椿山課長の七日間(2006) C〜「天国行き」か「地獄行き」か
椿山課長の七日間(2006) C〜「天国行き」か「地獄行き」か
★数行で映画紹介しなければ
突然死したある中年男が絶世の美女となって蘇り、
同じく突然死して姿を変えて蘇った仲間と共に、
現世での家族や仲間たちの隠された事情を知っていくという、
死後の世界と霊を題材とした
ユーモラスに描いた心温まるファンタジー
★ショウトしょうとSHORT
好きな伊藤美咲さんは演技下手だが、この作品では上手に思えた。
こんな役だといいのだろうか?
また新たな霊界システム
天国と地獄の中間に位置する中陰役所
ここでは「天国行き」か「地獄行き」かの審判を下される。
自分の死に納得がいかず、かつ戻る事情があると判断された者は
7日間だけ現世に別人として戻ることが許される。
浅田次郎さんの同名小説を、河野圭太監督が映像化
泣き所が少ない。
========
★概要ネタバレは基本情報のあとに
========
★基本情報
出演
西田敏行
伊東美咲
監督:河野圭太
脚本:川口靖
音楽:服部隆之
主題歌:コブクロ「あなたへと続く道」(ワーナーミュージック・ジャパン)
製作:「椿山課長の七日間」製作委員会(
ビーワイルド、テレビ東京、テレビ大阪、松竹、スタイルジャム、ビッグショット、
テレビ愛知、TVQ九州放送、朝日新聞社、AHS、東京都ASA連合会)
制作プロダクション:共同テレビジョン
配給:松竹
上映時間:118分
★概要ネタバレ 他から引用
天空の雲のうえ、中年男椿山和昭は「どこだ…ここは?」と呟きました。
彼の周りにはたくさんの老若男女が座っていました。
そこは緑に囲まれた、えも言われぬ美しいお屋敷の中でした。
「ようこそいらっしゃいました」と美しい声と共に、清楚な1人の女性が突如、現れました。
驚く椿山たちに、その女性は「今を遡ること4日前に亡くなられました」と告げました。
椿山は、驚きました。その女性は今いる場所を天国と地獄の中間地点「中陰役所」と説明し、「天国はあるんですよ」と語りました。椿山はあるデパートで婦人服売り場の課長をしていました。売上は好調、そんなある日、部下の嶋田たちに指示をしている途中、椿山は突如、倒れ、そのまま息絶えてしまったのでした。まだ46歳での脳溢血での過労死でした。そのマヤと名乗る女性は、天国について語りました。ある男性がマヤに「そこに行かにゃあならんのですか?」と問うと、マヤは「いいえ。皆さんには『消滅』の権利が与えらます」と言いました。マヤがそう言うと、椿山たちの掌にあるボタンが浮かび上がってきました。「消滅」とは「永遠絶対の終了」でした。マヤは椿山たちに選択を迫り、4人がそこで消滅しました。マヤは天国について改めて語り始めました。天国ではお金もいらず、自分の望み通りの生活ができる理想郷でした。しかし、現世に強い未練を残していた椿山は、特例として初七日までの3日間だけ現世に戻れる制度「逆走」を選択しました。「逆走」には厳しい審査がありました。72人の希望者がいましたが、審査を通過したのは、椿山を含めて3人だけでした。1人は子分たちの身を案ずるヤクザの武田、もう1人は実の両親と会いたいと願う少年・雄一でした。そして椿山が通過したのは、自分が知らない重大な事実があるからでした。マヤからその事を聞いた椿山は驚きました。「逆走」には厳しい規則がありました。「規則を破れば、恐ろしい事態に陥る」とマヤは椿山たちに警告し、念を押しました。また、12歳以下の子供には付き添いが必要でした。椿山は我が子と同世代の雄一の付き添い役を引き受けました。3人は覚悟を決め、現世に「逆走」しました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:2.逆走…、奇妙な旅の始まり
眩い光の中、椿山は現世に逆走しました。椿山が目を覚ますと、そこはあるホテルの一室でした。椿山は自分の手を見て驚きました。「あっ!ええっ!」と椿山は鏡で自分の姿を見ました。「あ~何だこれは?」…なんと鏡には、スタイル抜群の若き絶世の美女が映っていました。椿山は若き美女として、蘇ったのでした。困惑する椿山のもとに電話がかかってきました。それはマヤからでした。マヤは椿山を、現世と真逆の和山椿(かずやまつばき)という麗しき若き美女に変え、現世に戻したのでした。マヤは椿に、ワンプッシュでマヤと繋がる携帯電話と、その時々で何でも必要なものが出てくる「蘇りキット」のバッグ、そして、現世にいられる残り時間を示す腕時計を与えました。腕時計は残り約54時間でした。椿がとりあえず髪をといていると、1人の少女が現れました。驚くことに、その少女は椿山と共に逆走した少年・雄一でした。雄一は蓮子という名の少女として蘇っていました。雄一に付き添う約束をしていた椿山は、まず雄一の願いであった実の両親を探すため、蓮子と共に生前・雄一が育った家に行くことにしました。すると、バッグからなんと、喪服が出てきました。「この服、着ろってことか」と思わず椿は呟きました。椿と蓮子は喪服を着て、雄一が育った家に電車で向かいました。突如、若き美女・椿となった椿山は、蓮子にだらしなく男口調で話していると、周りから不思議な目で見られました。ふとそれを悟った椿山は注意して、若き美女らしく振舞うように努めました。一方、同時に逆走したヤクザの武田は、若きイケメンのヘアスタイリスト・竹内弘実として、現世に逆走していました。武田は自分の隠し子・竹内となり、弟分のヤクザ・市川大介のもとを訪ねていました。市川は竹内が兄貴分の武田の息子と聞き、初耳ながらも歓迎しました。武田は竹内を物心ついた頃に、里子に出したという設定にしました。それを聞いた市川は「そうかい…」と呟き、表情を曇らせました。市川は生前の武田のことを語り始めました。市川は古き良き任侠心をもった武田を、心の底から慕っていました。武田は市川を庇い、繁田というヤクザに殺されたのでした。市川は語りながら、憤りを抑えられず、ライターを机に叩きつけました。そんな市川の姿を見て、武田は思わず「ありがとよ」と言ってしまいました。「えっ」と呟く市川に、武田は竹内になっていることを忘れていたことに気づき、言い直しました。武田は市川にこの事は他言しないようにと頼みました。竹内となった武田は、「親父は子供たちにむしろこの機会に足を洗ってもらいたかったんです」と本心を語りました。武田が最も恐れていたのは、子分たちが仇討ちで死ぬことでした。その事を忖度していた市川は、既に武田の子分2人を自分の組に入れ、バカな事はしないようにしていました。ただ、そこには純一と卓人の姿はありませんでした。彼ら2人だけは、初七日まで組で線香をあげ守らせ、その後は足を洗わせるとのことでした。それを聞いた竹内(武田)は少し安心しました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:3.重大な事実
