)を皮ごと食べます。

30分前にコップ2杯のミネラル水(40度)

夕食の基本は

あわひえ玄米の雑穀、オートミール、ライムギパン

じゃがいもだけの場合が多いです。

白米、白小麦粉は避けます。

パンは好きですが全粒パンがなかなかみつかりません。

焼きそばやパスタは蕎麦麺で。

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牛乳は飲みません 豆乳。

肉は月3回 卵は週2 鳥の胸肉週1、海産物中心

加工品、揚げ物、インスタント食品は食べません。

でも、たまにカップ焼きそば、トムヤムクンラーメン食べたいです。

カレーの場合は赤林檎を1個、皮ごとカットして水なしで煮ます。

それをベースに旬の野菜をなんでも入れます。

じゃがいも、人参は電子レンジで蒸します。

あと野菜ジュース

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嗜好品

お腹がすいたら、甘酒の飲みます。

コーヒー好きでしたが、徐々にやめて、現在 三日に一回

好きなケーキは月1。 酒は年に数回(飲むのを忘れるのでゼロも)

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夕食後は就寝まで、水分はとらない
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横取りされた裕次郎~SAKIMORI脚本家サキの恋

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映画「湾岸道路」で、いろんな賞をもらったの。

賞の会場で、私はお気に入りのピンクシャンペンで上機嫌だった。

監督に、私は質問したの。

「ねえ、監督。 健介って男のやせ我慢、ボギーなの?」

「 う~~ん。 俺は、こう解釈して映画にした。

  それは男の嫉妬と家庭内暴力だ」

「だから芙美子が健介から、その後便りがないので、

原作にも、私の脚本にもない、

健介の実家に、義母を訪ねるシーンを、監督!入れたのね」

「 ああ。そして息子はあなたにDVはしませんでしかと尋ねさせる」

「 母は夫に相当なDVをうけていて、

  息子の健介は、それをみて育ったところを強調したかったのね」

「 だから、健介の、精一杯のDVは、芙美子を

湾岸道路に置き去りにすることなんだ」

「 なにか、映画カサブランカで、

  ボギーがバーグマンを突き放すのと似ているわ 」

* *

しばらくして驚くべきニュースを聞いた。

私を破滅の底まで落としたあの武藤オーナーが

裕次郎を買いとることを決めたこと。

これは武藤にとってたやすいことだった。

この業界で彼に逆らうものは誰もいなかったから。

武藤は裕次郎を呼び、現在の契約より破格の条件を与えて、

彼と専属契約した。

私はひどく腹が立っていたが、裕次郎に言った。

 「 武藤には逆らえないわ。

   私が反対したら、会社が、どんな仕打ちをされるか、

   悔しいけど仕方ないわ。

   本当に嫌なヤツ。
 
それで! 武藤との契約はどうだった?」

「 大きな机でしたね。

   ヤツは椅子に座って、たばこを吸ってました。

   ヤツは僕に腰掛けろと言って、

ほかの男と電話で話していました」

「 で! ゆうちゃんは、どうしたの?」

「 ヤツの机の上に雑誌が置いてあったので、

  僕はそれを読みはじめました」

私はうれしくなった。

ひとりの新人の若者が武藤の鼻先で

雑誌を読んでいるなんて、まったくおもしろい光景よ。

「 それで? 」

「 ヤツの電話がすむと、

  いったい君は歯医者にでもいるつもりなのか、

  と僕に言いました」

「あなたは、なんて答えたの?」

「 僕は歯医者へは一度も行ったことはない、と言いました」

「 それから?」

「 それから、別に何も、

ヤツは口の中で、なにかぶつぶつ言ってから、

  ヤツが僕に興味を持って、

光栄に思うだろうとか言ったと思います。

  そして、僕を買いとって映画俳優として成功させてやる。

  ええと、ヤツはなんて言ったかな・・・

そうそう、眩惑的な美男子とか」

そう言うと裕次郎は笑って、さらに付け加えた。

「 眩惑的・・・この僕が? 

  僕は、ヤツにそんなことはどうでもいい。

  ただお金をたくさん儲けたいだけだって言いました。

  そういえば、ぼく、ロールスを一台みつけましたよ」

「 なんですって?」

「 ロールス・ロイスですよ。

  こないだあなたが英次さんといっしょに話していたでしょう。

  身をかがめなくても乗りこめるっていうやつ、

  ぼく、あなたのために一台みつけました。

  それは古い年代の車ですが、

とても天井が高くて、中は金ずくめです。

その頭金を払えるくらい武藤がお金をくれたので、

注文してきました」

私は一瞬、唖然として

「 私のためにロールス・ロイスを買ったっていうの?」

「 ほしくなかったんですか?」

「 あなたは、そんな私のちょっとした望みを
  全部かなえてくれるつもりなの?
 すこし、どうかしてやしない?」

「 ぼくはあなたに喜んでもらえると思ったのですが、

  あ! そうだ、失礼します、

僕は今晩出かけなければなりませんので」

そう言うと、裕次郎は立ち上がり、すぐ外出した。

私は裕次郎を傷つけてしまった。

言いすぎたと後悔でいっぱいになった。

そして、裕次郎は、その夜帰ってこなかった。

ようやく裕次郎にも恋人ができたのだと思った。

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湾岸道路と魔性の女~SAKIMORI脚本家サキの恋

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英次は私と結婚しようと執拗に迫るので、

ありったけの外交的手腕を使って抵抗していた。

裕次郎との関係を知る人は

私がふたりの男性の間で、心を決めかねていると思いこんでいた。

まるで魔性の女のように思われていたのだろう。

英次の求愛、そして懇願するような裕次郎の視線。

私がつまずいたのはこれであった。

はっきりさせないといけない。

なすべきことは裕次郎のほうに駆け寄って、

裕次郎を両腕の中に抱きしめ、

そして裕次郎にたずねることではないだろうか。

しかし何をたずねるのか? 

