ゴーストマスター(2019)E〜脚本が化け物に
★数行で映画紹介しなければ
冴えない助監督が書き溜めていた脚本に
悪霊が憑りついて巻き起こる地獄絵図
★ショウトしょうとSHORT
ネバーエンディング・ストーリー と
カメラを止めるな から 着想をえた感じですね
映画だからですかね。
ありえない化け物と化け物にやられるシーン
漫画みたい
★背景
TSUTAYAが主催する映像企画発掘コンペ「TSUTAYA CREATERS'PROGRAM FILM 2016」で
準グランプリを受賞した、アメリカ人の父と日本人の母を持つヤング・ポール監督の長編デビュー作。
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★概要ネタバレは基本情報のあとに
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★基本情報
監督 ヤング・ポール
脚本 ヤング・ポール
楠野一郎
出演者 三浦貴大
成海璃子
板垣瑞生
永尾まりや
篠原信一
川瀬陽太
手塚とおる
麿赤兒
音楽 渡邊琢磨
主題歌 マテリアルクラブ「Fear」
撮影 戸田義久
制作会社 セディックインターナショナル
マグネタイズ
製作会社 「ゴーストマスター」製作委員会
配給 スターダストピクチャーズ
公開 日本の旗 2019年12月6日
上映時間 91分
★概要ネタバレ
荒れ果てた廃校で青春恋愛映画の撮影が行われていた。
主演は人気若手俳優の勇也と百瀬。
現場は映画のクライマックスである“壁ドン”シーンの撮影に入っていたが、
途中で勇也がカットを申し出た。
魂のこもった演技がしたい勇也は、
ヒットさえすればいいという考えの監督や、プロデューサーの方針に
反発し、撮影を放棄して去っていってしまう。
土田は助監督の黒沢明を呼び出し、
「助監督なら監督を助けてみろよ!」と怒鳴り散らす。
黒沢は日本映画界を代表する伝説の巨匠・黒澤明と
名前が同音異字であることから周囲にいじられ続け、
下っ端のようにこき使われていた。
B級ホラー映画オタクの黒沢は自作台本「ゴーストマスター」がいつか映画になるのを
夢見て、耐えていた。
プロデューサーはいつか黒沢を「ゴーストマスター」で監督デビューさせてくれると約束していた。
黒沢は渡良瀬を主演に想定しており、ホラー映画への熱い想いを語った。
渡良瀬は「こんな所にいる時点で黒沢さんは才能はないですよ。空しくないですか?
私はこういうのやりませんよ」と一蹴してしまう。
落胆してしまった黒沢に追い打ちをかけるように、黒沢は監督とプロデューサーの会話を盗み聞きしてしまう。
プロデューサーは黒沢オススメのホラー映画など全く興味がなく、
最初から黒沢の脚本を映画化するつもりはなかった。
絶望と悔しさに駆られた黒沢は泣き叫びながら現場を飛び出し
途中で転んで鼻血を出してしまう。
黒沢の鼻血のしずくが脚本の表紙に描かれた怨霊キャラクター“ゴーストマスター”に垂れ、
脚本に“悪霊”が宿ってしまう。
人気のない校舎裏では、勇也がひとり台詞を呟きながら壁ドンの練習をしていた。
「お前は俺の奴隷だ。でも天使でもある」勇也の手からは血が流れており、様子を見た黒沢はびびってしまいました。
完全に演技に行き詰っていた勇也は黒沢に迫り、半狂乱で「僕にも壁ドンが降りてきたんだ!」と叫びました。
勇也の手の血を吸った脚本が覚醒してしまい、
悪魔と化して勇也の体内に入ってしまう。
撮影は中断されていた壁ドンの場面から再開された。
迫真の壁ドン演技を見せた勇也だったが、
百瀬の頭を背後の黒板に叩きつけてしまう。
百瀬は首無し状態になってしまった。
監督以下怯えてしまう。
潰してしまいました。
鬼の形相と化した勇也が「OKですか? 監督!」と迫ってきた。
撮影は中断され、黒沢やスタッフ、共演者たちは現場から逃げ出した。
勇也は逃げる監督を捕まえ、映画のワンシーンのように「こうしてほしいんだろ?」と後ろから抱きついた。
監督の顔がみるみるうちに腫れあがり、両目が飛び出して黒沢のまぶたにくっついてしまう。
廃校を逃げ出そうとするが悪魔のバリアーで逃げ出せない。
教室内を逃げ回る。
携帯も圏外状態。
渡良瀬は勇也をキャスティングしたのを批判すると、
柴田は「お前は所詮賞味期限切れ。親父さんと同じようにバーターなんだよ!」と吐き捨てました。