雄一は3歳のときに里子に出され、両親の顔も居場所も知りませんでした。椿は蓮子と育った家を訪ねると、雄一の育ての母親が出てきました。何とか雄一の実の両親を知りたいと椿は、蓮子を雄一の親友と言い、母親にお願いしましたが、母親は頑として拒みました。母親は、雄一を実の子と同じように愛情を注ぎ育てたのに、雄一は勝手にひとりで「自分は この家にいてはいけない」と思い込んでいたと言い、嘆きました。そんな育ての母親の姿を見た蓮子は、思わず「違う…」と言いかけました。その言葉を遮るように、母親は蓮子に「雄一のことは忘れて」と言いました。険悪なムードが漂い、椿は蓮子を連れ、その場から立ち去りました。蓮子は育ての母親の真心を聞き、自責し涙を流しました。また、蓮子は何の手がかりをつかめずにいましたが、気丈にも椿のことを心配しました。椿はそんな蓮子(雄一)の姿に心を打たれ、実の両親と会いたいと思いました。椿は蓮子と次の目的地である椿山の家にとぼとぼと歩いて向かいました。その道中、椿はふとある場所を訪ねました。それは椿山の父・椿山昭三が入居している老人ホームでした。実は生前、椿山が家を購入したのは、ボケが始まっていた父を自分の手で介護するためでした。子供の頃に母を亡くした椿山は、父に絶大な恩義を感じ、老人ホームに入居させることに反対でした。しかし、その父の事で、椿山と妻・椿山由紀は度々、口論となっていました。もちろん、それを息子・椿山陽介も見ていました。その結果、椿山は妻・由紀に押し切られる形で、泣く泣く父・昭三を老人ホームに入居させたのでした。椿が蓮子とその老人ホームに向かうと、公園のベンチで元気そうにパソコンを打っている1人の老人を見つけました。それはなんと、父・昭三でした。椿山は思わず「何やってんだ。親父~」と心の中で呟き、昭三のもとに近づきました。椿は昭三に「お元気そうですね。いつから…」と尋ねると、昭三は怪訝そうに「いつから?私はずっと元気ですよ」と答えてきました。椿になぜか親しみを感じた昭三は、続けてある事実を語り始めました。昭三は実は全くボケていませんでした。すべて芝居でした。昭三は自分が家にいることで、息子・椿山の家庭が壊れてしまうと思っていたのでした。それで、昭三はボケたふりをし、家を出て老人ホームに入居させようと息子・椿山に仕向けるという、一世一代の大芝居をうっていたのでした。それを聞いた椿山は驚きました。ボケを演じていた昭三は、そのため、息子・椿山の葬式にも参列できませんでした。しかし、密かに昭三は孫の陽介とメール交換をして、陽介からその訃報ももらっていました。昭三はそれだけが心残りでした。昭三は椿に「あなたは優しい人だ。何かしてあげられることはありませんか」と言い、椿に手を差し伸べました。椿(椿山)は「あるわけねえだろ!このクソ親父が!」と心の中で憤りました。椿はそう思いながらも、ふと父が役所の福祉課一筋で働いていたことを思い出しました。椿は蓮子(雄一)の実の両親の手がかりが、父・昭三ならなんとかしてくれないかと思いつきました。椿と蓮子が頼むと、昭三は快諾してくれました。昭三は蓮子から覚えていることを聞くと、「わかった。明日またおいで」と蓮子たちに言いました。椿(椿山)は、これが知らなかった重大な事実かと思いました。椿は早速、携帯でマヤに連絡すると、マヤはまだ重大な事実があると言いました。椿(椿山)はそれを聞き、蓮子を連れて、恐る恐る我が家に向かいました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:4.さらなる驚愕
夜、椿と蓮子は、椿山の家に着きました。椿は妻・由紀に「椿山にお世話になった者」と言い、お線香をあげるため家に入りました。椿山は自分の遺影と位牌を見て、「あ~、なんてこったよ」と思いました。椿は蓮子とお線香をあげ、手を合わせました。改めて自分が死んだことを実感した椿山は悲しみ、椿の目からとめどなく涙がこぼれました。それは尋常ではない悲しみ方でした。うら若き美女・椿のそんな姿を傍らで見ていた妻・由紀は、椿が椿山の愛人ではないかと疑い始めました。そこに偶々、息子・陽介が帰って来ました。陽介の姿を見た椿は、また泣き始めました。益々怪しいと妻・由紀は椿を疑いました。当然、椿は完全否定しました。しかし、由紀は全く信じず、立ち上がり「帰ってください!」と、椿の手を握り、家から追い出そうとしました。もみ合いになった椿は、思わず由紀に「椿山はそんな男じゃない!」と言い放ちました。それを聞いた由紀は、「椿山?男?汚らしい!」と、さらに逆上しました。由紀は強引に椿を追い出そうと、椿ともみ合いになりました。そこに1人の男が仲裁に割って入ってきました。なんとその男は椿山が信頼していた部下・嶋田でした。椿(椿山)は、思わず「嶋田!」と叫びました。しかし、当然、嶋田は椿を知りませんでした。2人の様子を見た由紀は、益々、逆上し「椿山に女がいたこと、わかってたんだから!」と怒鳴りました。嶋田はそんな由紀をなだめようとしました。妻・由紀に慣れ慣れしい嶋田を見た椿(椿山)は憤り、嶋田着ていたバスローブの胸倉をつかみ、「なんでお前がここにいるんだ!」と問い質しました。すると嶋田は開き直った顔で「俺はここにいる資格があるからいるの」と答えてきました。その言葉を聞いた椿(椿山)は、怒り、今度は嶋田と取っ組み合いになりました。嶋田を助けようと、由紀が2人の間に割って入ってきました。嶋田は由紀と抱き合い、椿を不審の目を向けました。椿(椿山)は自分のバスローブを嶋田が着ていることに、気づき、改めて逆上し、嶋田の顔面と腹にパンチを喰らわせました。もう3人は大騒動になっていました。そんな3人を尻目に、陽介は蓮子を誘い、家の階段に座り、身を潜めました。陽介は母・由紀たちのそんな姿を見るのが嫌でたまりませんでした。陽介は「おじいちゃんのところへ行く」と紙に書いて、家出をするつもりでした。陽介はおじいちゃんの昭三が好きで、メル友でした。嶋田と妻・由紀ができているという「知りたくなかった」驚愕の事実を知った椿(椿山)は、疲れ、蓮子を連れてホテルへ帰ろうとしました。すると、ちょうど玄関で、お線香をあげにきた父・昭三と出くわしました。父・昭三が泣きながらお線香をあげる姿を見た椿は、男泣きしました。昭三は線香をあげると、由紀に「私はもうこの家には戻りません。あなたがどう生きようと、あなたの自由です。ただ、陽介の気持ちは大切にしてやってください」と言い、家から出ていきました。すると陽介は、母・由紀に「おじいちゃんのところへ行く」という紙を渡すと、昭三をについて家を出ていきました。家の前で椿は蓮子を連れ、昭三は陽介連れて別れようとしました。陽介は「あんな家にいたくない」と呟きました。そんな陽介を椿は優しく抱きしめ、慰め、「一緒にいよう。少しの間」と囁きました。陽介を思いやり優しく抱く椿の姿を見た昭三は、陽介を椿にあずけて、1人老人ホームに帰っていきました。椿は蓮子と陽介を連れ、ホテルに戻りました。椿は蓮子と陽介が恋仲にならないことを祈りながらも、悲しみを消すため、ホテルのバーに飲みに行きました。椿はバーでガンガンお酒を飲み、ワンワン泣きました。すると、背後から1人のイケメン男が隣に座ってきました。そのイケメン男は自分も寂しいことがあったと静かに呟き、椿を慰めました。そんなイケメン男の姿に魅せられた、椿山は「なんだろ…この気分」と変な気持ちになりました。男は美しい椿を口説き、自分の部屋に誘いました。椿は思わず首を縦にふり、OKしてしまいました。椿は心がドキドキし、椿山は経験したことのない、女性特有のトキメキを感じました。その男は積極的に椿と肉体関係を持とうと、エレベーターの中で椿の頬にキスしてきました。椿(椿山)は、もうなるようになれといった感じになりました。男の部屋に入った椿は、ベッドに寝かされました。男は椿を抱こうとしました。そのとき、椿はふと男の腕時計を見ました。それは自分の腕時計と同じ物でした。椿は思わず、男を突き放しました。なんと、その男は一緒に逆走したヤクザのおっさん・武田でした。椿は武田が若きイケメンの竹内になっていて驚きました。竹内もマブイ美女の椿が、あの中年のおっさん・椿山だと知り、驚きました。2人は、中年のおっさんたちが頬にキスする姿を想像し、ちょっと寒気がしましたが、「気づいてよかった」と大笑いしました。椿はホテルの自室に戻り、すやすやと寝ている陽介に添い寝し、逆走の1日目が終わりました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:5.再会