私の前には霧がかかり、森の中に迷ってしまうばかりだった。


しばらくして裕次郎主演の映画撮影が始まった。

監督はいきなり、物語のハイライトからメガホンをとった。

裕次郎はハーレーのオートバイに乗ったことがあるのだろうか? 

上手に乗りこなせてみせた。

「 ゆうちゃん、どこで覚えたの?」

「兄貴がハーレーファンだったんです」

ハイライトシーンが始まった。

時間は未明の4時、あたりは薄暗かった。

健介(裕次郎)は芙美子をハーレーに乗せようとしている。

「離婚してどうするの?」

「ひとりで、さまようんだ」

「さまようって、なにをするの?」

「何度も言ったろう。

なにもしない。

さまようだけだ」

健介は芙美子をバイクに乗せる。

「健介さん、どこへ行くの?」

「湾岸道路!」

健介は湾岸道路の入り口に着くと道路に芙美子を下ろした。

「今日はどこまで?」

「わからない」

「気をつけて」

「別れ話が起きてから一度も泣かなかった。

 芙美子、君は素敵な女だ」

芙美子は呆然と道路に立ちつくす。

「元気でいろよ!」

あのハーレーとわかる独特の爆音を響かせて悠然と走り去っていった。

監督が「 カット! 」と言った。

まさに裕次郎にピッタリの役だと私は思った。

健介役への彼のなりきり様に震えを感じてしまった。

しかし芙美子がもし私だったら、彼が去った後どうするのだろう?

彼女は20歳代だ、まだ若い。

結末を変えようと思ったが、結局原作通りの脚本になったの。

結末のワンシーンはこんな感じ。

芙美子は湾岸道路にひとり置き去りにされたことが悔しくてたまならい。

その後、便りもない健介。

芙美子は大型バイクの免許をとるために必死に努力する。

そしてついにハーレー仲間と湾岸道路の入り口に立つ時がきた。

ハーレー仲間が芙美子に尋ねる。

「さて、これからどっちへ行くのかな?」

「わからないわ。とにかく、湾岸道路を走ってみる」

「そのあとは?」

「さあ。わからない!」

映画「湾岸道路」はヒットして、裕次郎を一躍有名にした。

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愛の勝ち逃げ~SAKIMORI脚本家サキの恋

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「太陽の季節」のクランクアップに撮影所に来て、

帰ろうとする裕次郎。

私は、裕次郎をデスクに呼んで、伝えた。

「ゆうちゃん、次の作品が決まったわ」

私は親戚のように振舞うために

彼のことを「ゆうちゃん」と呼ぶことにしていた。

「どんな作品ですか?」

「この前、私が書いていた湾岸道路よ」

「わかりました。 じゃ!これで」

「待って、ゆうちゃん、

今度は主役よ。

この脚本、持っていって!」

「主役ですか!

ということは、健介役ですか?」


「そう!

