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情事(1960)A~恋人の喪失を埋めるためのセックス

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情事(1960)A

モニカ・ヴィッティ2

★数行で映画紹介しなければ

恋人の失踪に戸惑う男女

★ショウトしょうとSHORT

ミケランジェロ・アントニオーニ

愛の不毛の三部作

情事



太陽はひとりぼっち(1962)D~アランドロン、愛の不毛三部作

以上の三作品で、情事はまさに不毛を描いた傑作です。


小説ノルウェイの森に共通する

喪失感を埋めるための愛の不毛

小説「ノルウェイの森」の最後の方で主人公が、

レイコさんと初めてSして別れる場面がある。

経験があるので、普通に理解できたが、


非難や疑問だと言う人が数多い。

これが「ノルウェイの森」がアダルト小説だと言われる理由のひとつのようだ。

そして女性に多い批判は、

直子がいて、緑がいるのに、主人公の行為がわからないと言う。

なるほど、そういう考えもあるのだと勉強になった。

日本で一番売れた小説「ノルウェイの森」について、

僕的な解釈で話しをさせてもらうと

主人公ワタナベトオルには高校時代に唯一の親友キズキがいる。

そして直子、彼女はキズキの恋人であり、

主人公もキズキを通して直子と親しくなり好意を持っていた。

キズキは自殺してしまった。

大学に進学した主人公は直子と再会してSしてしまう。

ここからミケランジェロ・アントニオーニの映画「情事(1960)」
と同じような愛の不毛に陥る。


映画「情事」では女性2名、

アンナとモニカ・ヴィッティとサンドロ(男)の三角関係で、

男とアンナが恋人同士だ。

3人が旅行した先でアンナが失踪してしまった。

二人はアンナを探すうちにSしてしまう。

アンナは完全に行方不明となり、

二人は常にアンナの影を背負ったままの愛しかたをする。

ある夜、酔った男は見知らぬ女を抱いた。

不安の一夜を明かしたモニカ・ヴィッティは

そんな男の姿を発見して絶望する。

しかしサンドロの方もその気持は同じだったにちがいない。

他の人とSする気持ちが理解できたのだ。

男が戸外のベンチで泣いていると、

その肩をうしろから、おいかけてきて、

そっと抱いたのはモニカ・ヴィッティであった。

* *

この一人の影におびえる喪失感がただようSは、

直子の方に痛烈にある。

直子は言う。
「私はあなたが考えているよりずっと深く混乱しているのよ。
どうして私を放っておいてくれなかったのよ」

キズキの影から逃れられないのだ。 

僕なら直子とはSしない、そんな気にならないからだ。

しかしトオルは直子とSして恋愛をしていこうと思う。

もうそこで僕的には、これは危ういと思った。

直子は精神的に病んでしまい、精神病院に似た施設「阿美寮」に入る。

ここは映画「17歳のカルテ(1999)」のような施設だ。

そこで直子と同室の40歳代のレイコさんと知り合う。

直子の見舞いに通うごとにレイコさんとも親しくなっていく。

レイコさんはかつてピアニストを目指していたが挫折し、

3回にわたって精神病院に入院。

「阿美寮」には8年間入所しており、患者たちにピアノを教えている。

ギターも得意であり、横浜に別れた夫と長女がいる。

このレイコさんとの交流を読んでいて、

僕は直子よりレイコさんに魅力を感じた。

そして直子が自殺する。

トオルは小説の冒頭で嘆く。

直子は言った。
「私のことをいつまでも忘れないで。
私が存在していたことを覚えていて」と。

そう考えると僕はたまらなく 哀しい。
何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ。

このトオルの嘆きは一度愛した女性を亡くした僕に深く共感を与え、

この一文に惹かれて、「ノルウェイの森」という小説が好きになりました。


直子はレイコさんに自分の服を全部あげると遺言していた。

直子の服を着たレイコさんをみて、トオルは嬉しかった。

2人だけで、直子の葬式を行うことにする。

お葬式は楽しい思い出にするために、レイコさんはギターを弾いた。

そして 「ねえ、ワタナベ君、私とあれやろうよ」

「不思議ですね。僕も同じこと考えてたんです」

そしてお別れのSを行う。

筆者「お別れのS」の一文から


完全あらすじ


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★基本情報

原題 
L'avventura
監督
ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本
ミケランジェロ・アントニオーニ
トニーノ・グエッラ
エリオ・バルトリーニ

