西城秀樹と会ったキャンティ

フランソワーズサガン「優しい関係」のドラマ
日本人でドラマ化 幻冬舎「SAKIMORI」
飯倉のレストラン「キャンティ」
私はケイコと「キャンティ」にいた。
店のオーナーが声をかけてきた。
「受賞おめでとうございます。
亡き母も喜んでいると思います」
「あなたのお母様、
私は六本木のママと言っていたけど、とてもお世話になったわ」
「それはどうもありがとうございます。
でも、だんだん母のことを知っている方が
少なくなってさみしいかぎりです。
それでは、ごゆっくり」と、オーナーは軽く会釈して退いた。
西城秀樹が来店したからだ。
ケイコがエスプレッソを一口飲んで尋ねて来た。
「六本木のママって言われていたんですか?」
「梶子って言うんだけど、六本木の女王と言われていたのよ。
わたし、20歳代 30歳代は六本木に住んでいて、
いろいろと恋愛相談にのってもらったの。
このキャンティにね、いつもたまっていたの」
「その頃の六本木って、もう伝説ですね」
「そうね。 今は六本木歌舞伎町と言われて物騒な街になったわね。
若者が多くて、昔はほとんどいなかったのよ」
「『キャンティ物語』を読みました。
川添浩史梶子夫妻はパリにしばらく住んでいて。
帰国して、日本で初めてイタリア料理の店を開いて、
ヨーロッパの香りを持ち込んだのですね。
お店には日本とは思えない雰囲気がある。
井上順さんが、ここキャンティにはヨーロッパがあると
インタビューで答えていましたね」
「そう。ヨーロッパに行かなくても、ここにくればその気分が味わえる。
そのような場所ね」

「とても大きなレストランだと思ってましたが、こじんまりとして、
まさに隠れ家ですね。
でも、この狭い入り口を入ると、中は意外に広いですね。
このキャンティにはいろんな思い出があるんでしょう?」

「この店は日本の文化の発信基地で、
ジャンコクトー、川端康成、三島由紀夫、岡本太郎とか、
とにかく東京にいるありとあらゆる芸術家や有名人がこっそり訪れたの」
「ユーミンも高校時代から通いつめていたそうですね」
「梶子ママがユーミンを可愛がって、
彼女のアルバム『MISSLIM』のジャケット写真にあるグランドピアノは
梶子さんのものなのよ。
それにスパイダーズにもアドバイスしていたし、
彼らの事務所『田辺エージャンシー』も隣にあるくらいよ」
「野獣派の話しを聞きたいですね」
「あれは、加賀まり子、石坂浩二、大原麗子などが作った六本木遊び人組織なの。
ママが私だけに話していた秘密の話しがあるの。
加賀まり子が私生児を産んだの。
彼女は絶対父親の名前を言わないの。
彼女は20歳の時に女優の頂点にいて、私と同じことを考えたのね。
人生をリセットする目的で単身パリに渡るの。
いままで稼いだ金で豪遊して、イヴ・サン=ローラン、
フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、
フランソワーズ・サガンらと交友するの」
「サーキーさんと似ていますね」
「私なんか最後は悲惨よ」
「それで、どうなったのですか?」
「えっと、なんの話しだっけ?」
「父親の名前の話しです」
「あ、そうそう、もう時効よね。
ママはまり子の相手はアキラだと言っていたわ。
未婚のままで女児を出産したけど、 7時間後に死亡してしまったの」
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西城秀樹さんとはお店で3度お会いした。
ご冥福を。
いつも彼は
「今日は何を食べさせてくれるかな」って言ってました。
キャンティは
有名人が来ても 素知らぬ顔で 迎える。
キャーキャー騒ぐ客はいない。
なにか そんな空気が漂っていた。
=====幻冬舎から4作目の小説 SAKIMORI 大人のラブコメ
朝日新聞や夕刊フジなどに紹介されました。
朝日新聞
http://www.asahi.com/and_M/information/pressrelease/Cdpress000173781.html
夕刊フジ
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/180523/prl1805230160-n1.html
サンスポ
www.sanspo.com/geino/news/20180523/prl18052317310160-n1.html
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