もう読んだ小説なのでイメージはつかめているでしょ?」


さすがの裕次郎もフリーズしているようにみえた。

裕次郎に脚本を渡すと、無言で帰って行った。

「まったく 無口のお人形様みたいですね」と、秘書が言った。

「そうなの。人間じゃないようなところがあるのよ」

「湾岸道路って、どんな作品なんですか?」

「湾岸道路はね。早稲田の先輩、片岡義男の小説。

愛去り、つまり愛の勝ち逃げをする話よ。

これまでいくつか作品があって。

例えばね・・。 渡辺淳一の化身なんかそうね」

「愛の勝ち逃げですか。髪結いの亭主は、どうですか?」

「それも勝ち逃げね。それも死ぬ勝ち逃げかしら?」

「面白そう。 くわしく聞かせてください」

「夫婦が共働きで、妻は浪費することが生きがいなの。

とうとう借金が膨らみ、夫のお金までは及ぶようになるの。

それで妻は銀座で水商売のアルバイトをするようになる。

あまりの美人なので、寝たいと言うお客が殺到する。

それで、夫以外の男と一晩15万で、セックスするようになるの」

「15万ですか!」

「バブルに向かう時代だから、今の相場は検討がつかないけど」

「夫は知っているんですか?」

「夫も知っていて。

愛して、ただでさせてやれ。おまえは、女房にしておくよりも、

金で買ったほうがいい女かもしれないと言うの」

「旦那さん、平気なんですか?」

「父が家庭内暴力で母をボクシングのサンドバッグがわりにしているトラウマがあるのよ。

それで何も言えないわけ」

「つらいですね」

「そうなの。だんだんに面白くなくなったと思う。それで夫は離婚を決意するの」

「ものすごい美人を妻に持つ男はつらいんですね。 それで?」

「夫は言うの。おまえのような姿のいい、

ものすごい美人と、あっというまに結婚してしまうのも格好よかった。

離婚して一人でどこかへいってしまうのはもっと格好いいと。俺は思いついたんだ」

「よく、できますね」

「おそらく、現状維持で、夫から父親になるケースが多いけど。彼はいさぎよいわね」

「それで?」

「朝早くに、妻をハーレーバイクに乗せて、

 湾岸道路の入り口まで行って、妻をそこに置き去りにするの。

 一人で、さまようんだと言ってね」

「置き去りが復讐なんですね。それで?」

「女性は悔しくて仕方ないの」

私は、秘書に、そう話しているときに、オズ監督が現れた。

低いアングル撮影で、胃を床につけてばかりいるので、

胃を痛めているらしく、頬がヤセこけた風貌だ。

秘書はお茶の用意に、黙礼して退室した。

「よ~! 裕次郎君は、いるかい?」

「あら! もう帰ったわ」

「そうか。それは残念」

「何か、あったの?」

「いや。 せっかくだから、作品について話したかったんだ」

「ゆうちゃんは、原作を読んでいるから、つかみはいいかもしれないわ」

「そ~! 原作、知っているのなら。安心だ」


「ねえ監督! 本当に裕次郎でいいの?」


「ああ!スクリーンテストの時から何かあると注目していたんだ。

彼はラッキーだよ。

主役予定のアキラ側が辞退からね。

アキラより、ゆうちゃんは、俺の求めていた主人公健介にぴったりだよ。

不幸中の幸いだよ」


「湾岸道路」の主人公健介はハンサムで孤独で寡黙なライダー。

夕方になるとガソリンスタンドか公園にある

水道の蛇口を見つけては髪を洗う。

その姿が美しく、ライダー仲間から、

夕映えのシャンプーライダーと言われた。

そんな健介に、裕次郎が目に浮かんだと監督は言った。


私には裕次郎は断然に他の男優とは別格だと思っていたが、

いきなりの主役抜擢だけは予定外だった。
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慶応ボーイの悲劇~SAKIMORI脚本家サキの恋

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裕次郎が最初に出演した映画は「太陽の季節」だった。

湘南に集まる若者を演じて、本当にチョイ役だったが、

スクリーンに映る裕次郎が、あまりに目立つので、

試写を観た映画関係者で、裕次郎が話題にのぼるようになった。

やはり、推薦して、私の目に狂いはなかったと、

戦勝気分で、試写室からデスクに戻った。

秘書が「お疲れ様」と言って、いつもより話したいような顔だった。

「誰からか、連絡あった?」

「いえ、まだありません。 ご機嫌ですね。

試写はよかったですか?」

「社長も慎重だけど、裕次郎の売り出しには、あれで良かったと思うの。

一番光っていたわ。あれは彼の天性ね」

「太陽の季節って、どんな作品なんですか?」

「そうね。慶応ボーイは、モテすぎるって話かな」

「え! そうなんですか?」

「原作は元都知事の石原慎太郎が、

一橋大学在学中に書いた短編小説なの」

「一橋ですか、田中康夫の先輩なんですね」

「一橋は国立大学で、文系では東大に次いで、優秀よね」

「あのお堅い右翼の石原慎太郎の作品なんて、想像つきません」

「太陽の季節で、芥川賞をとり、作品から太陽族という言葉が一世風靡したの」

「湘南ボーイの原点なんですね。知らなかった」

「話は石原の弟が慶応ボーイで、同級生の乱れた女性交際をネタにしているの」

「谷崎潤一郎の作品でも、女性くどき名人の、慶応ボーイが出てきますね」

「そうね。それは、たしか痴人の愛かしら。

谷崎は、慶応のことを、女たらしでハイカラなボンボンが通う大学と書いているわね。

日本で一番のプレイボーイ大学の伝統を持っているのは確かね」

「三田の色摩、テイノーですか?」

「それ、慶応大学の校歌を早稲田が替え歌で非難するフレーズよね。

ワイセツのいき、高らかに、さえぎる者、なきよ~ テイノー テイノー」

「知っているんですね。大学は早稲田なんですか?」

「そう。中退だけど。ワセジョよ。貴方は、たしか慶応よね?」

「はい。男は慶応ボーイ、女は慶応パンツと言われています」

「それで、太陽の季節に興味があるのね」

「はい。慶応ボーイの話だということだけは知っていたんですが。

それ以上の詳細は知らないので、知りたいんです。どんな話なんですか?」

「主人公は龍哉と言って、慶応ボーイでモテモテなの。

その中で、英子と知りあい、

気になる存在となり、いっしょに行動することが多くなるの。

ある日、兄の道久や女子大生など10人ほどで油壺に行った時、

龍哉は女子大生と、英子は兄の道久と関係を持つの。

翌日兄弟は賭けをする。

兄の道久が、まだ英子が龍哉を愛しているなら、5千円をやるという」

「5千円ですか?」

「昭和31年頃だから、今の5万円以上かもね。

龍哉は賭けに勝つけど、5千円で英子を道久に売る約束をして、志賀高原に遊びに行ってしまう。

5千円で道久に売られたことを知った英子は、お金は自分で道久に返すと言うの。

道久と関係をもつたびに英子は龍哉に送金する。

英子は龍哉とも関係があって、兄弟丼なんだけど、龍哉の子を妊娠してしまう。

龍哉は堕胎しろと言うの。

胎児は4カ月で、帝王切開したのだけど、

手術して、数日して、英子は腹膜炎を併発して死んでしまうの。

死ぬことで、英子は俺に復讐をしたのではないかと、龍哉は思うわけ。

葬式の日、龍哉は涙を浮かべながら香炉を握ると英子の写真に叩きつけるの」

しばらく沈黙があって、秘書は尋ねた。

「英子を好きなのに、なぜ主人公は、英子に冷たいんですか?」

「若い頃は、 慶応ボーイだし、モテモテで、女性には不自由しない。

英子が束縛してくるので、嫌気がさしたのよ。

好きだけど、女性遊びは別物なのよ」


「やはり、若い頃は、男は遊ばせていた方がいいのですね?」

「そうね。精力がありすぎるのよ」

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プロポーズ~SAKIMORI脚本家サキの恋

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人通りが多い六本木から一本道を隔てた場所にあるキャンティ。