夜が明け、逆走して2日目、ホテルの朝のレストランで、椿と蓮子と竹内は会いました。椿と蓮子は今時のイケメンの恰好の竹内を見て、笑いました。竹内もあの雄一が蓮子になっていたことに驚きました。何も知らない陽介に、椿は竹内を蓮子の兄という設定にしました。4人は朝食を摂りながら、2日目の行動を相談しました。陽介は蓮子とすっかり仲良くなり、蓮子と共に、彼女の実の両親の捜索に行くことにしました。椿は勤めていたデパートに行くことにしました。竹内は行くあても言わず、出ていきました。何かを決心したような、竹内に椿は「気をつけろよ」と言い送り出しました。残り時間はあと約38時間になっていました。11時に蓮子と陽介は、昭三に会いにいきました。昭三はしっかりと、雄一という子供が預けられた施設を探し当てていました。しかし、昭三は蓮子に亡くなった友人・雄一のことを、詮索することを、死者にもプライバシーがあると言い、いけないことだと諭しました。それを聞いた陽介は昭三に「ケチ!」と言い、蓮子を連れ立ち去りました。蓮子は昭三に、実は本当の自分の名前は「雄一」だと打ち明けました。女の子なのに「雄一」、陽介は不思議に思いつつ、それから蓮子を雄一と呼びました。その頃は30年務めたデパートに行き、担当の婦人服売り場に直行しました。すると、嶋が出てきました。椿(椿山)は嶋田の行動パターンを知り尽くしていたので、嶋田行きつけの喫茶店マイルスに誘い出しました。そこで椿は嶋田に由紀との成り行きを訊きました。怪訝そうに嶋田は、由紀との成り行きを語り始めました。嶋田は椿山を心底から信頼し慕っていました。ではなぜ椿山を裏切るようなことになったのか、それは実は嶋田は妻・由紀が椿山と結婚する前から、由紀とは17年間の深い仲だったのでした。しかし、まだ若かった嶋田が出世のため、通産省の人の娘と付き合い始めたことから、由紀は嶋田と距離をおき、椿山と付き合い始めたのでした。結局、通産省の娘と破談になった嶋田は、由紀にプロポーズしましたが、由紀は「椿山さんなら信頼できる。信用できるから結婚する」と言い、由紀は嶋田を振り、椿山と結婚したのでした。その後、嶋田が椿山の新居への引っ越しの手伝いに行ったとき、由紀と再会し、自然と再燃してしまったのでした。椿(椿山)はそれを聞き、驚き、妻・由紀の気持ちも分かりました。すると、そこに椿山と深い親交があった女性・知子がやってきました。椿(椿山)はまさかの再会に驚きました。知子は嶋田と入れ替わる形に椿の前に座りました。知子は「寂しいね。勝手に死にやがって」と悲しそうに呟きました。それを聞いた椿(椿山)は悲しくなりました。マスターは椿山がいつも注文していたウインナーコーヒーを2つ、持ってきました。マスターは「これ、あいつ(椿山)のおごりね」と言いました。そこから、椿と知子は椿山のことについて、語り合い、2人は仲良くなりました。その頃、竹内は自分の組事務所に足を運んでいました。竹内(武田)はそこで純一と会いました。純一は竹内が武田の息子であることを疑いましたが、竹内が組のことや純一と卓人の事に、恐ろしく詳しいので驚きました。竹内は武田が実は癌で余命わずかであったこと、そして、親友の市川の代わりに武田は刺されて死んだことを打ち明けました。竹内は武田の遺言状を金庫から出すふりをし、死後書いた遺言状を純一に読ませました。それには純一と卓人への武田の愛情が溢れていました。それを一読した純一は泣きながら、竹内を信じました。竹内は純一と卓人に仇討ちなど考えず、ヤクザから足を洗えと言いました。純一は素直にそれに応じましたが、卓人は武田の死後、おかしくなり、仇討つと言って行方をくらましていました。それを聞いた竹内は純一に「俺が探す」と宣言しました。竹内は純一の家に急行しました。中に入ると壁に血で「カタキは俺がとる」と書かれていました。竹内は壁にペンで「卓人、殺しはやめろ」と書き、部屋を見まわしました。すると、壁には市川の写真が「殺」という字と共にありました。卓人は市川が武田を殺したと、バカな勘違いしていました。これは何としても阻止しなくてはいけません。竹内は市川にもとへと急行しました。竹内は市川にその事を告げ、命を懸けて市川を守るため、市川のボディーガードとなりました。残り時間はあと約26時間でした。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:6.巡り会わせ
その頃、昭三から手がかりを聞いた蓮子は陽介と共に、雄一が預けられたという施設の方に向かいました。とぼとぼと歩いていた、蓮子はついにその施設を見つけました。蓮子は施設の女先生に雄一のことを語り、雄一の実の両親の事を泣きながら訊きました。最初、頑として拒んでいた女先生は、そんな蓮子のただならぬ姿に心をうたれ、規則を破り、告白しました。蓮子の実の父は市川大介、母は市川静子と判明しました。なんという巡り会わせでしょうか、蓮子の父はヤクザの武田の弟分のあの市川でした。女先生は、蓮子がその2人に会いに行くと聞き、辞めるように言いました。そこで蓮子(雄一)は実の両親がヤクザの夫婦だと知りました。蓮子はその事を電話で竹内に連絡しました。竹内は蓮子に「必ず会わせる」と約束しました。竹内はその夜、市川の家で食事を摂りました。竹内は市川の妻・静子とも再会しました。静子は竹内の姿を見て、突然、涙をこぼしました。市川は竹内に実は自分たちにも息子がいて、施設に預けたことを語りました。竹内は自責の念に悲しむ市川夫妻を慰めました。そして、2人に明日、会わせたい人がいると言いました。一方、椿は知子と会い、知子の家で語り合っていました。実は椿山は20代の入社当初から、可愛い知子と付き合っていました。しかし、椿山は知子と寝たのは1回だけでした。知子は自宅にささやかな椿山の遺影を飾り、好きなタバコを供えていました。椿(椿山)はそれを見て、喜びました。人見知りの激しい知子は、なぜか椿に初対面とは思えない親近感を感じ、「あのクソ、バカ、デブのお蔭かな」と冗談交じりに言いました。知子は心から椿山のことを愛し、結婚しようと思っていました。知子は誰よりも、椿山の死を悲しんでいました。椿は涙にくれる知子を懸命に慰めました。知子と椿山は、密かに2人だけの「愛ことば」を決めていました。それは鼻の頭を指で触る仕草でした。椿は知子と二人、一夜を飲み明かしました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:7.竹内と蓮子、昇天