出演者
ガブリエル・フェルゼッティ
モニカ・ヴィッティ

上映時間141分
製作国 イタリア フランス
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話題の映画とか一過性の映画でなくて、
100年経過しても名作と言われる映画を追いかける

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砂丘(1970)D~アントニオーニ監督のアメリカでの妄想

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砂丘(1970)D


★数行で映画紹介しなければ

ミケランジェロ・アントニオーニ監督のアメリカ映画

若い二人が砂丘で妄想

★ショウトしょうとSHORT

妄想を表現した作品。


完全あらすじ


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★基本情報

原題 Zabriskie Point

監督ミケランジェロ・アントニオーニ

脚本
サム・シェパード
フレッド・ガードナー
トニオ・グエッラ

キャスト
マーク・フレチェット
ダリア・ハルプリン

上映時間112分
製作国 アメリカ合衆国
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話題の映画とか一過性の映画でなくて、
100年経過しても名作と言われる映画を追いかける

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太陽はひとりぼっち~アランドロン、愛の不毛三部作

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太陽はひとりぼっち(1962)D


★数行で映画紹介しなければ

舞台はイタリア

恋愛不感症の女モニカ・ヴィッテにアランドロンがからむ

alandelon2.jpg

★ショウトしょうとSHORT

ミケランジェロ・アントニオーニ監督の

「愛の不毛」の三部作

都会では愛さえも複雑にすると言う。


映画音楽は60年代イタリア発の大ヒット曲です。


存在感のある女優モニカ・ヴィッティ、女豹みたい。
アントニオーニ監督の恋人でした。
モニカヴィッティ2

60年代のイタリアの株取引所は、コンピュータなし、
取引所に行っての買い、情報伝達は電話だけ。
鉛筆とメモだけの世界。


完全あらすじ


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★基本情報

原題 L'eclisse

監督
ミケランジェロ・アントニオーニ

脚本
ミケランジェロ・アントニオーニ
トニーノ・グエッラ
エリオ・バルトリーニ

出演者
アラン・ドロン
モニカ・ヴィッティ

上映時間 123分

製作国
イタリア フランス
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欲望~ミケランジェロ・アントニオーニ、あれは錯覚なのか?

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欲望(1967)B
欲望1


★数行で映画紹介しなければ

撮影した写真を引き伸ばすと死体に見えてきた。

それは錯覚か?

★ショウトしょうとSHORT

小説で言うと一人称の映画で、真実の証明でしょうか。

芥川龍之介「藪の中」の応用ですね。
真実と言うのは個人の主観で多様化する。

邦題の「欲望」はどうもしっくりきません。
原題が「写真の引き伸ばし」で、
僕的につけるとしたら
「錯覚」、「妄想」、「藪の中」、「引き伸ばし」とか入れたいですね。

写真というのは、引き伸ばして拡大してゆくとぼけてしまう。
真実に迫ろうとすればするほど、真実がぼけていく。

真実とは何かを追及している
ミケランジェロ・アントニオーニ監督は言う。
「映し出される映像の中に、より真実に近い映像が潜んでいる。
その映像のさらに裏には、より真実の映像があって
さらにまたその裏には謎のベールに包まれた絶対の真実が潜んでいるのだが
それは誰にも見えない。
真実の姿は見せかけの下にある。
そしてその下には、より深い真実の姿が。
しかし究極の真実は、ずっと下に隠され 誰にも見えない。
見えるとしたらすべての映像や真実が分析されたとき。
だからこそ抽象映画の存在価値がある」

最後の道化の登場シーンは有名らしいが、
僕的にはフェリーニ監督の模倣ですし、
クロサワの「羅生門」を連想します。

★有名になったセリフ

カメラマンがモデルに尋ねる。

「君はパリに行ったはずじゃ?」

「ここがパリよ」


完全ネタバレ編


★仕入れた情報

カンヌ映画祭パルムドールを筆頭に
3大映画祭(カンヌ、ヴェネツィア、ベルリン)全てで「最高賞受賞」

ロックバンドが登場しますが、ジェフ・ベックとジミー・ペイジがいます。

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★基本情報

原題 Blowup

監督脚本ミケランジェロ・アントニオーニ

アルゼンチン作家フリオ・コルタサルの小説『悪魔の涎』がベース

出演
デヴィッド・ヘミングス
ヴァネッサ・レッドグレイヴ
ジェーン・バーキン
サラ・マイルズ
ジェフ・ベック
ジミー・ペイジ

上映時間 111分

製作国 イギリス イタリア 

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