場所的には大使公館の斜め前で、

路上駐車できるほど、人の行き来が少ない、ひっそりとしていた。

有名になったら一度は訪れるだろう。

ヨーロッパの有名人も来日したら必ず訪れるだろう。

日本ではじめてつくらた本格イタリアレストラン「キャンティ」。

どんな有名人を見かけたかは、書き出すと3ページは羅列できる。

私と英次はキャンテイで食事をして、

その後、サルサを踊りにいった。

深夜になり、とうとう、あの時間が到来した。

久々に上機嫌の私は、英次宅にいた。

ふたたび味わうタバコのニオイ、男の重み。

そしてベッドの深淵に沈んだの。

コトが終わって、英次が聞いてきた。

「どんな男が理想なんだ?」

「フランソワーズ・サガンの好きなポール」

「ポールって?」

「フランソワーズ・サガンの小説で、
 数多く登場するポールよ」。

「どんな男だい?」

「サガンが一番のお気に入りの男よ。

中年で優しく、ハンサムな男。

でも、サガンはファザコンなのよ。

ポールは恋人というより、父親だと思うわ」


「女性はファザコン。僕はマザコンだよ」


「丸暗記しているセリフがあるわ

 ちょっと長いけど・・・」

英次は「聞きたいな」と言って、タバコに火をつけた。

「ねえ、リュシール、あなたはわたしのところに帰ってきますよ。

 わたしはあなたのためにあなたを愛しているのです。

 アントワーヌはあなたといっしょにいるために、

 あなたを愛しているのです。

 彼はあなたと幸福で、いたいのです。
  
 彼の年ではもっともなことです。
 だがわたしは、自分のことを離れて
 あなたが幸福であることを望んでいるのです。
 わたしは待つ以外にありません。
 アントワーヌは、あなたの弱点だとか欠点だとかを
 当然恨むようになるでしょう。
 まだあの男には女の強さとなっているものが
 わかっていないのですよ。