逆走最後の日が来ました。早朝、竹内は市川の家から椿に連絡し、蓮子を連れてくるように伝えました。椿は蓮子と陽介を連れ、市川の家に急行しました。タクシーの車内で、蓮子は陽介に「友達の中で一番好きだよ」と言い、ある打ち合わせをしました。陽介は戸惑いつつも、それを了承しました。そして、陽介は衝撃の告白をしました。実は陽介は椿山の実の子ではなく、あの嶋田と由紀の子でした。椿(椿山)は更なる大きなショックを受けました。竹内は椿、蓮子、陽介を市川に家に招き入れました。竹内は市川夫妻に「息子さんをお連れしました。どうしても2人にお会いしたいと今生の頼みを受けました」といい、驚く夫妻に蓮子と陽介を引き合わせました。すると、なんと陽介が蓮子(雄一)の代わりを演じ、市川夫妻に歩みで、「父さん、母さん、産んでくれて、ありがとう。いつまでもそう思っています…」と言いました。それを聞いた母・静子は目に涙をため、「ごめんなさい」と呟き、陽介を抱きしめ、泣き崩れました。それを見ていた父・大介はそんな2人を抱きしめました。蓮子(雄一)はその様子をじっと見ていました。そのとき、突然、ガラスを破り、男が乱入してきました。卓人です。卓人が市川を殺しに来たのでした。卓人は銃で市川を撃ち殺そうとしました。「やめろ!人違いだ!」と叫び、竹内(武田)は市川を庇い、卓人が発砲した銃弾に撃たれ、倒れました。飛び込んできた市川の子分を、市川は制し、撃たれた竹内を抱き上げました。竹内(武田)は最期の気力を振り絞り「違うんだ。卓人…」と言いつつ卓人に近寄りました。その気迫溢れる竹内の姿に卓人は腰を抜かしました。竹内(武田)は胸から自分が書いた遺言状を、卓人に渡しました。遺言状を受け取った卓人はその字を見て、武田の親父だと気づきました。「親分…」と卓人が竹内に呟くと、竹内は笑みを浮かべ、眩い光に包まれ、光の粒となって昇天し消えてしまいました。陽介、市川夫妻、そして卓人は夢を見ているかのようでした。しかし、卓人と市川夫妻は、竹内が武田の生まれ変わりだと感じとりました。母・静子はふとじっと無言で悲しそうに見ている蓮子に、何か不思議な感覚を持ちました。市川は陽介に「ずっとここにいろ」と言い、抱きしめました。静子は蓮子(雄一)にそっと歩み寄り、優しく蓮子(雄一)を抱きしめました。静子は母性で蓮子が実の我が子・雄一の生まれ変わりだと感じとっていました。蓮子と静子の目から、涙が溢れ出ました。蓮子(雄一)は「ありがとう」と静子に囁きました。その2人の姿を見た市川も、蓮子が実の我が子の化身だと感じました。蓮子は、竹内と同じ様に、眩い美しい光に包まれ、光の粒となり昇天し消えていきました。陽介は「蓮子!」と叫びましたが、あとの祭りでした。泣き崩れようとする陽介を連れ、椿は市川の家を飛び出しました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:8.椿山、昇天
本懐を遂げ昇天した2人を見た椿は、落ち込む陽介と手をつなぎ歩いていると、陽介は「僕ね、本当のお父さんじゃなくて、育ててくれたお父さんに言いたいんだ」と呟きました。椿が優しく尋ねると、陽介は「育ててくれて、ありがとう。いつもそう思ってます」と言いました。陽介は亡くなってしまった育ての親・椿山にそう言えなかったことを悔い、「蓮子ちゃんが羨ましい」と嘆きました。そんな陽介を椿は優しく抱きしめ、「大丈夫。絶対、伝わってる。奇跡はあるんだよ」と囁き、慰めました。椿の目から自然に涙があふれました。椿は陽介に「お母さんが待ってる。早くお家に帰ろう」と言い、陽介を家に連れて帰りました。残り時間はあと約57分でした。家の前で椿は陽介と別れました。陽介は元気に家に入っていきました。後ろ髪を引かれながら、椿は家から離れようとしたとき、妻・由紀と嶋田が家に帰ってきました。嶋田は由紀に「俺、もうこの門をくぐれないよ」と言っていました。由紀もそれに頷いていました。そんな2人を見た椿は、歩み寄り、由紀に陽介が家に帰っている事を告げました。椿は丁寧に由紀に「由紀さん、陽介をよろしく」と言い、線香をあげに来た時のことを詫びました。由紀は椿に丁寧にお礼を言い、家に入ろうとしました。すると嶋田は立ち去ろうとしました。そんな嶋田を見た椿は、嶋田の肩を優しく叩き、嶋田と由紀に「2人も幸せになってくれ」と言い、立ち去りました。家に入った由紀は陽介を優しく抱きしめました。陽介は母・由紀に謝りました。嶋田は陽介に「俺、もう来ないから、家出なんかするなよ」と言いました。陽介は笑顔で「いつでも来て。お父さん」と実の父・嶋田に言いました。その言葉を聞いた嶋田の目から嬉し涙があふれ出ました。嶋田は由紀と陽介を強く優しく抱きしめました。そんな中、家に電話がかかってきました。それは祖父・昭三の死を告げるものでした。驚いた3人は直ぐに祖父のもとへ行きました。何も知らない椿はマヤに電話をかけ、「もうやり残したことはない」と言い、昇天を願いました。しかし、マヤは「本当にいいんですか。まだ時間はありますよ」と椿に言いました。椿が時計を見ると、残り時間は28分でした。椿は思い直し、デパートへ急行しました。椿は最期に知子に会いに行きました。椿(椿山)は働いている知子に、何を言えばいいか戸惑っていると、知子は椿の姿を見て、小さくそっと手を振りました。椿(椿山)はふと気が付き、鼻の頭を指で触りました。知子はその「愛ことば」を見て、驚きました。椿はデパートの屋上へと走りました。すると屋上にはマヤが待っていました。マヤは椿(椿山)に「さあ、行きましょうか」と言いました。笑顔で椿は頷くと、椿の体は眩い美しい光に包まれました。その時、椿を追ってきた知子が、屋上に駆け込んで来ました。知子は光に包まれた椿の姿を見ると、椿に向けて鼻の頭を指で触れ「愛ことば」を送りました。椿(椿山)は知子の「愛ことば」を見て、笑顔で光の粒となり、晴天の彼方へと昇天していきました。知子は昇天する椿の姿の中に、笑顔の椿山の姿を見ました。
椿山課長の七日間の結末:9.エピローグ:天国への階段
逆走し本懐を遂げた椿山、武田、そして雄一の3人は「中陰役所」に戻りました。マヤは無事戻ってきた3人を確認すると、「どうぞ」と言い、天国へと続く美しい階段を開きました。椿山たちはその美しさに目を見張りました。椿山たちがその階段へ向かおうとすると、後ろのドアが開き、1人の老人が入ってきました。それはなんと、椿山の父・昭三でした。驚く椿山に昭三は「いやまいったよ。ぽっくりさ」と言いました。椿山は父・昭三を連れ、優しいヤクザの武田と、雄一と共に天国への階段を登っていきました。
THE END
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筆者の公式サイト
話題の映画とか一過性の映画でなくて、
100年経過しても名作と言われる映画を追いかける
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★数行で映画紹介しなければ
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ユーモラスに描いた心温まるファンタジー
★ショウトしょうとSHORT
好きな伊藤美咲さんは演技下手だが、この作品では上手に思えた。
こんな役だといいのだろうか?
