窮鼠はチーズの夢を見る(2020)E〜同性・異性ちゃんぽん恋愛
★数行で映画紹介しなければ
学生時代から「自分を好きになってくれる女性」と、
受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた、大伴恭一。
ある日、大学の後輩・今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会。
「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられる。
戸惑いを隠せない恭一だったが、今ヶ瀬のペースに乗せられ、ふたりは一緒に暮らすことに。
ただひたすらにまっすぐな想いに、恭一も少しずつ心を開いていき・・・。
しかし、恭一の昔の恋人・夏生が現れ、ふたりの関係が変わりはじめていく。
★ショウトしょうとSHORT
「ブロークバックマウンテン」から
この手の作品が増えましたね。
難しい漢字は「きゅうそ」と言います。
邦題にしたメリットはなんでしょう?
ハーメルンの笛吹きにホイホイついていく鼠みたいなもんなの。
みすみすドブに溺れさせるわけにはいかない。
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★概要ネタバレは基本情報のあとに
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★基本情報
監督 行定勲
脚本 堀泉杏
原作 水城せとな
『窮鼠はチーズの夢を見る』
『俎上の魚は二度跳ねる』
出演者 大倉忠義
成田凌
吉田志織
さとうほなみ
咲妃みゆ
小原徳子
音楽 半野喜弘
制作会社 セカンドサイト
製作会社 「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会
配給 ファントム・フィルム
公開 2020年9月11日
130分
★概要ネタバレ
広告代理店に勤める大伴恭一(大倉忠義)の前に、
大学時代のテニスサークルの後輩である今ヶ瀬渉(成田凌)が現れます。
今ヶ瀬は探偵をしており、浮気調査の対象者が大伴だったため、
浮気の事実を依頼者である大伴の妻 知佳子(咲妃みゆ)に報告するべきかどうか悩み、
本人に会いに来たのです。
口止めのため高級寿司店に今ヶ瀬を連れてきた大伴は「妻を大切に思っている」と言い、
今ヶ瀬は黙っている交換条件として、以前から思いを寄せていた大伴にキスを要求。
大伴は仕方なくホテルの一室で今ヶ瀬に唇を許しますが、
舌を使ってきたのでそれ以上は拒否しました。
大伴は妻との関係を取りつくろうため、週末ふたりで出かけることにした。
しかし、そんな状況でも浮気相手 井出瑠璃子(小原徳子)とは別れておらず、
マンションを訪れてやることをやって出てきたため、
外で張っていた今ヶ瀬に見とがめられてしまいます。
「そんな簡単に別れられない」と開き直る大伴は再び今ヶ瀬にキスを許す羽目になり、
その範囲は下半身にまで及びました。
妻とデートの日。
妻は探偵を雇って大伴の調査をしていたことを泣きながら詫び、
改めて「別れてほしい」と言い出します。
「あなたは、まったく何(不倫)もないのね」
妻には一年以上前から付き合っている男がいて、
すっかり大伴から気持ちは離れてしまっていた。
大伴は今ヶ瀬に電話をして
「すべて知っていたのか?」と問いただします。
「なにがですか?」
「妻が調査を依頼した理由だ」
「それは言えません」
今ヶ瀬のそばに恋人らしき男がいたので大伴はすぐに電話を切りました。
離婚して一人暮らしを始めた
大伴のマンションに今ヶ瀬がやってきます。
積極的な今ヶ瀬は、再び大伴の下半身を求めます。
そしていつの間にか大伴の部屋に入り浸るようになっていた。
大伴は仕事で久しぶりに瑠璃子と顔を合わせます。
離婚以来連絡のなかった大伴に未練がある瑠璃子は彼を呼び出し、
結局また以前のように関係を持つのでした。
そんな大伴の行動を怪しんでスマホをチェックし、
瑠璃子と会っていることを知った今ヶ瀬。
「別にお前とつき合っているわけでもないのに」と不快感をあらわにする大伴。
ふたりの間にギクシャクした空気が流れ、今ヶ瀬は部屋を出ていってしまいます。
料理をつくる今ヶ瀬が来なくなった大伴はコンビニ弁当で夕食を済ます毎日。