 男が女を愛する理由はそれなんですがね、
 たとえそれが最悪のものを包み隠しているとしても、
 アントワーヌはあなたからそれを学ぶでしょう。
  
 そしてあなたはわたしのところに帰ってきますよ。
 なぜなら、わたしがそういうあなたの欠点を皆知っているということを
 あなたは知っていますからね 」


タバコを灰皿に置いて英次は言った。

「おそろしく、寛大な男だね。 それはもう父性愛だね。

 自信満々で、そのリシュールって女性を熟知しているようだ。

 なあ、咲子。

 僕はポールみたいにはなれないけど、

 きみを愛しているんだ。

 結婚してくれないか?」

「いいわ」

快楽の残り火にひたっていると、どんなことでも言わせてしまう。

男って、すぐ約束させるけど。

男との約束なんて、天気みたいなものよ。



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決戦は金曜日~SAKIMORI脚本家サキの恋

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前回まで

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デートの当日が来た。

いつもより早くスタジオから帰宅すると、

裕次郎は椅子に腰をおろして、
ぼんやりと空をながめていて、
そばを通った時に、
裕次郎は書類を差し出した。
書類は会社との専属の契約書だった。

私はざっと目を通して言った。
 「念のため私の弁護士に見てもらいましょう」

裕次郎は黙って肯いただけだった。

「契約の給料で満足?」

「僕はどうでもいいんです。
 この契約であなたがいいと思うなら、
 僕は印鑑を押しますよ」

私はうわのそらだった。

「なんだか、お急ぎの様子ですね?」

「私、今夜は英次と夕食の約束があるの、
  あと一時間したら、彼が迎えに来るから」

私はバスルームに行って、熱いお湯につかって、

これからのことを思いえがいた。

裕次郎はおそらく人並みの映画俳優になるだろう、

いやもっと素晴らしい映画スターになるかもしれない。

英次はあいかわらず私を愛してくれている。

湯船で「決戦は金曜日」を鼻歌でハミングした。

風呂からあがり、バスガウンをまとって、

化粧台の前に腰をかけ、化粧を開始する。

終わると、ミッドナイトブルーのドレスを着た。

そして居間に行って裕次郎の前で尋ねた。

「私、どう?」

「僕は庭いじりの服装のあなたが好きです」

裕次郎の目は、母親が子供をおいて、

おめかしして出かけるときに、

一人留守番でうらめしいように、

みつめる子供の目に似ていた。

英次が現われて、裕次郎に気持ちよく挨拶した。

「そうだ。
  二人とも慶応ボーイなのね」

英次は「そう」と言って、ちょっと驚いた表情をした。

裕次郎に、私は「行ってくる」と言った。

裕次郎は玄関口に立ったままで見送った。

私は独り言を言った。

「美しい、じつに美しい、裕次郎、いってくるわ 」
line

ノルウェイの森 の、外伝にしたい話し

===

前回まで


===


夢の中で

「ノルウェイの森」の直子とトオルが会話をしている。


「ビートルズの『ノルウェイの森』は


ナンパに失敗した歌なんだ」


「へぇー そうなんだ」と、直子がつぶやいている。

「有名な話しだけど。

 歌の英語タイトルはNorwegian Wood。

 邦題はノルウェイの森になっているけど、

 本当はノルウェイ製の家具なんだ。

 誤訳なのか洒落で訳したかわからないが、

 家具を森と訳したようで。

 家具より森の方が売れると思ったのかな。

 話しはジョンがナンパ女性に拒絶されて、

 彼女の家に置いてけぼりにされる。

 腹いせに暖炉に火をつけて、

 彼女のお気に入りのノルウェー製の家具を燃やしてしまう」


「・・・・

 それは・・・・

 私が置いてきぼりに、されたのよ。

 ねえ、そうじゃない?」

===


「僕のノルウェイの森」の真実の写真


===
line

キャンティ六本木~SAKIMORI脚本家サキの恋

===========


前回まで



===========

「英次、私を信じてよ。

私と裕次郎との間には何もないの。

私は裕次郎に恋愛感情なんて生じないの。

裕次郎だって同じよ。

誤解を与えるような暮らしをしているのは確かだけど。

だけど、ほんとうにそうなんですもの、どうしようもないわ」

「咲子、僕に誓ってくれるか?」

「いいわ」

私はあきれてしまう。
本当に男って誓いをしたがるものだ。
私はとにかく誓った。

すると英次はそれまでの暗く深刻な表情が消えてしまって、

元気はつらつの、ウキウキな顔になってしまった。

まったく男って単純だわ。

英次くらいの女性キャリアを持っているなら、

女の誓いを信じるなんてありえないと思っていたけど。

そうではなかった。

そして私は感じた。

英次は本当に私に夢中なんだということを。

私は事実上1ヶ月以上も裕次郎と暮らしてきて、

その期間、私はほとんど外出らしい外出をしていなかった。

ご無沙汰だわ。

これまで私の人生で

とても重要な意味を持つ、

ハンサムな男性とベッドの深淵に

身を沈めるということもなかった。

私はあらためて英次を見つめた。

なかなか魅力的で、しゃれていて、

私には申し分のない男性だわ。

いつのまにか、彼とデートの約束をしてしまっていた。

久々に六本木の「キャンティ」へ食事に行くことを決めたの。

パジリコパスタ、デザートのカルメン・・・。

野獣派の石坂、加賀やユーミンにも会えるかもしれない。



line

村上春樹氏が言ったこと~ガラスの玉ねぎ~僕のノルウェイの森

===

前回まで


===

直子が逝ってしばらくは僕の夢枕に登場した。


「ナオ、自伝書くよ」

「トオルの自伝なの? 

知らないことがあるかもね」

「書きたくなったんだ。

文章が苦手で、ためらっていたけど」

「大丈夫なの。心配よ。

トオルは文章下手というか。

これまで、トオルの文章、みたことない。

言葉での説明も、何を言っているのか、わからないし」


「そうなんだ。随分悩んだよ。

だから、なるべくわかりやすく。

説明するだけにしたい」


「しかし、どうしたの?」

「大事なものをなくすと、

人は心に空いた穴を埋めようと

思い出の埋設作業を、するらしい」

「なるほどね」

「書くのが苦手になった原因を、最近思い出したんだ」

「何かトラウマがあるの?」

「小学三年だったと思う。

僕が書いた作文を、先生が黒板に書いたんだ。

僕の名前は、あかさなかったけど。

僕の文を、けなしたんだ。

一人称と三人称の、人称統一がなされていないと。

僕が悪いのだけど、黒板で公開リンチを受けた気分だった」

「それは救えないね。

その後に、褒めてくれる先生がいたら良かったのにね」


「すべり止めに早稲田の文学部に受かったけど、

なんの迷いもなく、他の学部に進んだ。

今、後悔している」

「そうだったの」

しかし文学部を出た村上春樹さんの言葉に勇気をもらった」

「どんな言葉?」

「僕の書いたものが、どんなに罵倒されてもいい。

その中の1名か2名が好きだと言ってくれれば

うまく進んでゆく」

「そんなもの、かもしれないね。

悪文でもいいじゃない。

書いてみたら」


「僕は春樹さんに会った覚えがある。

千駄ヶ谷にあった春樹さんの、お店で目立ったことをしたので


春樹さんに言われた。

『君の目を、見ていると その目は、何か、しでかす目だ。

悪い方にゆくか、良い方にゆくかは、わからないけど』 」

「何、やったの?」

「うむ、今 まとめ中で、本に掲載するよ」

====

「ヴィオロンの妻」

2014年10月出版、同月で完売しました。
リクエストがあり、
再販(第二版)して、アマゾンで購入できるように進行中です。
サイズは文庫本に近い角川新書サイズですので、電車で楽に読めます。