また新たな霊界システム
天国と地獄の中間に位置する中陰役所
ここでは「天国行き」か「地獄行き」かの審判を下される。
自分の死に納得がいかず、かつ戻る事情があると判断された者は
7日間だけ現世に別人として戻ることが許される。
浅田次郎さんの同名小説を、河野圭太監督が映像化
泣き所が少ない。
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★概要ネタバレは基本情報のあとに
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★基本情報
出演
西田敏行
伊東美咲
監督:河野圭太
脚本:川口靖
音楽:服部隆之
主題歌:コブクロ「あなたへと続く道」(ワーナーミュージック・ジャパン)
製作:「椿山課長の七日間」製作委員会(
ビーワイルド、テレビ東京、テレビ大阪、松竹、スタイルジャム、ビッグショット、
テレビ愛知、TVQ九州放送、朝日新聞社、AHS、東京都ASA連合会)
制作プロダクション:共同テレビジョン
配給:松竹
上映時間:118分
★概要ネタバレ 他から引用
天空の雲のうえ、中年男椿山和昭は「どこだ…ここは?」と呟きました。
彼の周りにはたくさんの老若男女が座っていました。
そこは緑に囲まれた、えも言われぬ美しいお屋敷の中でした。
「ようこそいらっしゃいました」と美しい声と共に、清楚な1人の女性が突如、現れました。
驚く椿山たちに、その女性は「今を遡ること4日前に亡くなられました」と告げました。
椿山は、驚きました。その女性は今いる場所を天国と地獄の中間地点「中陰役所」と説明し、「天国はあるんですよ」と語りました。椿山はあるデパートで婦人服売り場の課長をしていました。売上は好調、そんなある日、部下の嶋田たちに指示をしている途中、椿山は突如、倒れ、そのまま息絶えてしまったのでした。まだ46歳での脳溢血での過労死でした。そのマヤと名乗る女性は、天国について語りました。ある男性がマヤに「そこに行かにゃあならんのですか?」と問うと、マヤは「いいえ。皆さんには『消滅』の権利が与えらます」と言いました。マヤがそう言うと、椿山たちの掌にあるボタンが浮かび上がってきました。「消滅」とは「永遠絶対の終了」でした。マヤは椿山たちに選択を迫り、4人がそこで消滅しました。マヤは天国について改めて語り始めました。天国ではお金もいらず、自分の望み通りの生活ができる理想郷でした。しかし、現世に強い未練を残していた椿山は、特例として初七日までの3日間だけ現世に戻れる制度「逆走」を選択しました。「逆走」には厳しい審査がありました。72人の希望者がいましたが、審査を通過したのは、椿山を含めて3人だけでした。1人は子分たちの身を案ずるヤクザの武田、もう1人は実の両親と会いたいと願う少年・雄一でした。そして椿山が通過したのは、自分が知らない重大な事実があるからでした。マヤからその事を聞いた椿山は驚きました。「逆走」には厳しい規則がありました。「規則を破れば、恐ろしい事態に陥る」とマヤは椿山たちに警告し、念を押しました。また、12歳以下の子供には付き添いが必要でした。椿山は我が子と同世代の雄一の付き添い役を引き受けました。3人は覚悟を決め、現世に「逆走」しました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:2.逆走…、奇妙な旅の始まり
眩い光の中、椿山は現世に逆走しました。椿山が目を覚ますと、そこはあるホテルの一室でした。椿山は自分の手を見て驚きました。「あっ!ええっ!」と椿山は鏡で自分の姿を見ました。「あ~何だこれは?」…なんと鏡には、スタイル抜群の若き絶世の美女が映っていました。椿山は若き美女として、蘇ったのでした。困惑する椿山のもとに電話がかかってきました。それはマヤからでした。マヤは椿山を、現世と真逆の和山椿(かずやまつばき)という麗しき若き美女に変え、現世に戻したのでした。マヤは椿に、ワンプッシュでマヤと繋がる携帯電話と、その時々で何でも必要なものが出てくる「蘇りキット」のバッグ、そして、現世にいられる残り時間を示す腕時計を与えました。腕時計は残り約54時間でした。椿がとりあえず髪をといていると、1人の少女が現れました。驚くことに、その少女は椿山と共に逆走した少年・雄一でした。雄一は蓮子という名の少女として蘇っていました。雄一に付き添う約束をしていた椿山は、まず雄一の願いであった実の両親を探すため、蓮子と共に生前・雄一が育った家に行くことにしました。すると、バッグからなんと、喪服が出てきました。「この服、着ろってことか」と思わず椿は呟きました。椿と蓮子は喪服を着て、雄一が育った家に電車で向かいました。突如、若き美女・椿となった椿山は、蓮子にだらしなく男口調で話していると、周りから不思議な目で見られました。ふとそれを悟った椿山は注意して、若き美女らしく振舞うように努めました。一方、同時に逆走したヤクザの武田は、若きイケメンのヘアスタイリスト・竹内弘実として、現世に逆走していました。武田は自分の隠し子・竹内となり、弟分のヤクザ・市川大介のもとを訪ねていました。市川は竹内が兄貴分の武田の息子と聞き、初耳ながらも歓迎しました。武田は竹内を物心ついた頃に、里子に出したという設定にしました。それを聞いた市川は「そうかい…」と呟き、表情を曇らせました。市川は生前の武田のことを語り始めました。市川は古き良き任侠心をもった武田を、心の底から慕っていました。武田は市川を庇い、繁田というヤクザに殺されたのでした。市川は語りながら、憤りを抑えられず、ライターを机に叩きつけました。そんな市川の姿を見て、武田は思わず「ありがとよ」と言ってしまいました。「えっ」と呟く市川に、武田は竹内になっていることを忘れていたことに気づき、言い直しました。武田は市川にこの事は他言しないようにと頼みました。竹内となった武田は、「親父は子供たちにむしろこの機会に足を洗ってもらいたかったんです」と本心を語りました。武田が最も恐れていたのは、子分たちが仇討ちで死ぬことでした。その事を忖度していた市川は、既に武田の子分2人を自分の組に入れ、バカな事はしないようにしていました。ただ、そこには純一と卓人の姿はありませんでした。彼ら2人だけは、初七日まで組で線香をあげ守らせ、その後は足を洗わせるとのことでした。それを聞いた竹内(武田)は少し安心しました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:3.重大な事実
