
写真はヴァージニア・ウルフ
映画「めぐりあう時間たち(2002)」を観て
なんだ この映画は?
感動などしない。
しかし演ずる役者たちは真剣。
どうもこの映画で えがかれている
「ダロウェイ夫人」がわからないと理解できないようだ。
それで小説「ダロウェイ夫人」を読みました。
ダロウェイ夫人(Mrs Dalloway)は、1925年に
発表されたヴァージニア・ウルフの長編小説で、
読書感は これが小説??
あらすじは、ほとんどないのも同然。
英米ではこの小説「ダロウェイ夫人」と
作家ヴァージニア・ウルフ(Vウルフ)はかなり有名なようだ。
この小説が出版された1925年とは大正14年で
モダニズムと言われる芸術運動が起こり、従来の19世紀芸術に対して
伝統的な枠組にとらわれない表現を追求しようとした。
Vウルフもその流れにそって新しい小説を作ろうと実験をおこなう。
彼女が書いた10作の小説の中で4作目が「ダロウェイ夫人」で
この小説は「意識のながれ」を主眼にした実験小説で
ストーリーの発展はなく、ダロウェイ夫人がPARTYを開く1日を
朝から夜まで、夫人が意識したもの去来したものを小説にしている。
夫人はPARTY終了後に自殺することになっていたが、
次作との関連で生かすことにしたのか?
分身のピーターを設定して、その分身を自殺させて、
夫人はその自殺に対して喜びを感じるのである。
夫人を自殺させないと決心する件は、
映画「めぐりあう時間たち(2002)」にも出てくる。
Vウルフは彼女の小説論で主張する。
「人生は影の行列にすぎない。」
「死は挑戦である。死は伝達の試みである」
死はものの本質・実在・現実に達することであり、
その時<精神>は不滅の魂となり永遠に連なる。
精神は充足と安らぎに憩い、「死には抱擁がある」
何か 死に対して積極的で、東洋の思想のように思えた。
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もう一度、
映画「めぐりあう時間たち(2002)」のおさらい。
この映画は
小説「ダロウェイ夫人」と
作者であるヴァージニア・ウルフをはじめ、
それにかかわる2人の女性を描くドラマで
各々1日だけをえがく。
つまり
1923年のイギリス・リッチモンドでのヴァージニアの1日。
「ダロウェイ夫人」を執筆して入水自殺
1951年のロサンゼルスでのローラの1日。
「ダロウェイ夫人」を読みふける、自殺を試みようとする。
2001年のニューヨーク・マンハッタンでのクラリッサの1日。
クラリッサはダロウェイ夫人とあだ名されていた。
時間・場所の違う3人の女性の1日がはじまり、めぐりあっていく。