「ヴィオロンの妻」の真実の写真集



====
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映画デビュー~SAKIMORI脚本家サキの恋

<< 次の投了までは加筆しています >>


前回まで


===========

私は撮影所のデスクにすわって、落ち着かなかった。

裕次郎はソファに座って平静で、
ほとんど退屈しているかに思えた。

私は裕次郎の映画テストの結果を待っていたの。

電話が鳴り、私が受話器をあげるとオズ監督からだった。

「サーキー? 」

「はい、監督?」

「驚いたよ。
彼、スクリーンで輝いている。
こんな男は佐田啓二以来だよ。
光っているよ」

佐田啓二


こうして裕次郎は映画界にデヴューすることが決まった。

会社はスキャンダルを避けて
裕次郎と私は、遠い親戚ということになった。
そして裕次郎には、
私のウチから、
すみやかに引越しすることが命じられた。

しかし裕次郎は、
すぐに出て行こうとはしなかった。

私はスタジオのカフェで
英次と偶然に出会ってしまい、
ランチを共にすることになった。

「咲子、裕次郎君をどうするつもりなんだい」

「それなんだけど、
彼は歩けるようになったので、
引っ越しする予定だわ」

英次は疑わしそうな眼で,、私を見つめた。

「咲子。

僕はこれまで君がけっして嘘をつかなかったし、

他の女性が好んで演じるばかげた、
お芝居などをしなかったから、

君が好きだったんだ」

「それで、どうだって言うの?」

「君はまさか、
君のような女性が一ヶ月以来何事もなく、
美貌の青年とおなじ家に
住んでいるなどと言うつもりはないだろうね。

僕は彼が美青年だと言うことは認めるし、

映画スターになるような予感はするよ」

私は吹き出して言った。
line

直子~ガラスの玉ねぎ~僕のノルウェイの森

===

前回まで


===

直子がいなくなった。

最後の一週間はモルヒネ漬けで、意識は不明瞭。

会話がまったくできなかった。

本人は死ぬということを自覚していた。

僕が伝えたからだ。

でも麻薬の影響なのか、言い残すことがないのか、

僕にはわからない。

とうとう僕には最後の言葉も残さずに逝ってしまった。

何か言って欲しかった。

いつだっただろうか。

病院で元気だった頃に、直子が言った。

「私が、もしもの場合は、

トオルは新しい女性と幸せになってね」

思えばそれが最後の言葉だったかもしれない。

次があれば、麻薬漬けになる前に、言い残す言葉を
聞いておきたい。

モルヒネ漬けになると、もう死んだも同然で。

その前に、お別れをしておくべきだ。
line

SAKIMORI脚本家サキの恋~自動車ショー歌

<< 次の投了までは加筆しています >>

前回まで


===========

翌朝になった。
私は眠れない一夜を経験したわ。

なぜって、私はかねてから、
裕次郎を見ていて
思っていたことを実行しようと思いついたの。

というよりは初めて裕次郎に会ったときに
彼の美貌に何か予感めいたものをおぼえていたの。

そう。裕次郎を映画俳優として売り込むのよ。

私はずっと裕次郎と暮らして、
直感は確信に近いと思っていた。

ことによったら
この若者は一世を風靡する
二枚目スターになるかもしれない。

私は裕次郎が映画の大スターとなって、
数々の賞を獲得して銀座や六本木を闊歩して、

そして時々昔自分を映画界に紹介した、
この咲子おばちゃんに会いに 、
来てくれるかもしれないと勝手に想像をした。

私が今脚本を書いている作品で、
主役予定のアキラ側が辞退したことを思い出したの。


アキラの『自動車ショー歌』が大ヒットしてしまった。


駄洒落の歌詞で、
遊び半分にレコードを出したところ、
ヒットしまったらしい。

ヒットしたので、
車のからむ映画に企画変更してしまったの。

私の書いた脚本はオートバイが全面にでるので、
今のタイミングでは難しいことになってしまった。
それで、アキラは主役をおりてしまったの。

でも、感心するわ。

この歌詞、よく思いついたものよね。

あの娘をペットにしたくって、ニッサンするのは パッカード。
骨のずいまでシボレーで。
あとでひじてつ、クラウンさ。
ジャガジャガのむのも フォドフォドに。
ここらで止めても、いいコロナ。

(トヨ)ペット、 ニッサン、 パッカード、 シボレー、 クラウン、
ジャガー、フォード、コロナ と車の車種が続いている。

さて私は、配役のオーディションを
まだ行っていたことを思い出したの。

私は担当に電話して、
裕次郎を、カメラテストまでは持ち込んだ。
line

ジョゼ その3 ~ガラスの玉ねぎ~僕のノルウェイの森

====


前回まで


====

早稲田の大学祭にジョゼを招待した。


ジョゼは友人のレイコともう1名、
名前は忘れたけど、3名で来てくれた。

僕が招待した覚えがない。

もしかしたら荒木一郎の招待なのだろうか?

今は記憶がない。


その日の帰りか、しばらく経ってなのか覚えていない。

僕とジョゼは吉祥寺の駅付近にいた。

吉祥寺に住んでいるジョゼを送っていったのだろうか。

記憶にないのだ。


ジョゼが変なことを言い出したことだけは覚えている。

「レイコが一生懸命に、あなたの演奏みていたよ」


僕らは吉祥寺駅で別れてしまった。


「わたしより レイコが一生懸命に 

あなたをみていたよ」


こうジェゼに言われたことだけが、今ずっと残っている。


ジョゼは脚に障害があり、ちょっとだけビッコで歩いていた。


レイコはたしかに美人だったので、

ジョゼは私よりはレイコがと、言ったのかもしれない。

僕はビッコなんか平気だった。


可愛かった。


でも18歳の僕には彼女があたしでいいのって確認していることをわからない。


僕はその時、女性の気持ちがわからなかった。


額面通りに受けとめ、失恋したと思ってサヨナラした。


馬鹿なオレ。


今思えばふられたわけではない。

むしろジョゼは
僕から、そうじゃないという言葉を待っていたのだ。

このことは年齢を重ねていって、わかること。

恋愛に未熟な僕は、人を傷つけてばかりいる。

22years.jpg

時代は小説「ノルウェイの森」と、同じ頃。

====


by 村上サガン


====



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出版した「ヴィオロンの妻」、残りあと2冊



ネットで現在は前編を公開していますが

アクセス5万をこえて、

今年の10月17日に

自費出版しましたが、

本日在庫が、あと残り2冊になりました。


皆様 ご購読ありがとうございました。

妻の九周忌

供養というよりは、妻から恨まれていますね。

==

本の目次(真実の記録です)

お化けででてきた 赤い服の女の子

ノルウェイの森で結婚

空蝉橋の子宮縛りの名人 

日記編「不倫は別れの理由にならない」 

日記編「麻薬のまま、サヨナラ」

ミユキの骨壷の水

===


私の作品一覧



===
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SAKIMORI脚本家サキの恋~旅立ち その2

<< 次の投了までは加筆しています >>

前回まで


===========

「裕次郎さん、お互いに話し合う時がきたわ」

「その必要、ありませんよ。

僕が残るのがお嫌なら、僕は出てゆきます」

「そうじゃないの」

「ほかに何があるんです?」

私はぽかんとして裕次郎を見つめた。

そうだ、ほかに何があるのだろう?