雄一は3歳のときに里子に出され、両親の顔も居場所も知りませんでした。椿は蓮子と育った家を訪ねると、雄一の育ての母親が出てきました。何とか雄一の実の両親を知りたいと椿は、蓮子を雄一の親友と言い、母親にお願いしましたが、母親は頑として拒みました。母親は、雄一を実の子と同じように愛情を注ぎ育てたのに、雄一は勝手にひとりで「自分は この家にいてはいけない」と思い込んでいたと言い、嘆きました。そんな育ての母親の姿を見た蓮子は、思わず「違う…」と言いかけました。その言葉を遮るように、母親は蓮子に「雄一のことは忘れて」と言いました。険悪なムードが漂い、椿は蓮子を連れ、その場から立ち去りました。蓮子は育ての母親の真心を聞き、自責し涙を流しました。また、蓮子は何の手がかりをつかめずにいましたが、気丈にも椿のことを心配しました。椿はそんな蓮子(雄一)の姿に心を打たれ、実の両親と会いたいと思いました。椿は蓮子と次の目的地である椿山の家にとぼとぼと歩いて向かいました。その道中、椿はふとある場所を訪ねました。それは椿山の父・椿山昭三が入居している老人ホームでした。実は生前、椿山が家を購入したのは、ボケが始まっていた父を自分の手で介護するためでした。子供の頃に母を亡くした椿山は、父に絶大な恩義を感じ、老人ホームに入居させることに反対でした。しかし、その父の事で、椿山と妻・椿山由紀は度々、口論となっていました。もちろん、それを息子・椿山陽介も見ていました。その結果、椿山は妻・由紀に押し切られる形で、泣く泣く父・昭三を老人ホームに入居させたのでした。椿が蓮子とその老人ホームに向かうと、公園のベンチで元気そうにパソコンを打っている1人の老人を見つけました。それはなんと、父・昭三でした。椿山は思わず「何やってんだ。親父~」と心の中で呟き、昭三のもとに近づきました。椿は昭三に「お元気そうですね。いつから…」と尋ねると、昭三は怪訝そうに「いつから?私はずっと元気ですよ」と答えてきました。椿になぜか親しみを感じた昭三は、続けてある事実を語り始めました。昭三は実は全くボケていませんでした。すべて芝居でした。昭三は自分が家にいることで、息子・椿山の家庭が壊れてしまうと思っていたのでした。それで、昭三はボケたふりをし、家を出て老人ホームに入居させようと息子・椿山に仕向けるという、一世一代の大芝居をうっていたのでした。それを聞いた椿山は驚きました。ボケを演じていた昭三は、そのため、息子・椿山の葬式にも参列できませんでした。しかし、密かに昭三は孫の陽介とメール交換をして、陽介からその訃報ももらっていました。昭三はそれだけが心残りでした。昭三は椿に「あなたは優しい人だ。何かしてあげられることはありませんか」と言い、椿に手を差し伸べました。椿(椿山)は「あるわけねえだろ!このクソ親父が!」と心の中で憤りました。椿はそう思いながらも、ふと父が役所の福祉課一筋で働いていたことを思い出しました。椿は蓮子(雄一)の実の両親の手がかりが、父・昭三ならなんとかしてくれないかと思いつきました。椿と蓮子が頼むと、昭三は快諾してくれました。昭三は蓮子から覚えていることを聞くと、「わかった。明日またおいで」と蓮子たちに言いました。椿(椿山)は、これが知らなかった重大な事実かと思いました。椿は早速、携帯でマヤに連絡すると、マヤはまだ重大な事実があると言いました。椿(椿山)はそれを聞き、蓮子を連れて、恐る恐る我が家に向かいました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:4.さらなる驚愕
夜、椿と蓮子は、椿山の家に着きました。椿は妻・由紀に「椿山にお世話になった者」と言い、お線香をあげるため家に入りました。椿山は自分の遺影と位牌を見て、「あ~、なんてこったよ」と思いました。椿は蓮子とお線香をあげ、手を合わせました。改めて自分が死んだことを実感した椿山は悲しみ、椿の目からとめどなく涙がこぼれました。それは尋常ではない悲しみ方でした。うら若き美女・椿のそんな姿を傍らで見ていた妻・由紀は、椿が椿山の愛人ではないかと疑い始めました。そこに偶々、息子・陽介が帰って来ました。陽介の姿を見た椿は、また泣き始めました。益々怪しいと妻・由紀は椿を疑いました。当然、椿は完全否定しました。しかし、由紀は全く信じず、立ち上がり「帰ってください!」と、椿の手を握り、家から追い出そうとしました。もみ合いになった椿は、思わず由紀に「椿山はそんな男じゃない!」と言い放ちました。それを聞いた由紀は、「椿山?男?汚らしい!」と、さらに逆上しました。由紀は強引に椿を追い出そうと、椿ともみ合いになりました。そこに1人の男が仲裁に割って入ってきました。なんとその男は椿山が信頼していた部下・嶋田でした。椿(椿山)は、思わず「嶋田!」と叫びました。しかし、当然、嶋田は椿を知りませんでした。2人の様子を見た由紀は、益々、逆上し「椿山に女がいたこと、わかってたんだから!」と怒鳴りました。嶋田はそんな由紀をなだめようとしました。妻・由紀に慣れ慣れしい嶋田を見た椿(椿山)は憤り、嶋田着ていたバスローブの胸倉をつかみ、「なんでお前がここにいるんだ!」と問い質しました。すると嶋田は開き直った顔で「俺はここにいる資格があるからいるの」と答えてきました。その言葉を聞いた椿(椿山)は、怒り、今度は嶋田と取っ組み合いになりました。嶋田を助けようと、由紀が2人の間に割って入ってきました。嶋田は由紀と抱き合い、椿を不審の目を向けました。椿(椿山)は自分のバスローブを嶋田が着ていることに、気づき、改めて逆上し、嶋田の顔面と腹にパンチを喰らわせました。もう3人は大騒動になっていました。そんな3人を尻目に、陽介は蓮子を誘い、家の階段に座り、身を潜めました。陽介は母・由紀たちのそんな姿を見るのが嫌でたまりませんでした。陽介は「おじいちゃんのところへ行く」と紙に書いて、家出をするつもりでした。陽介はおじいちゃんの昭三が好きで、メル友でした。嶋田と妻・由紀ができているという「知りたくなかった」驚愕の事実を知った椿(椿山)は、疲れ、蓮子を連れてホテルへ帰ろうとしました。すると、ちょうど玄関で、お線香をあげにきた父・昭三と出くわしました。父・昭三が泣きながらお線香をあげる姿を見た椿は、男泣きしました。昭三は線香をあげると、由紀に「私はもうこの家には戻りません。あなたがどう生きようと、あなたの自由です。ただ、陽介の気持ちは大切にしてやってください」と言い、家から出ていきました。すると陽介は、母・由紀に「おじいちゃんのところへ行く」という紙を渡すと、昭三をについて家を出ていきました。家の前で椿は蓮子を連れ、昭三は陽介連れて別れようとしました。陽介は「あんな家にいたくない」と呟きました。そんな陽介を椿は優しく抱きしめ、慰め、「一緒にいよう。少しの間」と囁きました。陽介を思いやり優しく抱く椿の姿を見た昭三は、陽介を椿にあずけて、1人老人ホームに帰っていきました。椿は蓮子と陽介を連れ、ホテルに戻りました。椿は蓮子と陽介が恋仲にならないことを祈りながらも、悲しみを消すため、ホテルのバーに飲みに行きました。椿はバーでガンガンお酒を飲み、ワンワン泣きました。すると、背後から1人のイケメン男が隣に座ってきました。そのイケメン男は自分も寂しいことがあったと静かに呟き、椿を慰めました。そんなイケメン男の姿に魅せられた、椿山は「なんだろ…この気分」と変な気持ちになりました。男は美しい椿を口説き、自分の部屋に誘いました。椿は思わず首を縦にふり、OKしてしまいました。椿は心がドキドキし、椿山は経験したことのない、女性特有のトキメキを感じました。その男は積極的に椿と肉体関係を持とうと、エレベーターの中で椿の頬にキスしてきました。椿(椿山)は、もうなるようになれといった感じになりました。男の部屋に入った椿は、ベッドに寝かされました。男は椿を抱こうとしました。そのとき、椿はふと男の腕時計を見ました。それは自分の腕時計と同じ物でした。椿は思わず、男を突き放しました。なんと、その男は一緒に逆走したヤクザのおっさん・武田でした。椿は武田が若きイケメンの竹内になっていて驚きました。竹内もマブイ美女の椿が、あの中年のおっさん・椿山だと知り、驚きました。2人は、中年のおっさんたちが頬にキスする姿を想像し、ちょっと寒気がしましたが、「気づいてよかった」と大笑いしました。椿はホテルの自室に戻り、すやすやと寝ている陽介に添い寝し、逆走の1日目が終わりました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:5.再会
