ミス・マルクス(2020)E〜別れから逃げる女
ミス・マルクス(2020)E〜別れから逃げる女
★数行で映画紹介しなければ
思想家カール・マルクスの末娘で
イギリスの社会主義者として活動したエリノア・マルクス
★ショウトしょうとSHORT
誰も嫌いになれない、優柔不断な女性。
浮気し放題のヒモ男と別れられない。
映画の中で「人形の家」が上演されるが
人形の家の主人公は、本作のミスマルクスですね。
「私は、父に、次は夫に利用されただけ」
貧しいものを助けるための思想が
独裁者に利用されて、自由を無くしてしまう。
机上の空論でしかない。
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★概要ネタバレは基本情報のあとに
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★基本情報
監督 スザンナ・ニッキャレッリ(イタリア語版)
脚本 スザンナ・ニッキャレッリ
製作 マルタ・ドンツェッリ
グレゴリオ・パオネッサ(イタリア語版)
製作総指揮 アレッシオ・ラッツァレスキ
出演者 ロモーラ・ガライ
パトリック・ケネディ(英語版)
音楽 ガット・チリエージャ・コントロ・イル・グランデ・フレッド(イタリア語版)
撮影 クリステル・フォルニエ(フランス語版)
編集 ステファノ・クラヴェロ
製作会社 ヴィヴォ・フィルム(イタリア語版)
ライ・チネマ(イタリア語版)
タランチュラ
配給 イタリアの旗 01ディストリビューション(イタリア語版)
日本の旗 ミモザフィルムズ
公開 イタリアの旗 2020年9月17日[1]
日本の旗 2021年9月4日
上映時間 107分
製作国 イタリアの旗 イタリア
ベルギーの旗 ベルギー
★概要ネタバレ
イギリス・ロンドン。
〔1883年〕
「カールは17歳で、イェニーと結婚の約束をした。
18歳になる頃には正式な婚約者として認められますが、
結婚に至るまで7年の歳月を要しました…」
エリノア・マルクスは父カールの葬儀で、カールの物語を話して聞かせます。
イェニーというのはエリノアたちの母で、2年前に亡くなっていました。
エリノア・マルクスは哲学家、思想家、経済学者として有名なカール・マルクスの第六子、四女として生まれました。
カールの子のうち3人(長男、次男、三女)が早くに亡くなり、
残っていたのは長女のジェニー、次女のラウラ、四女のエリノアでした。
カロリーナも父の死の直前に亡くなっていました。
エリノアは娘として参列者の前で、堂々と話します。
みんなの前で話して聞かせた父・カールの話は美談でしたが、
実際のところは浪費家でよくエンゲルスに借金を重ねていました。
エリノアは28歳になっていました。
聡明なエリノアは幼いころから父に同行して歩き、
16歳からは父の秘書として手伝いをしていました。
葬儀の席でも毅然とした態度で臨み、てきぱきと物事を処理していました。
父・カールよりも先に亡くなった長女のジェニーにはジョニーという幼い息子がおり、
いずれその子に時期が来れば姉が残した手紙を渡そうとエリノアは思います。
エリノアは親しい身内には「トゥッシー」と呼ばれていました。
幼い頃に呼ばれていたあだなの名残です。
エリノアは、父の仕事を手伝って28歳まで独身だった。
エリノアはエドワード・エイヴリングと出会う。
エドワードは劇作家で社会主義者でした。
エドワードはエリノアに近づくと、なぜエリノアがトゥッシーと呼ばれているのか質問してきました。
エリノアが苦笑するとエドワードは「僕はエリノアと呼んでもいいかな」
と質問を重ねます。
エドワードはエリノアにキスをし、エリノアは恋をします。
エリノアは活動の関係でアメリカ合衆国へ赴き、
ドイツ社会民主党の資金集めをする予定でしたが、
エドワードに「同行してくれる?」と質問しました。
「あなたは伝えるのが得意だわ」と言ってエドワードを連れて船に乗り、