なぜか裕次郎と別れるさみしさが押し寄せてきた。

「世間体が問題なのよ」

裕次郎は笑い出した。

「あなたが病気で、けがしていたあいだは、

  私があなたをウチに泊めるのはあたりまえだったわ。

  あなたを道路にほうり出して、

  傷を負わせたのには、私にも責任があるから」

「では、僕が歩けると、世間体が悪いっていうわけですか?」

「説明がつかなくなるわ」

「誰に説明がつかないんですか?」

「みんなによ」

「あなたはあなたの生活を
みんなに説明してまわるのですか?」

私はカチンときて、言った。

「ねえ、裕次郎さん、いったいあなたはどう思っているの?

私には私の生活があり、友人がいて、

それから・・・男だっているのよ」


裕次郎はうなずきながら言った。

「あなたに恋している男たちがいることは
 僕だって知ってますよ。
 たとえば英次さんなんか」

「英次とは何もないの、ただの友達だわ。

 わかってほしいの。

 あなたがここにいると、
 私にとって噂の種になるのよ。
 わかるでしょ?」

「そうですね。
  僕はしばらく働いて、
  あなたにお金でお礼をしたいと思ったんです」

「お金なんかいらないわ。

  私は十分すぎるくらい稼いでいるの」

「僕はどうしてもお礼をしなくてはならないんです」

長々と深夜まで続いた議論の末、

私たちはひとつの妥協に達した。

裕次郎は仕事を探し、

しばらくしたら別の自分の住居を探す。

そんなことでお互いに意見が一致した。

もう時計は深夜1時をまわっていた。

やっと眠りつけると私はベッドにはいると、

突然大事なことを尋ねることを忘れた。

なぜ裕次郎は私のそばに残ることを

希望したのかということだった。
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SAKIMORI脚本家サキの恋~旅立ち

<< 次の投了までは加筆しています >>

前回まで


===========
錦之助が死んだ数日後のある晩だった。

裕次郎は急に立ち上がった。

まるで怪我などしたこともなかったようにやすやすと、
まっすぐ数歩歩いて、
呆気にとられている私の前に立ち止まった。

「ごらんのとおり、治りましたよ」

「それは良かったわ」

「そう思いますか?」

「ええ、もちろんよ。
それであなたはいったい、これからどうするつもり?」

「あなた次第です」と静かに言い、椅子に腰をおろした。

「そうね ・・・・」と、私は考えている顔をした。

「もし僕がここに残るとしたら、
 僕はいくらなんでも働かなければならないでしょうね」

「あなた、東京に住みつくつもり?」

裕次郎は手で足元をさして「僕はここと言ったんです」

私は戸惑った顔をした。

裕次郎は言った
「もちろん、もしお邪魔でなかったら、という意味ですが」

「おやまあ、これは驚いた、まさか、そんなこと」
と、つぶやきながら立ち上がった。

裕次郎はじっとして私を見つめていた。

私は逃げるように台所へ行き、
ウイスキーをらっぱ飲みで口いっぱい飲んだ。

少し落ち着きを取り戻して、
裕次郎のいる部屋にもどっていった。

そうだ、この若者に言って聞かせる時がきたわ。

私は好きで一人暮らしをしているのであり、
若い男のお相手などは必要としない。

第2に、裕次郎がいるので、
私に言い寄ってくる男たちを
私の家につれてくることができないので、
じつに不便だということ。

それから第三に、第三に・・・。

要するに、裕次郎がここに残る理由などまったくないのだと。

==========

村上サガンの作品紹介
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ジョゼ2~ガラスの玉ねぎ~僕のノルウェイの森

===


前回まで

===
僕がジョゼと会ったのは

小説「ノルウェイの森」と、同じ頃。

吉祥寺に「赤毛とそばかす」というロック喫茶があった。
赤毛とソバカス


その店に来ていた3名の女子高生と知りあった。

学友の荒木一郎が話しかけた。

荒木は銀座生まれだからだろうか、お洒落にナンパする。

ナンパしているような感じがしない。

いつのまにか話しかけている。

高速道路に合流する時に、止まらないで、
自然に合流してゆけるような、微妙な入りだ。

かなり練習したのだろう。

彼についてゆけば、女性とは知り合える。

音楽の話しが中心で、チェッペリンとかディープパープルなどが飛び交った。
3名ともに、美形で、不良学生には見えなかった。
その中にちょっとビッコの子がいた。

とりあえずその子の名前をジョゼとしよう。

おそらく小児麻痺だと思う、片足の関節が曲がらないので、歩くときにちょっとビッコする。

なぜだろう。
僕は他に美形の子がいたが、ジョゼが気にいった。
アグネスチャンのような感じで可愛かった。

それからしばらくして僕は、

ジョゼの地元のロック喫茶を案内してもらう交際をはじめた。

時代は小説「ノルウェイの森」と、同じ頃。

中央線沿いにはロック喫茶が多かった。

もう昔のことで、記憶が定かではないが。

高円寺か荻窪だっただろうか?

「飛行船」という名前のついた
音楽喫茶でもデートした記憶がある。
飛行船はレッドチェッペリンを象徴する飛行船だ。

つきあいは、ただそれだけで進展もしなかった。
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SAKIMORI脚本家サキの恋~私を奈落に落とした男

<< 次の投了までは加筆しています >>

前回まで



裕次郎はテラスで
ロッキングチェアーに身をのばして、
小鳥をながめていた。

裕次郎は
私を見つけると手をあげて合図するが、
英次を見ると、手をひっこめた。

裕次郎の前に行って言った。
「錦之助が死んだの」

裕次郎は手を差し出し、
躊躇しながら私の手にさわった。

私は突然わっと、
足元に膝をつき泣き出した。

裕次郎は無言で、じっとしていたが。

英次は何も言わずに去っていった。

私は落ち着きを取り戻すと、
顔をあげて、英次が去ったことに気がついた。

なぜ私は英次の前で泣かなかったのだろう?