夜が明け、逆走して2日目、ホテルの朝のレストランで、椿と蓮子と竹内は会いました。椿と蓮子は今時のイケメンの恰好の竹内を見て、笑いました。竹内もあの雄一が蓮子になっていたことに驚きました。何も知らない陽介に、椿は竹内を蓮子の兄という設定にしました。4人は朝食を摂りながら、2日目の行動を相談しました。陽介は蓮子とすっかり仲良くなり、蓮子と共に、彼女の実の両親の捜索に行くことにしました。椿は勤めていたデパートに行くことにしました。竹内は行くあても言わず、出ていきました。何かを決心したような、竹内に椿は「気をつけろよ」と言い送り出しました。残り時間はあと約38時間になっていました。11時に蓮子と陽介は、昭三に会いにいきました。昭三はしっかりと、雄一という子供が預けられた施設を探し当てていました。しかし、昭三は蓮子に亡くなった友人・雄一のことを、詮索することを、死者にもプライバシーがあると言い、いけないことだと諭しました。それを聞いた陽介は昭三に「ケチ!」と言い、蓮子を連れ立ち去りました。蓮子は昭三に、実は本当の自分の名前は「雄一」だと打ち明けました。女の子なのに「雄一」、陽介は不思議に思いつつ、それから蓮子を雄一と呼びました。その頃は30年務めたデパートに行き、担当の婦人服売り場に直行しました。すると、嶋が出てきました。椿(椿山)は嶋田の行動パターンを知り尽くしていたので、嶋田行きつけの喫茶店マイルスに誘い出しました。そこで椿は嶋田に由紀との成り行きを訊きました。怪訝そうに嶋田は、由紀との成り行きを語り始めました。嶋田は椿山を心底から信頼し慕っていました。ではなぜ椿山を裏切るようなことになったのか、それは実は嶋田は妻・由紀が椿山と結婚する前から、由紀とは17年間の深い仲だったのでした。しかし、まだ若かった嶋田が出世のため、通産省の人の娘と付き合い始めたことから、由紀は嶋田と距離をおき、椿山と付き合い始めたのでした。結局、通産省の娘と破談になった嶋田は、由紀にプロポーズしましたが、由紀は「椿山さんなら信頼できる。信用できるから結婚する」と言い、由紀は嶋田を振り、椿山と結婚したのでした。その後、嶋田が椿山の新居への引っ越しの手伝いに行ったとき、由紀と再会し、自然と再燃してしまったのでした。椿(椿山)はそれを聞き、驚き、妻・由紀の気持ちも分かりました。すると、そこに椿山と深い親交があった女性・知子がやってきました。椿(椿山)はまさかの再会に驚きました。知子は嶋田と入れ替わる形に椿の前に座りました。知子は「寂しいね。勝手に死にやがって」と悲しそうに呟きました。それを聞いた椿(椿山)は悲しくなりました。マスターは椿山がいつも注文していたウインナーコーヒーを2つ、持ってきました。マスターは「これ、あいつ(椿山)のおごりね」と言いました。そこから、椿と知子は椿山のことについて、語り合い、2人は仲良くなりました。その頃、竹内は自分の組事務所に足を運んでいました。竹内(武田)はそこで純一と会いました。純一は竹内が武田の息子であることを疑いましたが、竹内が組のことや純一と卓人の事に、恐ろしく詳しいので驚きました。竹内は武田が実は癌で余命わずかであったこと、そして、親友の市川の代わりに武田は刺されて死んだことを打ち明けました。竹内は武田の遺言状を金庫から出すふりをし、死後書いた遺言状を純一に読ませました。それには純一と卓人への武田の愛情が溢れていました。それを一読した純一は泣きながら、竹内を信じました。竹内は純一と卓人に仇討ちなど考えず、ヤクザから足を洗えと言いました。純一は素直にそれに応じましたが、卓人は武田の死後、おかしくなり、仇討つと言って行方をくらましていました。それを聞いた竹内は純一に「俺が探す」と宣言しました。竹内は純一の家に急行しました。中に入ると壁に血で「カタキは俺がとる」と書かれていました。竹内は壁にペンで「卓人、殺しはやめろ」と書き、部屋を見まわしました。すると、壁には市川の写真が「殺」という字と共にありました。卓人は市川が武田を殺したと、バカな勘違いしていました。これは何としても阻止しなくてはいけません。竹内は市川にもとへと急行しました。竹内は市川にその事を告げ、命を懸けて市川を守るため、市川のボディーガードとなりました。残り時間はあと約26時間でした。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:6.巡り会わせ
その頃、昭三から手がかりを聞いた蓮子は陽介と共に、雄一が預けられたという施設の方に向かいました。とぼとぼと歩いていた、蓮子はついにその施設を見つけました。蓮子は施設の女先生に雄一のことを語り、雄一の実の両親の事を泣きながら訊きました。最初、頑として拒んでいた女先生は、そんな蓮子のただならぬ姿に心をうたれ、規則を破り、告白しました。蓮子の実の父は市川大介、母は市川静子と判明しました。なんという巡り会わせでしょうか、蓮子の父はヤクザの武田の弟分のあの市川でした。女先生は、蓮子がその2人に会いに行くと聞き、辞めるように言いました。そこで蓮子(雄一)は実の両親がヤクザの夫婦だと知りました。蓮子はその事を電話で竹内に連絡しました。竹内は蓮子に「必ず会わせる」と約束しました。竹内はその夜、市川の家で食事を摂りました。竹内は市川の妻・静子とも再会しました。静子は竹内の姿を見て、突然、涙をこぼしました。市川は竹内に実は自分たちにも息子がいて、施設に預けたことを語りました。竹内は自責の念に悲しむ市川夫妻を慰めました。そして、2人に明日、会わせたい人がいると言いました。一方、椿は知子と会い、知子の家で語り合っていました。実は椿山は20代の入社当初から、可愛い知子と付き合っていました。しかし、椿山は知子と寝たのは1回だけでした。知子は自宅にささやかな椿山の遺影を飾り、好きなタバコを供えていました。椿(椿山)はそれを見て、喜びました。人見知りの激しい知子は、なぜか椿に初対面とは思えない親近感を感じ、「あのクソ、バカ、デブのお蔭かな」と冗談交じりに言いました。知子は心から椿山のことを愛し、結婚しようと思っていました。知子は誰よりも、椿山の死を悲しんでいました。椿は涙にくれる知子を懸命に慰めました。知子と椿山は、密かに2人だけの「愛ことば」を決めていました。それは鼻の頭を指で触る仕草でした。椿は知子と二人、一夜を飲み明かしました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:7.竹内と蓮子、昇天