黒沢は意を決し、B級ホラー映画の巨匠たちの名を挙げて柴田に「謝れよ」と迫りました。
柴田は泣き叫びながら校舎の中へ走り去っていきました。携帯の電波も圏外となっていました。
黒沢は勇也が悪魔に憑りつかれてしまったと言った。
ベテラン俳優・轟は「可哀想に。映画に憑りつかれて“別の何か”になったか…」と呟き、
「勇也! いるなら私の胸に飛び込んで来い!」と叫んだ。
すぐに勇也が現れ、轟の顔面に“壁ドン”しようとした。
石田は様子をスマホで配信しようとしたが、勇也にスマホを破壊されてしまう。
石田は過呼吸に陥って倒れ、絶命してしまう。
勇也は「早くカメラ回して下さい!」と迫り、黒沢たちは校舎の奥深く逃げ込んだ。
轟は「これは鬼を斬る“妖刀ムラマサ”の出番かもしれんぞ。私は常に撮影の時に持ち歩いている。
これで斬れば勇也も成仏できる」と言い出したが、
渡良瀬は「それって映画の中のお話でしょ?」とつっこみました。
付き人の室井は妖刀ムラマサを控室に忘れてしまっていた。
轟は自らの顔に梵字を書き入れさせた。
プロデューサーは美術室で自分のカバンを探していた。
勇也が現れて「青い鳥、逃げちまうぞ」と劇中の台詞を優しく語りながら、
プロデューサーに抱きつくと、プロデューサーは死んでしまう。
黒沢ら残ったスタッフは撮影を続行するしかない。
轟は室井から妖刀ムラマサを受け取った。
松尾は「役者ってものはOKが出るまで演るものだ」と
黒沢に監督の代わりをやるよう指示した。
黒沢は自らカメラを手にし、勇也や一同と共に屋上に上がった。
黒沢は勇也に「跳べ!」と指示すると、勇也はけたたましい絶叫をあげました。
轟が室井と共に現れ、「人生、道に迷う時がある。今ならまだ引き返せる。
ここは一発、本番アドリブといこう。
妖刀ムラマサよ、今こそその封印されし力を見せてみよ!」
と刀を抜きましたが、刀は偽物だった。
轟は勇也の一撃で首を吹き飛ばされてしまう。
轟は首を失っても執念で立ち上がり、室井は勇也を押さえつけると
「カメラの前では妖刀ムラマサなんです。轟先生は嘘でも本当にするから先生なんです」
と一同に告げた。
するとおもちゃの刀は怪しい光を放つ本物の刀となり、勇也の右腕を斬り落とした。
室井は一同を逃がし、「先生、勉強になりました」と勇也と刺し違える覚悟を決めたが、
轟は斬る直前で力尽きて倒れてしまう。
勇也の右腕は白石の頭にくっついたまま離れない。
一同は室井の断末魔を聞きました。
やがて日も暮れ、一同が対策を練っていると、
白石はようやく頭から勇也の右腕を引き離しました。
すると傷口から悪魔の顔が現れ、「ゴーストマスター」と書かれた悪魔の台本に姿を変えた。
黒沢は「全部僕の責任なんです。僕の脚本が勇也に…」と土下座しました。白石は「何で言わなかったんだよ。お前の書いたクソみたいな脚本のせいで!」とブチ切れましたが、渡良瀬は「これが黒沢さんの書いたものなら、どうすれば終わるのかわかるのは黒沢さんだけです」と台本を手に取りました。
渡良瀬は「僕には才能なんかない」と怖気づく黒沢を一喝し、「いつまで自分の世界に閉じこもっているつもりですか。ここはアンタが創った世界なんだよ。アンタがいつまでも逃げている限り、私たちは永遠に死の恐怖に追われ続けるの! 助かりたいならこの恐怖に満ちた世界をアンタの“愛”で上書きしてみせろ!」と檄を飛ばしました。白石と松尾は渡良瀬が悪魔の台本に言わされていることに気付き、黒沢が台本を開くと「もう逃げられない」と書かれていました。
その時、黒沢は勇也の殺し方が“ボクキョー”のシーンと連動しており、勇也の中では黒沢の書いたホラーと“ボクキョー”の世界観がせめぎ合っていることに気付きました。黒沢は「この脚本は勇也の肉体を乗っ取って早く“映画”になりたい。でも勇也の魂はまだ“ボクキョー”を引きずっている」と語り、まだラストシーンを書いていないことを明かすと、心を込めたラストシーンを撮り上げて勇也も脚本も成仏させたいと伝えました。
黒沢たちはラストシーンを渡良瀬に演じさせることにし、撮影の準備に取り掛かりました。父からアクションの手ほどきを受けていた渡良瀬は「何か武器あります?」と言い出したその時、勇也が姿を現しました。黒沢は「勇也、早く映画になりたいだろ?」と台本を勇也に投げつけると、台本は勇也の体と融合して右腕を再生させました。