アメリカへ渡ります。
社会民主党のための活動でしたが、2人の新婚旅行みたいなものでした。
エリノアは労働者の過酷な労働状況を調査したり、
児童を働かせている実態を調べたり、
支配者が金を搾取して生産者に金が回っていないことを調査したりしました。
しかしエドワードは同行した際に豪勢な食事を要求し、浪費しまくりました。
エリノアは彼の金銭トラブルに、当初から頭を悩ませることになります。
エリノアは特に貧困層の労働条件の改善について、精力的に取り組みます。
工場を視察して歩いては、仕事中に起きる事故の話などを聞きました。
たとえば1883年に起きた工場での事故は、命に関わる切断事故が403件、指などを欠損する事故が1337件起きたそうです。
そんな危険な状況で働きながら、時給3~4ペンスしかもらえないことを聞いて、
エリノアは心を痛めます。
その工場にはいたいけな少年がいました。
エリノアはその少年についていきます。彼は地下道のようなところに暮らしていました。
真っ暗で不潔なレンガの床に、少年の母親らしき女性が寝ています。
母親は見るからに病気を患っているようで、痩せこけていました。
エリノアは息をのみました。
〔1890年〕
エリノアとエドワードは
ヘンリック・イプセンの『人形の家』の舞台劇を演じた。
エリノアはノラ役で、エドワードはヘルメル役でした。
エリノアたちは拍手喝さいを浴びます。
舞台のあとでエリノアは、オリーヴ・シュライナーと話をします。
オリーヴは南アフリカの作家で、エリノアのよき友でした。
エリノアに近況を質問するオリーヴは、本当に心配してくれています。
それもそのはず、エドワードは相変わらず放蕩三昧でした。
金遣いが荒く、あちこちから借金をしているのです。
エリノアの父・カールの死後、後ろ盾となってくれていたフリードリヒ・エンゲルスからも借金を重ねていました。
エリノアはエドワードに「支出を抑えないと」「エンゲルスからもう借金しないで」
と訴えますが、エドワードは聞き入れません。
豪遊が大好きで、酒や葉巻を浪費します。
さらにエドワードは既婚者でした。
とはいっても妻との結婚は2年間で破綻しているのです。
離婚せずエリノアと交際しているため、
エリノアはエドワードと結婚していない状態でエドワードの生活を支えていました。
借金も引き受ける形になっていますが、エリノアは愛情があるために、
エドワードを支えることを疑問に思っていません。
〔1895年〕
エンゲルスが病気で床についたとき、死が近いと悟ったのか
「息子のフレデリックの父親ではない」と明言した。
フレデリックの母は、ヘレーナ・デムートだった。
ヘレーナは父カール・マルクスの時代に一家の家政婦として長く勤めてくれた。
エリノアはヘレーナの弁護のために、死の床にあるエンゲルスのところへ行きます。
エンゲルスは声帯に腫瘍があるため、枕もとに置いた小さな黒い石板で筆談します。
かといってエンゲルスが不誠実な言い逃れをするとは思えず、
エリノアが「本当なの? 誰が父親なの?」と聞くと、
エンゲルスがある名前を石板に書きました。
それは、エリノアの父・カールでした。
エリノアの父・カールがヘレーナに生ませていたと知り、エリノアは大きなショックを受けます。(エリノアにとっては異母兄に当たります)死んだ母・イェニーは知っていたかと聞くと、エンゲルスはうなずきました。親友に父親代わりをさせ、しかも母も関係を知っていたと知り、エリノアは呆れて泣くしかありませんでした。
エンゲルスは亡くなり、遺骨は川に散骨します。
エリノアとエドワードのほかに、姉・ラウラとその夫・ポールも来ていました。
ラウラはエンゲルスが遺してくれた金で、郊外に家を買うとエリノアに話します。
庭で娘を犬と遊ばせてやりたいと話します。
エンゲルスの遺産は、エリノアやラウラ、亡くなった長女・ジェニーの子どもたちに分け与えられることになっていました。
