黒い罠(1958)D〜オーソン・ウェルズ作品顛末
黒い罠(1958)D〜オーソン・ウェルズ作品顛末
★数行で映画紹介しなければ
アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に、
メキシコ人麻薬捜査官が悪徳警官の不正捜査を追及
★ショウトしょうとSHORT
オーソン・ウェルズが監督をすると、もめますね
映画冒頭の長回しは有名。
★試写会版
物語のプロットが難解すぎるとして、
ウェルズに無断で映画の脚本変更と追加撮影、
再編集を行った109分のバージョンが、
後に「試写会版」と呼ばれる。
ウエルズは激怒したが却下された。
試写会版が先行上映されたが、不評で、映画を96分まで短縮した。
最終的に一般公開されたバージョン、つまり「劇場公開版」となる。
★修復版
ゴダール、トリュフォーが作品を絶賛
ウェルズの死後、試写会版と劇場公開版を用いて映画の再編集を行われた。
残されたウェルズの膨大なメモに忠実に再構成された
上映時間111分の「修復版」は好評を博し、
作品の評価を不動のものにした。
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★概要ネタバレは基本情報のあとに
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★基本情報
Touch of Evil
監督 オーソン・ウェルズ
脚本 オーソン・ウェルズ
原作 Whit Masterson
『Badge of Evil』
製作 アルバート・ザグスミス
リック・シュミドリン(修復版)
出演者 チャールトン・ヘストン
ジャネット・リー
オーソン・ウェルズ
マレーネ・ディートリヒ
音楽 ヘンリー・マンシーニ
撮影 ラッセル・メティ
編集 アーロン・ステル
ヴァージル・ヴォーゲル
ウォルター・マーチ(修復版)
配給 ユニヴァーサル映画
公開 アメリカ合衆国 1958年4月23日
日本 1958年7月29日
アメリカ合衆国 1998年9月11日(修復版)
上映時間 96分(劇場公開版)
109分(試写会版)
111分(修復版)
製作国 アメリカ合衆国
★概要ネタバレ
アメリカとメキシコの国境地帯にある田舎町のロス・ロブレス。
新婚旅行の途中にそこを訪れたメキシコ人麻薬捜査官のラモン・ミゲル・ヴァルガス
妻スーザンは、地元の有力者リネカー氏の運転する車が突如として爆発したのを目撃する。
ヴァルガスは、スーザンをホテルに帰し現場の調査を開始する。
アメリカ側の捜査責任者として現場に現れたのは、ハンク・クインランと名乗る跛足で肥満した異形の老刑事だった。
クインランは担当した事件の犯人を必ず捕まえるので有名であり、
警察関係者から凄腕の警部として崇拝されていた。
爆弾が起動したのはアメリカ領だが、
車に爆弾が仕掛けられたのはメキシコ領だったとして捜査へ参加する意向を述べるヴァルガス。
クインランはヴァルガスを煙たがる。
ホテルに帰る途中にスーザンはヴァルガスについて話があると言われ、メキシコ人の若者に別のホテルに案内される。
待っていたのは、ヴァルガスたちが捜査中のグランディ一家の幹部ジョー・グランディだった。
ジョーはスーザンに対して、拘留中の兄弟を釈放するように脅迫する。
ヴァルガスとスーザンは、
グランディ一家からホテルの部屋を監視されるなど様々な嫌がらせを受ける。
耐えかねたスーザンは宿泊中のホテルを引き払い、
国境を越えてアメリカ側のモーテルにチェックインする。
モーテルに向かうヴァルガスとスーザンは、その途中クインランの相棒であるピート・メンジースたちと遭遇する。すぐにクインランと会ってくれと頼まれたヴァルガスは、とりあえず妻をメンジースに託し事件の関係者に対する尋問に向かう。捜査官としての「直感」に従い被害者の娘マーシャと彼女の恋人サンチェスを疑うクインランは、アパートの洗面所で発見されたダイナマイトを決定的な証拠としてサンチェスを締め上げる。しかしヴァルガスは直前に洗面所を確認しており、それは本来なら存在するはずの無い証拠だった。ヴァルガスはクインランが証拠捏造で容疑者を陥れたと非難、二人は激しく口論を交わす。クインランは同じくヴァルガスの存在を疎ましく思うジョーから共闘を持ちかけられる。
ヴァルガスは地方検事補佐のアル・シュワルツと話し合い、
クインランの不正疑惑を地方検事に訴える。
自身の立場が危うくなりつつあるのを感じたクインランは、
ヴァルガスの抹殺を決心する。
クインランの計画とは、麻薬捜査官であるヴァルガスの妻に麻薬常用者の濡れ衣を着せ、彼の名声を失墜させようとするものだった。ジョーから指令を受けたグランディ一家は、モーテルに滞在するスーザンを誘拐する。警察署で過去にクインランが担当した事件を調べ上げ疑惑を確信に変えたヴァルガスは、夜分遅くにモーテルに到着する。しかしスーザンの部屋は荒らされ、彼女は既に連れ去られた後だった。モーテルの夜間勤務者から宿がグランディ一家の所有であることを告げられたヴァルガスは、彼らの溜まり場である街のバーに向かう。
薬物で昏睡させられホテルの一室に連れ込まれたスーザン。
そこに現れたクインランは、彼の陰謀を知る唯一の人間であるジョーを絞殺し、
その殺人の罪をスーザンに着せようとする。
バーでグランディ一家のギャングたちと格闘中のヴァルガスに対し、その場に駆けつけたシュワルツはスーザンが麻薬所持と殺人の容疑で逮捕されたというニュースを告げる。
ヴァルガスは留置所で拘留中のスーザンの元に向かうが、
そこで彼はクインランの相棒であるメンジースと再会する。
ヴァルガスに見せたいものがあるというメンジース。
彼が持っていたのは、殺人現場で発見されたクインラン愛用の杖だった。
ヴァルガスとメンジースは真実を知るために、
二人で協力してクインランを盗聴する。
メンジースはクインランを馴染みの酒場から連れ出し、橋の上で疑惑について問い詰める。
クインランは鋭い「直感」で自身が盗聴されていると勘付き、激怒してメンジースを銃撃する。
長年連れ添った相棒を殺してしまったという慙愧の念に駆られ、クインランは涙を流す。
ヴァルガスとクインランは橋の下で向かい合う。
クインランはヴァルガスを殺害してメンジース殺人犯にしたてあげようとする。
ヴァルガスに銃口を向けるクインランだが、
息のあった瀕死のメンジースによって逆に撃たれてしまう。
留置所から解放されたスーザンを連れて、
判事シュワルツはヴァルガスたちの居る川の畔に到着する。
ヴァルガスはスーザンを抱きしめ、家に帰ろうと告げた。
ヴァルガスが録音したテープはクインランを告発するのに十分なものだった。
汚水に沈んでいくクインランの亡骸を見つめる酒場女ターニャ。
シュワルツはターニャに、爆弾事件の容疑者サンチェスが罪を認めたと語る。
クインランの「直感」は正しかった。
「アディオス!」と シュワルツに別れを告げて、ターニャは闇の中に消えていった。
THE END
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話題の映画とか一過性の映画でなくて、
100年経過しても名作と言われる映画を追いかける
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