ある夜、大伴は今ヶ瀬に電話して食事に誘います。
ふたりで大伴の家に帰宅し、躊躇する今ヶ瀬を大伴は部屋へと招き入れます。
そしてふたりは、仲の良い恋人同士のようにイチャイチャ過ごすようになっていきますが、
一線は越えていませんでした。
大伴は町でバッタリ大学時代につき合っていた元カノの夏生(さとうほなみ)と再会します。
エスニック料理の店で待ち合わせした大伴と夏生。
するとそこへ偶然を装った今ヶ瀬が元カレとふたりで現れます。
今ヶ瀬は「夏生先輩!」と明るく声をかけ、大伴には「お久しぶりです」と挨拶し、
四人は同じテーブルで食事をすることに。
それぞれ思うことがありながらも表面上は楽しく過ごしていますが、
トイレですれ違いざまに大伴は計画的な今ヶ瀬の行動を責めます。
今ヶ瀬は無理やりキスをしたあと、元カレとふたりで先に帰ってしまいます。
残された大伴はひどく酔っ払い、心配した夏生に家まで送ってもらいますが、
その部屋の中から出てきたのは今ヶ瀬でした。
驚いた夏生はそのまま部屋には入らず帰っていくのでした。
翌日、夏生に呼び出された大伴はふたりで会うことにしました。
帰宅した大伴に今ヶ瀬は「どうだった」とたずねますが、大伴はなにも話してくれません。
やんわりとキスを拒む大伴。
ふたりの間にイヤな雰囲気が漂い始めます。
先日のエスニック料理の店。
今ヶ瀬は夏生を呼び出していました。
ふたりは既に臨戦態勢。
大伴をめぐるバトルが始まります。
「引いてください」と今ヶ瀬。
8年思い続けてやっとここまできたと言います。
夏生は意地悪く「お疲れ様、もう諦めなよ。
大伴はねハーメルンの笛吹きにホイホイついていく鼠みたいなもんなの。
みすみすドブに溺れさせるわけにはいかない。」と返し、
流されやすい大伴を放ってはおけないと強気で攻めてきます。
そこへ大伴が到着し、今ヶ瀬が夏樹を呼び出していることを怒ります。
夏生は「(大伴は)自分が呼んだ」と言い、
「いい機会だからどちらを選ぶかハッキリさせよう」と言い出します。
困惑しながらも大伴は今ヶ瀬に「俺は、お前を選ぶわけにはいかないよ」と告げ、
夏生に促されて二人で店を出ていきます。
大伴と夏生はラブホテルに行きますが、
夏生を相手にセックスすることができませんでした。
大伴が帰宅すると、今ヶ瀬は古い映画「オルフェ」をみていました。
「俺と寝てください。これを拒まれたらもう二度とさわらない」と言いました。
外は激しい雨。
自分から今ヶ瀬にキスをした大伴は、今ヶ瀬のリードでふたりは初めて身体を重ねるのでした。
翌朝。
大伴は今ヶ瀬に、家賃がもったいないから自分(今ヶ瀬)の部屋を引き払うよう勧めます。
今ヶ瀬の27歳の誕生日が翌週に迫っていることに気づいた大伴は、
何か欲しいものがないか今ヶ瀬にたずねます。
「北京ダックが食べたい。」と今ヶ瀬は答えます。
さらに大伴は会社の部下 岡村たまき(吉田志織)に相談して、
今ヶ瀬の生まれ年のワインを用意します。
誕生日当日、0時になったと同時に大伴はそれをサプライズで渡し、
今ヶ瀬は喜びを隠しきれません。
飲もうよと誘う大伴に対し、「これは開けません、無くなっちゃうから」と言う今ヶ瀬。
大伴は「飲もうよ、また来年あげるから。」と言うと今ヶ瀬は感極まります。
その夜、ふたりは北京ダックを食べに向かいますが、
途中で会社の用事を頼んでいたたまきが現れ、
今ヶ瀬は彼女が大伴に気があるとみて不安になります。
ある朝の出勤途中、大伴はたまきが常務とタクシーから下りてくるのを見かけます。
不倫かと思った大伴はその常務に昼食に誘われます。
そこでたまきが常務の内縁の娘であることを聞かされ、
コネではなく実力で入社してきたことなどを知ります。
しかしその後、常務が急死。
葬式に参列した大伴は、
娘なのに親族としてではなく同じ会社の社員としてしか参列できず、
雨の中泣いていたたまきを慰めます。
それ以降、大伴とたまきは急接近し、今ヶ瀬の心中は穏やかではありません。
疑心暗鬼になった今ヶ瀬は感情を大伴にぶつけ、
「あなたじゃダメだ。あなたには俺じゃダメだし。」と、別れを匂わせます。
それを受けて大伴は「お前がダメだっていうんならダメなんだろう。
終わりにしよう」と口にすると、今ヶ瀬は大伴をビンタし、
今ヶ瀬が「ずっと苦しかったろ」と言うと、今ヶ瀬は泣き崩れるのでした。