同じ頃、よき友人のオリーヴもロンドンを離れ、アフリカ・ケープタウンへ戻ると言います。恋人だったハヴロックとの関係も終わり、ロンドンの空気は耐えられないと言ったオリーヴは、アフリカに遊びに来てちょうだいとエリノアに言います。
真面目な顔をして「エドワードと一緒にいては駄目」とオリーヴは口に出しました。
「本当は彼のことが嫌いなの。
彼が近づくと虫唾が走る」と、オリーヴはエドワードを毛嫌いしていることを告白しました。
エリノアは静かに微笑みを保ったまま「彼を愛しているの。不仲は知ってたけど、尊重して」と答えました。オリーヴは悲しそうな表情を浮かべます。
このオリーヴのように、エドワードを嫌う者は大勢いました。
それでもエリノアはエドワードを愛します。
エドワードは女性関係も派手であちこちに女性がおり、留守にすることも多くありました。女にも金にもだらしなく、
しかも肺を患っていました。肺病の悪化で治療費もかさむようになります。
ある日、エリノアが帰宅すると家の前に若い女性が待っていました。
若い彼女は舞台女優だと言います。
エドワードが自分と結婚したと主張し、エリノアにはエドワードを解放しろと要求します。エドワードがサインしたらしき婚姻届を見せられたエリノアは、
エドワードが「アレック・ネルソン」という名でサインしているのを見て笑いました。
それは戯曲に使うペンネームだから法的に無効だと言い、
「だまされたのよ」と若い女を笑います。
女性を追い返したものの、家に入って寝ているエドワードを見たエリノアは、
ため息をつきました。
〔1896年〕
エドワードは肺を悪くしていた。
エリノアとエドワードは、次女・ラウラの買った家に招待されて行きます。
ポールもラウラも田舎臭くなっていることを、
あとで部屋で2人きりになったときに笑います。
咳が止まらなくなったエドワードは、アヘンを吸いました。
エリノアはたしなめますが、エドワードはききません。
ラウラに暮らし向きのことを聞かれたエリノアは、
エドワードのせいで借金だらけだと言います。
父・カールやエンゲルスの遺産も、エリノアの貯金もとうに使い果たしています。
エドワード自身ももう長いこと戯曲を書いていませんでした。
「最も絶望的なのは、エドワードは心配をしない」とエリノアは言います。
あちこちに借金をしているのに、それに対する心の痛みや恐れが分からないのです。
部屋に戻ったエリノアは、エドワードの手当てを献身的に行ないます。
「まだ愛してる?」とエリノアが聞くと、エドワードは「そのために生まれた」と答えました。エリノアは苦笑します。
〔1898年〕
エリノアは精力的に活動を続けています。
ある日、父・カールが母・イェニーに宛てた手紙が
本に挟まっているのを見つけたエリノアは、
両親のことを思い返して手紙を読みながら涙を流します。
墓参りに行き、並んだ両親の名前を見つめながら
「母は嫉妬しなかったのだろうか」と考えました。
エドワードは相変わらず、あちこち借金をして回り、
エリノアに負わせていた。
本人は海辺に保養に出かけていき、2か月間音信不通です。
エドワードを「単に道徳心がないだけ」と変な評価をする。
異母兄のフレデリック、通称:フレディと話をしながら、エリノアは道を歩きます。
フレディは妻を亡くし、落ち込んでいた。
家に戻ると、エドワードが戻ってきたという知らせを、
メイドの女性から聞かされます。
エリノアは家に入ると、エドワードがいた。
「死んだと思ってた」
「たしかに症状は悪い」
弱っているエドワードに湿布する。
眠るエドワードを見ながらアヘンを吸い、
エリノアは部屋で激しく踊ります。
翌朝
エリノアは病気を患った老犬を始末するためだといい、
シアン化水素(青酸カリ)を入手。
1898年3月31日
エリノアは部屋でシアン化水素(青酸カリ)服用して自殺。
THE END
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