勇也は「OKですか? 黒沢監督」と言うと、黒沢は「OKなんかじゃないよ。僕の人生は一度もOKになったことなんてないよ。全部NGだ。NG集みたいな人生だクソバカ野郎!」と返し、渡良瀬も「てめえの気持ちだけで芝居してるんじゃねえよ、この大根役者が!」と言い放ちました。
渡良瀬はカチコチに硬く凍ったアイスを武器代わりにし、勇也と対峙しました。黒沢は「アクション!」と撮影を開始し、渡良瀬と勇也は凄まじい闘いを始めました。渡良瀬がピンチに陥ると黒沢が「立て!」と鼓舞し、渡良瀬は「バカ野郎!」と渾身の頭突きを勇也にくらわしました。倒れてもがき苦しむ勇也。渡良瀬は「これがお前のラストシーンだ!」と丸めた“ボクキョー”の台本を勇也の喉に押し込みました。すると勇也の体は眩い光を放ち、「監督、OKですか…」と呟きながら消滅していきました。
校内からは勇也のつけた血痕が消え去りました。勇也の立っていた場所には『僕に今日、ゴーストマスターが舞い降りた』と題された脚本が落ちていました。ラストには「勇也、哀しそうに手を差し伸べながら光の中で崩れ去って消える」と書かれてありました。渡良瀬は「終わった」と呟きました。
黒沢は『僕に今日、ゴーストマスターが舞い降りた』の脚本を燃やしました。渡良瀬は「黒沢監督、次はガンアクションでお願いします」と声をかけました。黒沢は「はい」と答えました。
映画は撮り終わりましたが、次はどうやって上映にこぎつけるかという課題が残っていました。白石はかつての先輩に掛け合って海外のホラー映画祭で上映してもらおうと考え、「映画っていうものは、最後まで諦めさせてくれないものだよ」と語りました。ところがその時、燃え尽きたはずの脚本が再び悪魔の脚本となって蘇り、白石の体に四角い穴を開けました。白石は「えっ」と呟きながらその場に崩れ落ちました。
その頃、黒沢は片付けをしていた松尾に「松尾さんって本当に映画が大好きなんですね」と声をかけていました。しかし、松尾は突然笑い出すと「本当のことを教えてやる。俺は本当は映画なんて大っ嫌いなんだよ。クソ下らない脚本と操り人形みたいな監督、言うことだけはいっちょ前な役者と…」と溜まりに溜まっていた不満を語り始めました。何とか現場にしがみついていた松尾はようやく安定した収入を得るようになりましたが、妻は子供を連れて去っていってしまったのです。
「40年もしがみついて、家族まで失って、ようやく俺は気付いた。映画に命を賭ける価値なんかない」と松尾が吐き捨てたその時、悪魔に憑依された渡良瀬が現れて松尾を殴り倒しました。渡良瀬はカメラを奪い、黒沢は慌てて逃げ出しました。廃校全体を覆っていた結界のようなものは消滅しており、黒沢は敷地の外に脱出しましたが、逃げる途中で転んでしまいました。
カバンの中からは渡良瀬のPR動画を撮った小型ビデオカメラが転がり落ち、黒沢は黙って再生された映像を見つめていました。
その頃、渡良瀬はひとりカメラを回しながら「カメラの前に立つ人生か、スクリーンの前に座る人生か、お前が決めろ」と呟いていました。そこに戻ってきた黒沢が「君のラストシーンを撮りに来た。アクション!」と声をかけました。渡良瀬は黒沢を殴り倒すと、黒沢は「その程度か? もっといけるだろ」と何度も立ち上がりました。
黒沢は「まだOKじゃねえよ!」と背後から渡良瀬に抱きつき、「お前は俺の奴隷だ。でも、天使でもある」と“ボクキョー”の台詞を呟いて壁ドンを決め、渡良瀬にキスをしました。その時、渡良瀬に憑りついていた悪魔が黒沢に乗り移りました。
渡良瀬が我に返ると、黒沢は白目を向いてもがき苦しんでいました。黒沢は「全部終わらせてくれ。君は映画に愛されている。君は光となって、このクソみたいな世界を照らせ!」とカメラを渡良瀬に託しました。渡良瀬は絶叫しながらカメラを黒沢の脳天に叩きつけました。
カメラと融合した黒沢は渡良瀬に「OK」と呟きました。
黒沢の口は映写機となり、これまでの一連の出来事を映し出しました。
映像のラストは渡良瀬の今の姿でした。
全てを映し終えた黒沢はそのまま息を引き取りました。
渡良瀬は黒沢の死体に目をやると、別のアングルから自分を映していたカメラを叩き壊した。
THE END
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筆者の公式サイト話題の映画とか一過性の映画でなくて、
100年経過しても名作と言われる映画を追いかける
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