「私、みっともない格好でしょう」

私は涙目で、
まつげのマスカラがどこかにとんで、
おそらくパンダのようで、
見られた顔ではないことを知っていた。
なぜか裕次郎の前では
すこしも気にならなかった。

「なぜ、悲しんでいるんですか?」
と不思議そうに裕次郎が尋ねた。

「私、錦之助を、ずっとずっと愛していたのよ」

「彼はあなたを捨てたんですよ。
彼は罰せられたのです」

「あなたは単純だわ。
 人生はあなたのように単純ではないのよ。
 ありがたいことに」

「人生は単純にもなりえます」
そう言うと裕次郎は
私を見ないで庭の小鳥たちを見た。

裕次郎は何か私を避けるような、
もうこの会話はしたくないというような態度であった。

私は彼には同情心があまりないと思ったの。

英次の肩が恋しかった。

ふたりで、したであろう錦之助の思い出話し、
ときどき私の涙をふいてくれたはずよ。

英次のしぐさなど、
要するに、この同じ場所で英次と
いっしょに演じたであろうメソメソした、
身ぶるいするほど、
いやなお芝居がやれなかったことを残念に思った。
と同時に、
私は、そんなことをしないで
済ませた自分にほっとした。

私が家の中に、はいっていくと、
電話が鳴っているのに気づいた。

電話はその晩、一晩じゅう、ひっきりなしに鳴った。
私のかつての恋人たち、友人たち、
私の秘書、錦之助の相手役だった人たち、
新聞記者たち、みんなが私の電話にしがみついていた。

パリで、この訃報を聞いた岡田まり子が、
この機会をうまくつかんで倒れて見せて
撮影は中断した。
しかし彼女のフランス人の恋人と
ひそかに出て行くのがスクープされた。

私はこうした騒ぎに憤慨していた。

生前に錦之助が困窮している時に、
誰も援助の手を差しのべなかったからよ。

私と離婚して
岡田まり子と別れて
落ち目になっていった彼に
生活援助したのは私だけだったわ。

私が27歳の時に
無一文になり、パリから逃げ帰ってきた時、
錦之助が岡田まり子と離婚した時、

私たちは新しい仕事も提供されず。
完全に干されてしまった。
それを指示したのが
大日本映画社の武藤オーナーだった。
さらに武藤は弁護士に命じて、
ありもしない訴訟を起こし
私たちを、どん底まで追い込んだ。

そんな私が心底憎んでいる武藤が、
あつかましく電話をかけてきた。

「サーキー、本当に悲しいことだね。
  ぼくは、君が錦之助を
  とても愛していたことを知っている。
  それで・・・」

「私はね、
 あなたが彼を首にしたことを知ってるわ。
 そして私と同じように、
 彼がほかのどの会社でも働けないようにしたことも。
 もう電話しないで。
 でないと、
 私どんなことを言うかわからないわよ」と電話を切った。

あの頃の怒りが私の中でダムと化した。
私は客間に戻り、裕次郎に
これまで武藤から受けた仕打ちについて
洗いざらい放流してしまった。

 「私はアイツから
  自殺寸前まで追いやられたの。
  きっと錦之助の自殺も
  アイツの仕業だわ。
  私、これまで
  人の死を願ったことはないけれど、
  アイツは
  私が呪い殺したくなるほど憎い卑劣な男よ」

裕次郎は何も答えないで、真剣に聞いていた。

line

ガラスの玉ねぎ~僕のノルウェイの森

==

僕が大学1年の時だった。

秋の早稲田祭で演奏が終わり、僕らのバンドは解散した。

そしてある少女とも別れてしまった。

これは「ジョゼと虎と魚たち」という映画を観て、思い出したこと。


ジョゼというのは

僕の好きな作家フランソワーズサガンの分身のような存在で、

彼女の作品に数多く登場する。

ジョゼは、とてもシャイで、何事にも強気に出れない女性。

僕はサガンを、そんな女性だと思っている。

美的コンプレックスのかたまりで、強気に出れない。

彼女の自伝映画を観たが、

他人から気に障ることを、サガンはされるのだが、

彼女は怒らない。

だが突然 その場から消えてしまい 2度と戻らない。

それがサガン流の怒り方だった。

映画「ジョゼと虎と魚たち」は

サガン作品が好きな、ビッコの少女がジョゼと自称して

同年代の若い男とのかかわりをえがいている。

虎は彼女の強気な面、
魚は彼女の内向きなおくびょうな性格を表現しているように思う。

このビッコのジョゼのような子と、

つきあったことを思い出してしまった。

時代は小説「ノルウェイの森」と、同じ頃。

===

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自費出版 僕の自伝~妻はバイオリニスト

==

ヴィオロンの妻(真実の記録)

妻は僕より有名だった。

妻の生まれは東京の笹塚で、

国立音楽大学バイオリン科卒業、

ピアノバイオリン教師で、

某フィルハーモニア管弦楽団では

コンサートマスター(コンサートミストレス)をつとめていました。


ネットで前半を公開


2013年9月 5万アクセス突破しました。

============

ネット公開は前半の一部で、続きを含めて

今回自費出版しました。

book-vioron1.jpg


南陽堂書店で販売中(あと6冊)

お取り寄せできます。

〒060-0808    
札幌市北区北8条西5丁目TAKAGIビル1・2F
   南陽堂書店
電話011-716-7537 ファックス011-716-5562
メール nanyodo@rio.odn.ne.jp    
営業時間 午前10時~午後7時 定休日 日曜日・祝日

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