ふたりは大伴の運転で最後のドライブにでかけます。
「先輩みたいな人はさ、男の家に上がり込んで、
コトコト長く煮込むような料理を作るような人と付き合うといいですよ。
そういう女が向いてるんですよ。」
「お前は、次はもっと情の深い人とつき合えよ。
もっとお前を大事にして、愛してくれるやつと…」
「愛してくれる人か…。あなたらしい考え方ですね。」
砂浜に車を停め、ふたりは夜明けの海を眺めています。
しばらくして、大伴の部屋には彼の部屋着を着たたまきの姿がありました。
同じ失敗をくり返したくない、と大伴の別れた相手の話を聞こうとするたまき。
部屋にある灰皿は前の相手のもので、
自分を忘れないように置いていったものだと聞かされます。
そんなたまきとつき合いながら、
大伴は今ヶ瀬の姿を求めてゲイバーへとやってきました。
好色な視線を浴びながら、今ヶ瀬のいない現実を突きつけられ、
大伴は泣きながら店をあとにします。
たまきの実家を訪れ、結婚話が進む。
大伴はたまに見かけるストーカーのような今ヶ瀬の存在を感じていました。
今ヶ瀬はまるでわざと見つかるように大伴の近くに姿を現していたのです。
大伴は今ヶ瀬と話をする。
たまきと結婚することを告げると、
今ヶ瀬は「そうですか、きっといい夫婦になりますね。
大丈夫、邪魔するつもりはありません。」と言います。
「最近どうしてる、元気でやってるか?」と優しい表情を見せる大伴。
すると「そばに置いてください。
身体の関係はいらないし迷惑はかけないから、
月一回、半年に一回でいいから会ってほしい」
とすがります。
「いらない。おまえはもういらない」それが大伴の返事でした。
「そりゃそうだ。最初から…出会ったときからそう言ってくれればよかったのに…。」
部屋で大伴が掃除機をかけていると、たまきがやってきました。
ふたりで選んだ青いカーテンが届いていたのに放置していた大伴に不信感を抱くたまき。
料理をしながらシンクの下に、灰皿とタバコ、ライターが置いてあるのを見てしまいます。
女性の存在(実際は今ヶ瀬)を感じたたまきは、その日は泊まらずに帰ると言います。
大伴はたまきをバス停まで見送り家の前まで戻ってくると、
そこには車に乗った今ヶ瀬の姿がありました。
「今日は泊まらないって」と大伴は今ヶ瀬を部屋に招き入れます。
ふたりは裸になって激しく愛し合い、いつの間にか大伴が今ヶ瀬を抱くようになっていました。
事が終わると大伴は今ヶ瀬に指をからませます。
風にゆれる青いカーテンを見ながら「だっさいカーテン」「だな」と会話を交わすふたり。
「ひどい男ですね。じゃあ彼女と別れてください。別れられるわけないか。」
「別れるよ、明日」
「嘘だ、らしくないよ。
彼女にバレないようにうまくやればいいじゃないですか。無理ですよ」と、
今ヶ瀬は困惑したような表情を見せます。
「おまえはなんなわけ?恋愛でジタバタもがく事より、
大切なことが人生にはいくらでもあるだろ。
お互いもうそういう歳だろ。いっしょに暮らそう」と大伴は言います。
大伴が目覚めると今ヶ瀬の姿はありませんでした。
ゴミ箱には灰皿と吸い殻が捨てられていました。
いま、大伴は喫茶店でたまきと向かい合い、別れを切り出しています。
「前の相手が戻ってきたから、いや、戻ってきたわけではないけど一人になってそれを待ちたい。
出来ることをしてやりたい」と言う大伴。
「それでもいいからそれまでそばに置いてほしい、
戻ってきたら自分は身を引くから」
とたまきはすがりますが、
大伴の決意は変わりませんでした。
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今ヶ瀬は、無表情で他の男に抱かれています。
しかし何かを思い出し、
今ヶ瀬は泣き出し、行為をやめさせます。
大伴は灰皿をていねいにテーブルに置くと、
よく今ヶ瀬が座っていたイスに目をやります。
イスに自分が腰かけ、
微笑みながらレースのカーテンが風にゆれるさまを見ているのでした。
THE END
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筆者の公式サイト話題の映画とか一過性の映画でなくて、
100年経過しても名作と言われる映画を追いかける
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