お遊さま(1951)A〜谷崎潤一郎の三角関係秀作
お遊さま(1951)A
★数行で映画紹介しなければ
文豪谷崎潤一郎の名作「蘆刈」の映画化。
原作では淡く描かれていた特殊な男女関係をメリハリのはっきりしたメロドラマに仕立てている。
脚色を担当したのは、溝口の片腕とも言えるシナリオライター依田義賢。
★ショウトしょうとSHORT
たしかに原作は?な感じですが
三人関係のあやを見事に描いていますね
妹は姉のために男と結婚する。
男は姉が好きだったのを見抜いた妹は?
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★概要ネタバレは基本情報のあとに
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★基本情報
監督 溝口健二
脚本 谷崎潤一郎 (小説)
依田義賢
製作 永田雅一
キャスト
お遊さま: 田中絹代
お静:乙羽信子
慎之助:堀雄二
おすみ: 平井岐代子
おつぎ: 金剛麗子
栄太郎: 柳永二郎
久左衛門: 進藤英太郎
乳母: 小林叶江
音楽 早坂文雄
製作会社 大映
公開
1951年6月22日
上映時間 95分
★概要ネタバレ
芹橋という船場の大家の跡取り息子である慎之助は、嫁を迎える年頃で見合いを重ねますが、
話はまとまりません。
慎之助は女性に対する選り好みが激しく、お眼鏡にかなう相手がなかなかいないのです。
今日も叔母の勧める見合いのために京都までやってきましたが、
期待はしていませんでした。
暇に任せて庭園を散歩していた時、歩いてくる女性に出会って衝撃を受けます。
名前はお遊。
粥川という大家に17歳で嫁いだ後、主人が死んだために若後家となった女性でした。
蘭たけた美しさと大家の御寮人らしい立居振舞にたちまち魅了された慎之助は、
お遊が見合い相手だと思って有頂天になります。
ところが勘違いで、相手はお遊の妹のお静でした。
お静も美しいことは美しいのですが、お遊と並んでみるとお姫様と腰元ほどの違いがありました。
叔母からは見合いの返事を迫られますが、
お遊への思慕を募らせる慎之助は商売にかこつけて粥川家の琴のおさらい会に出席し、
ますますお遊の虜となります。
慎之助は思い切って叔母に「お遊を嫁にもらいたい」と告げるものの、叔母の返事は無情でした。
旧幕時代の習慣を守っていた粥川家では子供もできていたこともあってお遊を離籍させず、
いくら若後家と言っても再婚は無理なのです。
このままお遊との縁は切れてしまうかと思われたのですが、
往来で暑気あたりのために気分が悪くなったお遊を助けたことでその距離が縮まります。
やがて慎之助の気持ちに気づいたお遊はあえてお静と結婚することを勧め、慎之助もその気になります。
お静には悪いものの、彼女が輿入れすることで自分も遠慮なくお遊と会うことができるからです。
ところが驚いたことに、お静も姉の気持ちを知っており、
お遊に義理立てして「私を形だけの嫁にしておいて下さい」と慎之助に懇願します。
慎之助としても本当に好きなのはお遊の方でしたし、お静に対して申し訳ない気持ちもあったため、
その懇願に従ってあえて夫婦の契りを結ばないことにします。
その後、夫婦はお遊を交えて遊ぶことが多くなり、世間から見れば異常とも思える関係を続けていきます。
ただ他人からはどう思われようが、3人にとってはこれが一番満足できる形でした。
しかし、ここで3人の関係が変わってしまう出来事が起こります。
お遊の子供が麻疹から肺炎になり、病死してしまったのです。
もともとお遊が若後家でありながら粥川家に留まっていたのも子供がいた故でしたから、
こうなったら里に帰る方がよいといことになり、たちまち離籍の話がまとまってしまいます。
小曽部に帰ったお遊には伏見の造り酒屋との再縁の話が持ち上がり、彼女はそれを受けることにします。
慎之助への恋情はあるものの、世間の目もあって彼がお静と離縁するわけにもいきません。
決心を聞いたお静は自分たちに肉体関係がないことを打ち明け、
姉に慎之助との結婚を勧めます。
自分のためにお静が自らを犠牲にしていたと知ったお遊は腹を立て、
2人が本当の夫婦になるためにも再婚を決意する。
芹橋家は商売の失敗で没落。慎之助とお静は仕事を求めて東京へ移り、
みすぼらしい場末の家に逼塞することになります。やがてお静は子供を出産後、産褥熱で死亡。
一方、慎之助たちと没交渉になったお遊の方は夫にないがしろにされながらも
別邸で相変わらず贅沢な生活を続け、その高貴な美しさを失いません。
慎之助は生まれたばかりの赤ん坊を お遊の屋敷を訪れ、手紙と赤ん坊を残していきます。
手紙にはお静の死のほか「もう二度とお目にかかりません。この子をよろしくお願い致します」
と書かれていました。
お遊は涙を流した後、赤ん坊を育てる決心をします。
THE END
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100年経過しても名作と言われる映画を追いかける
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