逆走最後の日が来ました。早朝、竹内は市川の家から椿に連絡し、蓮子を連れてくるように伝えました。椿は蓮子と陽介を連れ、市川の家に急行しました。タクシーの車内で、蓮子は陽介に「友達の中で一番好きだよ」と言い、ある打ち合わせをしました。陽介は戸惑いつつも、それを了承しました。そして、陽介は衝撃の告白をしました。実は陽介は椿山の実の子ではなく、あの嶋田と由紀の子でした。椿(椿山)は更なる大きなショックを受けました。竹内は椿、蓮子、陽介を市川に家に招き入れました。竹内は市川夫妻に「息子さんをお連れしました。どうしても2人にお会いしたいと今生の頼みを受けました」といい、驚く夫妻に蓮子と陽介を引き合わせました。すると、なんと陽介が蓮子(雄一)の代わりを演じ、市川夫妻に歩みで、「父さん、母さん、産んでくれて、ありがとう。いつまでもそう思っています…」と言いました。それを聞いた母・静子は目に涙をため、「ごめんなさい」と呟き、陽介を抱きしめ、泣き崩れました。それを見ていた父・大介はそんな2人を抱きしめました。蓮子(雄一)はその様子をじっと見ていました。そのとき、突然、ガラスを破り、男が乱入してきました。卓人です。卓人が市川を殺しに来たのでした。卓人は銃で市川を撃ち殺そうとしました。「やめろ!人違いだ!」と叫び、竹内(武田)は市川を庇い、卓人が発砲した銃弾に撃たれ、倒れました。飛び込んできた市川の子分を、市川は制し、撃たれた竹内を抱き上げました。竹内(武田)は最期の気力を振り絞り「違うんだ。卓人…」と言いつつ卓人に近寄りました。その気迫溢れる竹内の姿に卓人は腰を抜かしました。竹内(武田)は胸から自分が書いた遺言状を、卓人に渡しました。遺言状を受け取った卓人はその字を見て、武田の親父だと気づきました。「親分…」と卓人が竹内に呟くと、竹内は笑みを浮かべ、眩い光に包まれ、光の粒となって昇天し消えてしまいました。陽介、市川夫妻、そして卓人は夢を見ているかのようでした。しかし、卓人と市川夫妻は、竹内が武田の生まれ変わりだと感じとりました。母・静子はふとじっと無言で悲しそうに見ている蓮子に、何か不思議な感覚を持ちました。市川は陽介に「ずっとここにいろ」と言い、抱きしめました。静子は蓮子(雄一)にそっと歩み寄り、優しく蓮子(雄一)を抱きしめました。静子は母性で蓮子が実の我が子・雄一の生まれ変わりだと感じとっていました。蓮子と静子の目から、涙が溢れ出ました。蓮子(雄一)は「ありがとう」と静子に囁きました。その2人の姿を見た市川も、蓮子が実の我が子の化身だと感じました。蓮子は、竹内と同じ様に、眩い美しい光に包まれ、光の粒となり昇天し消えていきました。陽介は「蓮子!」と叫びましたが、あとの祭りでした。泣き崩れようとする陽介を連れ、椿は市川の家を飛び出しました。
椿山課長の七日間のネタバレあらすじ:8.椿山、昇天
本懐を遂げ昇天した2人を見た椿は、落ち込む陽介と手をつなぎ歩いていると、陽介は「僕ね、本当のお父さんじゃなくて、育ててくれたお父さんに言いたいんだ」と呟きました。椿が優しく尋ねると、陽介は「育ててくれて、ありがとう。いつもそう思ってます」と言いました。陽介は亡くなってしまった育ての親・椿山にそう言えなかったことを悔い、「蓮子ちゃんが羨ましい」と嘆きました。そんな陽介を椿は優しく抱きしめ、「大丈夫。絶対、伝わってる。奇跡はあるんだよ」と囁き、慰めました。椿の目から自然に涙があふれました。椿は陽介に「お母さんが待ってる。早くお家に帰ろう」と言い、陽介を家に連れて帰りました。残り時間はあと約57分でした。家の前で椿は陽介と別れました。陽介は元気に家に入っていきました。後ろ髪を引かれながら、椿は家から離れようとしたとき、妻・由紀と嶋田が家に帰ってきました。嶋田は由紀に「俺、もうこの門をくぐれないよ」と言っていました。由紀もそれに頷いていました。そんな2人を見た椿は、歩み寄り、由紀に陽介が家に帰っている事を告げました。椿は丁寧に由紀に「由紀さん、陽介をよろしく」と言い、線香をあげに来た時のことを詫びました。由紀は椿に丁寧にお礼を言い、家に入ろうとしました。すると嶋田は立ち去ろうとしました。そんな嶋田を見た椿は、嶋田の肩を優しく叩き、嶋田と由紀に「2人も幸せになってくれ」と言い、立ち去りました。家に入った由紀は陽介を優しく抱きしめました。陽介は母・由紀に謝りました。嶋田は陽介に「俺、もう来ないから、家出なんかするなよ」と言いました。陽介は笑顔で「いつでも来て。お父さん」と実の父・嶋田に言いました。その言葉を聞いた嶋田の目から嬉し涙があふれ出ました。嶋田は由紀と陽介を強く優しく抱きしめました。そんな中、家に電話がかかってきました。それは祖父・昭三の死を告げるものでした。驚いた3人は直ぐに祖父のもとへ行きました。何も知らない椿はマヤに電話をかけ、「もうやり残したことはない」と言い、昇天を願いました。しかし、マヤは「本当にいいんですか。まだ時間はありますよ」と椿に言いました。椿が時計を見ると、残り時間は28分でした。椿は思い直し、デパートへ急行しました。椿は最期に知子に会いに行きました。椿(椿山)は働いている知子に、何を言えばいいか戸惑っていると、知子は椿の姿を見て、小さくそっと手を振りました。椿(椿山)はふと気が付き、鼻の頭を指で触りました。知子はその「愛ことば」を見て、驚きました。椿はデパートの屋上へと走りました。すると屋上にはマヤが待っていました。マヤは椿(椿山)に「さあ、行きましょうか」と言いました。笑顔で椿は頷くと、椿の体は眩い美しい光に包まれました。その時、椿を追ってきた知子が、屋上に駆け込んで来ました。知子は光に包まれた椿の姿を見ると、椿に向けて鼻の頭を指で触れ「愛ことば」を送りました。椿(椿山)は知子の「愛ことば」を見て、笑顔で光の粒となり、晴天の彼方へと昇天していきました。知子は昇天する椿の姿の中に、笑顔の椿山の姿を見ました。
椿山課長の七日間の結末:9.エピローグ:天国への階段
逆走し本懐を遂げた椿山、武田、そして雄一の3人は「中陰役所」に戻りました。マヤは無事戻ってきた3人を確認すると、「どうぞ」と言い、天国へと続く美しい階段を開きました。椿山たちはその美しさに目を見張りました。椿山たちがその階段へ向かおうとすると、後ろのドアが開き、1人の老人が入ってきました。それはなんと、椿山の父・昭三でした。驚く椿山に昭三は「いやまいったよ。ぽっくりさ」と言いました。椿山は父・昭三を連れ、優しいヤクザの武田と、雄一と共に天国への階段を登っていきました。
THE END
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